陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

安倍晋三氏をめぐる政界の動き

2006-09-03 12:26:38 | 国内政治:議会と政党
 安倍晋三官房長官が9月1日に総裁選へ立候補して、この選挙運動も最終局面へ入った。安倍氏の公約詳細は、同氏のHPに詳しく掲載されている。
http://www3.s-abe.or.jp/

 以下、時事通信の記事(9/1)から要約。

 安倍晋三官房長官(51)は1日夕、広島市内のホテルで記者会見し、「改革の炎を燃やし続け、日本をチャンスと活力とやさしさに満ちあふれた、世界に開かれた国にしたい」と述べ、自民党総裁選(8日告示~20日投開票)への出馬を正式表明。同時に「美しい国、日本」と題した政権構想を発表。理念として「開かれた保守主義」を掲げ、自主憲法の制定や教育再生を柱に据えた。

 総裁選は安倍氏と谷垣禎一財務相(61)、麻生太郎外相(65)の3氏で争われる見通しだが、幅広い支持を受ける安倍氏の圧倒的優位は揺るがない情勢だ。既に自民党内の関心は、「安倍政権」を前提とした内閣・党役員人事に移った。

 安倍氏は会見で「世界に尊敬され、子供たちが誇りを持てる美しい国、日本をつくりたい」と述べた。憲法改正については「党総裁の任期中に少しでも進めたい」と表明。第一段階として、改憲手続きを定めた国民投票法案の成立を目指す考えを示した。また、政府の憲法解釈で禁じられている集団的自衛権の行使は、個別事例ごとに具体的に研究していく方針を示した。

 靖国問題では、安倍氏は既に、首相に就任した場合でも「参拝・不参拝」を公表しない考えを明らかにしている。1日の会見では、改めて「外国から指図され(同神社に)行くか行かないかで、首脳会談が出来る出来ないというのは間違っている」と、中韓両国の対応を批判した。ただ、その一方「首脳会談を復活させるためお互いに努力していかなければならない」と述べ、関係改善に取り組む姿勢を強調した。 

 と言う事で、実に盛り上がらぬ総裁選であるが、候補者間で憲法改正論議を大いにやって欲しい。安倍氏応援に絡んで、次のような生臭い動きもある。

---------------------(引用始め)
<自民総裁選>政権人事にらみ、安倍氏支援の議員組織が続々

 自民党総裁選で優位に立つ安倍晋三官房長官の下に議員の支援組織が続々誕生し、8日の告示を待たずし烈な功名争いが始まっている。森派を中心とした派閥横断の総合選挙対策本部(安倍応援隊)に、中堅・若手の「再チャレンジ支援議員連盟」の選対組織、安倍氏と交友がある石原伸晃前国土交通相らの「支える会」など計6組織(一部議員は重複して所属)が乱立。互いに「『安倍政権』の人事をにらんだ動き」とけん制し合う。限られたポストへの期待は膨らみ、さながら「安倍バブル」の様相だ。

 安倍氏は1日の出馬表明で、内閣・党役員人事で派閥の推薦を受け付けない「小泉流」を踏襲し、ベテランから若手まで幅広い世代を登用する考えを示した。派閥調整型人事の否定が、支援組織続出に拍車を掛けた。

 いち早く動き出したのは再チャレンジ議連(山本有二会長)だ。今年6月、安倍氏が主導する政府の再チャレンジ政策への後押しを名目に中堅・若手議員が結集。「脱派閥で党内に安倍さん支援の大きな流れを作った」との自負がある。

 ところが、後から母屋を乗っ取る形で、森派主導の総合選対本部(本部長、柳沢伯夫党税調会長)が先月末に事実上発足した。柳沢氏や甘利明元労相ら再入閣待望組の「シニア会」なども中心メンバーに据えた旧来型の派閥連合体組織で、安倍陣営の中核に居座る。

 これに反発した議連側は先月29日、独自の選対組織を設立。1日には総合選対に党員名簿の提供を求めたが断られ、対立が顕在化してきた。

 そこに、安倍氏と親しい「NAIS(ナイス)の会」の石原氏や塩崎恭久副外相ら当選5、6回の議員11人も先月25日、「支える会」を発足した。「猟官運動が激しくなり、焦っているのでは」との見方が広がる。

 当選1回の「小泉チルドレン」も、森派議員を中心に安倍氏を「激励する会」を発足させた。「無派閥新人議員の会」も安倍氏支持でまとまることを検討している。
 各組織の人数を足し合わせると、重複分を差し引いても、すでに全自民党議員の半数を超えた「バブル状態」だ。

 「いろんな形で(支援組織が)できているが、そこに名前が入れば閣僚に任じられるのではないかと愚かなことを思っている人は結構いる」

 組織乱立が「安倍政権」の挙党体制に悪影響を与えるとみた森喜朗前首相は先月30日、森派の在京議員懇談会で苦言を呈したが、すでに歯止めが利かない状況だ。【高山祐、野口武則】
(毎日新聞) - 9月2日23時44分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060902-00000101-mai-pol
----------------------(引用終り)

 派閥横断で、世代交代闘争の趣きである。裏では、もっとドロドロした動きがあるのだろう。「私」を棄てて、「公」に就くとは行かないのが只今の政治実情。官房長官と外務大臣人事に次期政権の焦点があると思う。この際、大臣は全て70才以下にして欲しい。

 あの蝙蝠のような古賀誠氏(66才)なども鞍替えして安倍氏応援で、どさくさに紛れて「人権擁護法」の成立を画策しているようだ。これは、絶対に止めさせて欲しい。過度なジェンダー政策も方向を変えてはどうか。安倍氏は皇室典範についてノーコメントなのも気になる。

 一方、米国政府のアジア外交担当者が変わった。

-----------------------(引用始め)
「親中派」がアジア政策調整の最高ポストに―米ホワイトハウス
NSC部長にワイルダー氏昇格

対中・対日政策に影響も

 【ワシントン1日早川俊行】米ホワイトハウスは1日、昨年12月に知日派のマイケル・グリーン氏が退任した後、空席になっていた国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長に、同部長代行で中国部長のデニス・ワイルダー氏(51)を昇格させると発表した。同氏は大統領特別補佐官も兼務する。「親中・リベラル派」のワイルダー氏がアジア政策調整の最高ポストに起用されたことで、ブッシュ政権の対中政策が変質することも考えられる。

 米中央情報局(CIA)出身のワイルダー氏は、「CIAの中でも最もリベラルな中国アナリスト」(ワシントン・タイムズ紙)といわれ、中国に対して長年、融和的な態度を取ってきた。

 同紙によると、ワイルダー氏はこれまで、台湾への武器売却計画を妨害したことがあるほか、昨年は国防総省の「中国の軍事力に関する年次報告書」から中国に否定的な記述を削除しようと画策した。

 このため、米政府や議会の一部は、ワイルダー氏の昇格案に反対していた。こうした状況の中でワイルダー氏の起用が決まった経緯は不明だが、同氏はブッシュ元政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたブレント・スコウクロフト氏らとつながりを持つ。

 ブッシュ政権の対中政策の基本は、中国との協調関係を重視しつつも、急速な軍備増強を含め不確実な中国の将来に対し警戒を怠らないというものだ。だが、ワイルダー氏は「米国の対中政策を親中に向かわせようとしている元高官らと深いかかわりを持っている」(同紙)ことから、今後、ブッシュ政権の対中姿勢に変化が生じる可能性も否定できない。

 また、日本との同盟関係を最重要視したグリーン氏の後任にワイルダー氏が就いたことで、対日政策に何らかの影響が出ることも考えられる。
2006/9/2 17:51 (世界日報)
http://www.worldtimes.co.jp/
----------------------(引用終り)

 ライス米国務長官は中東問題が長引き、暫く忙殺される見込みなので、デニス・ワイルダー氏が対中、対日関係の実務を担当する事になるのだろう。今までの日米関係が簡単には変わらぬと思うけれど、我が国の次期政権はワイルダー氏の台湾施策を含めて充分に注目しておく必要がある。


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