陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

野田佳彦首相を最初から信用出来ない

2011-09-23 01:23:54 | 国内政治:内閣
 台風15号が迫り来る最中、日本をさっさと離れて、米国へ出掛けた野田佳彦首相(54)だが、現地で韓国の李明博大統領と会談した際、竹島問題には一切触れず、在韓日本大使館前に慰安婦記念碑を嫌がらせで建てる暴挙にもノーコメント。挙句に「韓国は最も重要な隣国」と言うに至って、「何だ、これは!」との呆れた印象だ。

 私は、野田首相が先の民主党代表選で、「どじょう発言」を行った時、何と言う情けない大衆迎合の姿勢かと深い溜息を吐(つ)いた。併せて、この人物、「永田メール」に絡み、永田寿康前衆議院議員を自殺に追いやったのではないかと言う暗黒部分を思い出した。

 財務相当時、代表選へ出るのに、自らを支援するグループからメンバーが離反して僅か14名に減り、登録支援者数20名に事欠く有様、岡田克也幹事長(当時)が気の毒に思ってか、岡田支援の代議士を説得し、ようやく21名に漕ぎ着けた。まずこの点からしても、野田前財務相にはリーダーの資質を欠いている。

 一方で、冥界に去ったとばかり思っていた細川護煕元首相(73)が、急きょ湯河原から上京、小澤一郎元代表(69)を始め、要所に対して昔の子分である野田財務相支援を依頼した。細川<不東庵>は、陶芸に打ち込んでいれば良いものを、今更何を狂った振る舞いをするものかと、これも不快な感じであった。

 その後は、旧社会党グループや菅グループなどの日和見的支援を集めた上、前原前外相(49)の代表候補阻止に動いた陣笠議員の票を加算して、代表選では何とか第2位になった。前原前外相自身は、民主党内で人望が無く危険視され、70票前後しか集まらず第3位に留まった結果に驚いたろう。

 決選投票での貢献を嵩(かさ)にきて、前原/仙谷グループは、代表になった野田財務相に談合を押し付け、政策調査会を根城に、思うように内閣をコントロールする手立てを画策した。一方、小澤グループは、輿石<ゾンビ>参議院議員会長(75)を党幹事長に据え、カネと人事権を確保。小澤<牢名主>が座敷牢から解放する体制を整えた。

 このような背景があるため、野田首相には、党内の「しがらみ」がきつく、行動の自由度が殆ど無い。泥鰌(どじょう)は所詮泥の中にしか住めない。米国では、長期国債を買い続けるよう、オバマ大統領に約束させられて帰国し、普天間で頭を下げるために沖縄へ行くことだろう。

 彼には、マリオネットの渾名のように、財務官僚の洗脳が十分に行き届いているから、消費税を含めた増税路線に踏み切る。そのお目付け役は、元大蔵省のドン、藤井裕久党税制調査会長(79)。この人も消えたかと思ったら、臆面も無く高齢を押して、財務省に繋がった監視カメラ役を引き受けた。

 任用した外務、防衛、財務の主要大臣は全て素人。しかも、財政の一部を別にして、野田首相が彼等を指導する経験も力も無い。全て官僚任せになり、前原政調会長が陰の首相として采配を振るだろう。このような内閣を、保守評論家を含めて期待する向きが多いと言うのだから、ただ絶句するのみである。

 野田首相は、6年前に「A級戦犯は、戦争犯罪人ではない」と戦犯の名誉回復に言及した。だが、彼には厳とした国家観が希薄で、韓国ロビーから資金援助を受けるような人物。首相となっても、党内事情を優先するから、靖國神社参拝を期待する方が無理と言うもの。そう言えば、短命であった安倍、麻生両元首相も、靖國参拝をしなかった。

 自民党の稲田朋美衆議院議員(52)が、野田首相の言行不一致を鋭く突いている。

弁護士、衆院議員・稲田朋美 行動が伴わない「どじょう」宰相
2011.9.22 03:39

 野田佳彦首相が財務相だった7月、財務金融委員会で「もし野田大臣が総理になられたら…」という質問を3つした。まず外国人地方参政権付与には反対だと明確に答弁し、次に集団的自衛権の行使は認めるべきだと答えた。が、最後に首相の靖国参拝について尋ねたところ、「慎重にならざるを得ない」と言うのでがっかりした。

 ≪なぜ靖国に参拝しないのか≫

 菅直人前首相がひど過ぎたのと野田首相が「『A級戦犯』は戦争犯罪人ではない」という歴史認識の持ち主なので、保守層には期待する人も多いが、なってからの行動が伴わないとすれば罪は深い。野田政権は集団的自衛権の行使は認めないとの従来の政府見解を引き継ぐと明言した。外国人参政権も菅氏と全く同じ曖昧答弁だった。すでにしてブレているのだ。

 野田首相はかつて「『A級戦犯』と呼ばれる人たちはもはや戦争犯罪人ではないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に内閣総理大臣の靖国参拝に反対する論理はすでに破綻している」と主張し、「『A級戦犯』は戦争犯罪人と認識している」と述べた小泉純一郎首相が靖国参拝したことを、「パフォーマンスにすぎない」と厳しく批判していた。

 野田氏の歴史認識は正しい。小泉首相は行動は正しかったが、理論は誤っていた。東京裁判は、ポツダム宣言の条件にも近代法の大原則である罪刑法定主義にも悖(もと)る、二重に国際法違反であり、裁判の名に値しない復讐(ふくしゅう)の茶番劇だった。「A級戦犯」を戦争犯罪人とすることは茶番劇を日本人が正当な裁判と認めたことになる。中韓両国にとって靖国問題はまさしく「A級戦犯」問題であり、「A級戦犯」が合祀された靖国を参拝することは侵略戦争を美化することだというのだ。

 野田首相が「A級戦犯」を戦争犯罪人ではないと言うのなら、正しい歴史認識を世界に発信するため靖国に行くべきである。ところが、就任後の記者会見で、「これまでの内閣の路線を継承し、首相、閣僚の公式参拝はしない」と明言した。「国際政治などを総合判断することが必要だ」からだそうだ。有言不実行、結局、首相の歴史認識はニセモノだったのだ。

 ≪たらい回し批判の資格ありや≫

 野田氏は福田康夫首相誕生の時、「自民党内での政権のたらい回しは国民の意志ではない。国民の信を得ていない政権は早晩行き詰まる。国民のための政治を実現するため一刻も早く解散・総選挙を行うべきである」としている。

 安倍、福田、麻生と選挙をしない首相が続いたときには「日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦および先の大戦、いずれも日本にとっては国難とも言うべき時期に、わが国はきちんと選挙を行ってきたという歴史だ。『政局よりも景気』『危機の時に政治空白をつくるな』と政府・与党の中からもっともらしい意見が出ているが、国難の時こそ民意を問うのが筋なのだ」と述べていた。鳩山、菅、野田と政権をたらい回しにしてきたのは何なのか。

 平成19年の参院選で自公政権が「消えた」年金記録照合を3月までに行うと約束して約4割が特定困難だった点を指摘、「公約偽装政権は即刻退陣を」さらには「国民にまずは謝罪し、きちんと責任とるのが筋」と主張していた。

 ≪政権公約の財源どこに消えた≫

 政権交代したときの民主党の詐欺的マニフェスト(政権公約)は「消えた」年金記録どころではない。無駄を排して9・1兆円、天下りを廃止して12・1兆円、予算を組み替えて「20兆円・40兆円」すぐに捻出でき、子ども手当、高速道路無料化、高校授業料無償化、農家の戸別補償など約16・8兆円の政策が実現するとしていた。その財源はどこへ行ったのか。まさに「消えた財源」だ。

 首相の言を借りれば、公約偽装の民主党政権は国民に謝罪し責任をとってさっさと退陣すべきだ。

 野田氏は9兆円の税収減(リーマン・ショック)、ねじれ国会、震災を「消えた財源」の言い訳にしているが、16・8兆円は無駄排除と予算組み替えで実現するはずだったので、税収減もねじれも震災も関係ない。できるはずもなかった財源をあると言ったのだ。

 平成21年8月には、「マニフェストに載せたことは命がけで実現する、載せなかったことには基本的には手をつけない。この意義がわかっていない自民党には、そもそもマニフェストを語る資格がない」と痛罵もした。だが、三党合意で子ども手当は廃止され、マニフェストになかった消費税増税については、実施前に信を問うから問題ないと詭弁を弄して、着手しようとしている。紛れもないマニフェスト違反である。いつまでごまかしの政治をするつもりか。

 政治家を養成する「塾」では政治家になるすべは教えても、首相になってなすべきことまでは教えなかったのか。たとえ思想が高邁(こうまい)でも人生の最終目的は思想ではなく行動だ(トーマス・カーライル)。「どじょう演説」で高支持率を得た野田氏が、首相として何をやるのか国民は見ている。(いなだ ともみ)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110922/plc11092203410001-n1.htm


 野田首相は、自分の内閣が当事者能力を欠くことを自覚し、選挙管理内閣として一日も早い解散・総選挙を行うよう希望する。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 表日本を駆け抜けた台風15号 | トップ | ミューニュートリノの速度は... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国内政治:内閣」カテゴリの最新記事