陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

「かんぽの宿」譲渡問題では、入札経緯を明確にせよ

2009-02-03 20:10:21 | 国内政治:議会と政党
 いま国会で日本郵政が保持する「かんぽの宿」を譲渡する問題が取上げられている。その内容は、オリックス㈱へ「かんぽの宿」を一括譲渡すると決めた過程が不透明で、建設総額2400億に達する資産を僅か109億円で譲渡する決定に対し鳩山邦夫総務相がクレームを付けたことに始まる。この譲渡内容は、素人が考えてもおかしいと思う。産経新聞によると

【かんぽの宿譲渡問題】総務相、日本郵政への立ち入り検査も視野
2009.2.2 17:46

 日本郵政が所有する「かんぽの宿」70施設のオリックスグループへの一括譲渡問題に関し、鳩山邦夫総務相は2日の参院本会議で、「入札の経過について、日本郵政からまだ詳細な説明がない。日本郵政株式会社法で立ち入り検査もできるので、そういうことも視野に入れていきたい」と述べ、報告が不十分なままであれば、日本郵政に対する立ち入り検査も行い、徹底解明する考えを表明した。

 日本郵政は政府が株を100%保有し、日本郵政株式会社法15条は、総務相が「特に必要があると認めるとき」に業務の報告をさせたり、同省職員が日本郵政に立ち入り、「帳簿や書類、物件を検査させることができる」と定めている。

 日本郵政は「入札に疑いを持たれるようなことはない」(西川善文社長)と主張し、入札に応じた会社の社名や入札額などの公表を拒んできた。西川氏はオリックス側に109億円で一括譲渡する契約の断念を表明したが、鳩山氏は「経緯が不透明」などの理由で一括譲渡の完全な白紙撤回を求めている。

 これに関し、麻生太郎首相は参院本会議で「国民に疑念を持たれないようにしなければならないのは当然だ」と語った。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090202/plc0902021748005-n1.htm

 何故、西川社長は応札企業の社名公表に応じないのだろうか。監督する立場の総務省から疑問を投げかけられたのなら、徹底して情報開示と説明を行い、疑問を払拭すべきだろう。それとも、小泉改革による郵政民営化のひずみが露呈する事を避けているのだろうか。

 読売新聞社説も、入札経緯について次のように主張する。

かんぽの宿 「入札」経緯をすべて公開せよ(2月1日付・読売社説)

 貴重な国有資産を処分する以上、疑問点を残したまま売り急ぐ必要はない。日本郵政は、国民が納得できる説明をすべきであろう。

 日本郵政が、保養宿泊施設「かんぽの宿」と職員の社宅9か所をオリックスに一括して売却することを決定し、それに鳩山総務相が強く反対している問題である。
 ことの経過はこうだ。旧郵政公社から引き継いだ「かんぽの宿」は、年間約50億円もの赤字を出すことから、2007年10月の郵政民営化の際、5年以内に廃止するか売却することが決められた。

 日本郵政は昨年、売却の方針を打ち出し、まず、かんぽの宿と社宅を合わせた資産価値を、約93億円と査定した。

 その上で入札にかけたが、景気悪化で撤退する企業が相次ぐなど、波乱の展開の末、昨年12月、109億円でオリックスに売却することが決まった。

 これに待ったをかけたのが、日本郵政を監督する立場の鳩山総務相だ。その指摘には、うなずける点も少なくない。

 まず「売却価格が安すぎる」とした点だ。売却対象の土地・建物には、約2400億円の費用がかかっている。中には300億円をつぎ込んで建設し、年5万人以上が宿泊するさいたま市内の優良物件も含まれている。

 広大な敷地を持ち、再開発してマンション用地などにすれば、相当な価格で売れるとされる社宅もある。それなのに、売却価格は109億円でいいのか。総務相でなくても、詳しく聞いてみたくなるところだ。

 総務相は、一括売却ではなく、地域の実情に合わせて個別に売却した方が高く売れるし地方再生に役立つ、とも強調する。

 さらに、オリックスの宮内義彦会長は郵政民営化の議論に関与しており、そこへの売却は「出来レース」と受け取られかねない、とする。そのうえで、選考過程に不透明な点があるとして、入札情報の徹底した開示を求めた。

 日本郵政の西川善文社長は、「手続きに問題はない」としていたが、批判を受け、一括売却の一時凍結を表明した。

 弁護士や公認会計士、不動産鑑定士らを入れた第三者委員会を設け、資産査定の妥当性や入札の経緯を洗い直すという。

 適切な措置だ。物件を処分する期限まで3年以上ある。第三者委員会にじっくり検討してもらい、その結論を待って日本郵政が対応を決めても遅くはない。
(2009年2月1日01時36分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090131-OYT1T00969.htm
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