米国もシナ・中共も、時の政権は勝手に振舞うから、仲良くなったり対立したりしている。中共が毛沢東の指導の下で奇妙な「大躍進」政策を取り、自由主義国と対立していた頃、「米国は<張子の虎>である」と中共は罵倒していた。ところが、ニクソン政権(共和党)はキッシンジャーを使って電撃的な国交樹立をし、世界の人々を驚かせた。
人権外交を標榜するカーター政権(民主党)は、ブレジンスキーのアドバイスにより、チベットやウィグル問題に目を瞑って、小平とは結構仲良く付き合っていた。だが、流石に<天安門事件>(1989)が起きると、両者の関係は冷え込んだ。
クリントン政権は、台湾問題で江沢民と対立したが、クリントン夫妻が多額の裏献金を華僑経由で貰った結果、やはりチベット・ウィグル問題には触れることなく、中共のWTO加盟や先端技術供与、それに米国企業のシナ大陸進出を応援した。中共は、米国債を大量に購入して、その好意に応えた。
8年間の小ブッシュ政権(共和党)の末期に、シナの毒入り製品を非難したことはあったが、表立って両国が争うことは無く、リーマン・ショックによる経済危機処理ではお互いに協調した。ただ、ペロシ下院議長(民主党)は、人権問題でシナ・中共をけん制していたのが印象的だ。
ブレジンスキーのG2講演(2009)が予測する通りに、オバマ政権もカーター政権並みに中共との協調を背景に置くのかと思っていたら、昨年末からは風向きが変わって来た。それは、米国の実質的景気回復が遅れていることに起因するのだろう。
両国間の意見食い違いとして、
(1) 人権問題~チベット・ウィグル人の弾圧、情報検閲、法輪功、臓器売買
(2) 台湾問題
(3) 経済問題~特に人為的な為替操作とシナ中共によるデフレ輸出
(4) 環境と資源占有問題
(5) 北朝鮮問題~六者協議による核廃絶プロセス
などが大きな項目である。但し、(4)は米国も突っ込まれると弱点がある。(5)は、中共に積極性が無さそうだし、米国は金正日が消えるまで静観するのではないか。
ここに来て、オバマ政権の国内雇用回復策が進まず、支持率低下が明らかになった。これは、中共がドルに対して人民元を低くペッグしているため(1ドル=6元)、米国産品は国際競争力を失っているとの論調が議会筋で俄かに強まった。人民元は、自由貿易体制の下では、40%を切り上げるべきだと言うのだ。そうすれば、米国内で100万人近い雇用が新たに確保されると強調している。
恐らく、昨年11月中旬のオバマ訪中では、元切り上げが両首脳間でかなり議論されたのであろう。だが、中共も自転車操業だから、おいそれとドル/人民元レートを変えることは出来ない。そんなことをすれば、ハイテク製品や高級品の無いシナ製品は、たちまち国際競争力を失い、工場はバタバタ潰れて失業者が溢れ返る。阿Qの民の怨嗟は、シナ共産党の支配を直撃、政権を根底から脅かすためだ。
また、今人民元を切り上げれば、外資の導入は停滞し、不動産の<上海バブル>破裂時期を早めてしまう。これも、シナ大陸内を大混乱に導く。だから、人民元切上げは絶対に阻止しなければならない。
中共は、「米国主導の<プラザ合意>の結果、円が倍近くに切り上げられ、日本ではバブルを生じて20年の経済停滞を招いた。米国はその悦びを噛み締めているだろうが、我が国はそれをさせない」と啖呵を切っている。
米国が引き起こした日本のバブル崩壊、中国は同じ轍を踏まない―中国紙
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=40665
そこで、オバマ政権は、今年1月、台湾への武器輸出を許可し、2月には大統領がダライ・ラマと会談した。両方とも、シナ・中共は頭に血が上る問題である。明らかに、米国の嫌がらせ外交の連続展開だ。
次に、人権問題をもっと強調して、シナ・中共を揺さぶることにした。情報公開は、世界の人々の理解を集め易く、その検閲体制は中共のアキレス腱でもある。それを暴露する手段として、グーグルがシナから鳴り物入りで撤退すれば、中共へボディ・ブローを与えることは確実だ。これは、予想通りの展開になった。
更に、米国は国務省発行「人権報告書」(09年版)の中で、中共を名指し批判する挙に踏み切った。
米国:ネット規制で中国、イランを批判 09年版人権報告
【ワシントン草野和彦】米国務省は11日、世界194カ国の人権状況をまとめた09年版の報告書を発表した。報告書は同年の特徴の一つとして、インターネットを通じた人権に関する情報へのアクセスが飛躍的に向上したことを挙げた。同時に、政府によるネット規制が進み、利用者の「表現の自由の抑制」や「プライバシーの侵害」が行われたことも指摘し、中国とイランなどを批判した。
報告書は、ネット検閲や罰則を「中国政府が強化している」と言及。特定の海外メディアのウェブサイトにアクセスできないようにすることがあり、特に昨年6月の天安門事件から20年に関するニュースや情報の管理が厳しかったことに触れた。
また、政治的に敏感なキーワードが含まれている電子メールやネット上でのチャット(文字による会話)を自動的に検閲していることも取り上げた。
中国政府のネット検閲を巡っては、米ネット検索大手グーグルがサイバー攻撃を受けたとして今年1月、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表。オバマ政権も支持し、米中摩擦の要因の一つになった。
イランについては、昨年6月の大統領選と反体制運動の高まりの中、フェースブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へのアクセスが妨害された。活動家がビデオ画像をネット上にアップロード(送信)できないようにするため、ネット回線容量が意図的に小さくされたこともあったという。
クリントン国務長官は「インターネットの自由」を外交政策の柱の一つに据えており、報告書はその姿勢が反映されたと言える。
毎日新聞 2010年3月12日 12時26分
http://mainichi.jp/select/world/news/20100312k0000e030049000c.html
これには、中共も黙ってはいない。早速、強烈に反論した。
米は「ネットで覇権主義」 中国が米人権報告書に反論
2010.3.12 19:36
中国国務院(政府)新聞弁公室は12日、「2009年米国の人権記録」と題した報告書を発表した。米国が「中国はインターネットの監視を強化している」とした人権報告書を公表したことに反論し、「米国は“ネットの自由”を旗印に、覇権主義を進めている」と非難した。新華社電が伝えた。
中国側の報告書は、米報告書がチベットと新疆ウイグル両自治区の少数民族の人権問題に触れたことに対しても「人種差別は米国社会の持病だ。米中枢同時テロ以降、イスラム教徒への差別も激化した」と反論。
さらに米国は世界最大の武器輸出国で、軍事費も世界一だと指摘し「米国は強大な軍事力で他国の主権を粗暴に侵犯し、人権も踏みにじっている」と強く批判した。中国は毎年、米国の人権報告書に対抗して報告書を発表している。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100312/amr1003121937012-n1.htm
米国は、これだけ準備をしておいて、愈々4月からは本格的に為替問題に取り掛かるはずだ。WTOへの為替提訴、次いで、中共を「為替管理国家リスト」で指定する。5月から始まる<上海万博>には、イメージ低下になるだろう。そうした段階で、中共が妥協して人民元切上げに少しでも応じれば、オバマ政権の勝利である。
最近のように、PIIGS問題でユーロが不安定では、中共はユーロ債購入を躊躇するはずだし、人民元の価値裏付けのためにも米国債を完全にボイコット出来ない。米国にとっては、仮に中共の米国債購入が減っても、その分は日本に買わせれば良いだけのことだ。
「シナ・中共は、人権を尊重しない国家である」と叩いておき、「そのような国家だから、身勝手な為替操作も平気で行い、世界中にデフレを輸出して迷惑を掛けているのだ」と米国は言いたいのである。どうやら、オバマ政権が続く間は、米・中経済冷戦が維持されるように見える。
経済冷戦は、報復関税の応酬や禁輸措置などの本格的経済戦争に発展するかも知れぬ。欧米は、中共がデフレを輸出しているとの見方で一致している。中共の代理人と噂されるキッシンジャーやブレジンスキーは、以前ならその緊張を緩和させたかも知れないが、老齢化した彼等の関与は遠のいてしまった。
昨年11月に、鳩山<脱税>首相による「トラスト・ミー」詐欺、そして小沢・朝貢訪問団(600名参加)の訪中が連続した形で行われ、それらに米国は唖然としながら強い警戒感を抱いた。米・中の間に強い緊張を齎(もたら)すことは、鳩山<揺らぎ>政権に対して、日米同盟の意義を再考させる側面もあるように思える。
(参考)
検索大手企業グーグルがシナ大陸から撤退
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/8b071103525e6867e32c35f3423ebd2a
米国は人民元切り上げを強く求める行動を始めた
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/a5cf64a6b1c133c8a0c7cc147f1fcab5
人権外交を標榜するカーター政権(民主党)は、ブレジンスキーのアドバイスにより、チベットやウィグル問題に目を瞑って、小平とは結構仲良く付き合っていた。だが、流石に<天安門事件>(1989)が起きると、両者の関係は冷え込んだ。
クリントン政権は、台湾問題で江沢民と対立したが、クリントン夫妻が多額の裏献金を華僑経由で貰った結果、やはりチベット・ウィグル問題には触れることなく、中共のWTO加盟や先端技術供与、それに米国企業のシナ大陸進出を応援した。中共は、米国債を大量に購入して、その好意に応えた。
8年間の小ブッシュ政権(共和党)の末期に、シナの毒入り製品を非難したことはあったが、表立って両国が争うことは無く、リーマン・ショックによる経済危機処理ではお互いに協調した。ただ、ペロシ下院議長(民主党)は、人権問題でシナ・中共をけん制していたのが印象的だ。
ブレジンスキーのG2講演(2009)が予測する通りに、オバマ政権もカーター政権並みに中共との協調を背景に置くのかと思っていたら、昨年末からは風向きが変わって来た。それは、米国の実質的景気回復が遅れていることに起因するのだろう。
両国間の意見食い違いとして、
(1) 人権問題~チベット・ウィグル人の弾圧、情報検閲、法輪功、臓器売買
(2) 台湾問題
(3) 経済問題~特に人為的な為替操作とシナ中共によるデフレ輸出
(4) 環境と資源占有問題
(5) 北朝鮮問題~六者協議による核廃絶プロセス
などが大きな項目である。但し、(4)は米国も突っ込まれると弱点がある。(5)は、中共に積極性が無さそうだし、米国は金正日が消えるまで静観するのではないか。
ここに来て、オバマ政権の国内雇用回復策が進まず、支持率低下が明らかになった。これは、中共がドルに対して人民元を低くペッグしているため(1ドル=6元)、米国産品は国際競争力を失っているとの論調が議会筋で俄かに強まった。人民元は、自由貿易体制の下では、40%を切り上げるべきだと言うのだ。そうすれば、米国内で100万人近い雇用が新たに確保されると強調している。
恐らく、昨年11月中旬のオバマ訪中では、元切り上げが両首脳間でかなり議論されたのであろう。だが、中共も自転車操業だから、おいそれとドル/人民元レートを変えることは出来ない。そんなことをすれば、ハイテク製品や高級品の無いシナ製品は、たちまち国際競争力を失い、工場はバタバタ潰れて失業者が溢れ返る。阿Qの民の怨嗟は、シナ共産党の支配を直撃、政権を根底から脅かすためだ。
また、今人民元を切り上げれば、外資の導入は停滞し、不動産の<上海バブル>破裂時期を早めてしまう。これも、シナ大陸内を大混乱に導く。だから、人民元切上げは絶対に阻止しなければならない。
中共は、「米国主導の<プラザ合意>の結果、円が倍近くに切り上げられ、日本ではバブルを生じて20年の経済停滞を招いた。米国はその悦びを噛み締めているだろうが、我が国はそれをさせない」と啖呵を切っている。
米国が引き起こした日本のバブル崩壊、中国は同じ轍を踏まない―中国紙
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=40665
そこで、オバマ政権は、今年1月、台湾への武器輸出を許可し、2月には大統領がダライ・ラマと会談した。両方とも、シナ・中共は頭に血が上る問題である。明らかに、米国の嫌がらせ外交の連続展開だ。
次に、人権問題をもっと強調して、シナ・中共を揺さぶることにした。情報公開は、世界の人々の理解を集め易く、その検閲体制は中共のアキレス腱でもある。それを暴露する手段として、グーグルがシナから鳴り物入りで撤退すれば、中共へボディ・ブローを与えることは確実だ。これは、予想通りの展開になった。
更に、米国は国務省発行「人権報告書」(09年版)の中で、中共を名指し批判する挙に踏み切った。
米国:ネット規制で中国、イランを批判 09年版人権報告
【ワシントン草野和彦】米国務省は11日、世界194カ国の人権状況をまとめた09年版の報告書を発表した。報告書は同年の特徴の一つとして、インターネットを通じた人権に関する情報へのアクセスが飛躍的に向上したことを挙げた。同時に、政府によるネット規制が進み、利用者の「表現の自由の抑制」や「プライバシーの侵害」が行われたことも指摘し、中国とイランなどを批判した。
報告書は、ネット検閲や罰則を「中国政府が強化している」と言及。特定の海外メディアのウェブサイトにアクセスできないようにすることがあり、特に昨年6月の天安門事件から20年に関するニュースや情報の管理が厳しかったことに触れた。
また、政治的に敏感なキーワードが含まれている電子メールやネット上でのチャット(文字による会話)を自動的に検閲していることも取り上げた。
中国政府のネット検閲を巡っては、米ネット検索大手グーグルがサイバー攻撃を受けたとして今年1月、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表。オバマ政権も支持し、米中摩擦の要因の一つになった。
イランについては、昨年6月の大統領選と反体制運動の高まりの中、フェースブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へのアクセスが妨害された。活動家がビデオ画像をネット上にアップロード(送信)できないようにするため、ネット回線容量が意図的に小さくされたこともあったという。
クリントン国務長官は「インターネットの自由」を外交政策の柱の一つに据えており、報告書はその姿勢が反映されたと言える。
毎日新聞 2010年3月12日 12時26分
http://mainichi.jp/select/world/news/20100312k0000e030049000c.html
これには、中共も黙ってはいない。早速、強烈に反論した。
米は「ネットで覇権主義」 中国が米人権報告書に反論
2010.3.12 19:36
中国国務院(政府)新聞弁公室は12日、「2009年米国の人権記録」と題した報告書を発表した。米国が「中国はインターネットの監視を強化している」とした人権報告書を公表したことに反論し、「米国は“ネットの自由”を旗印に、覇権主義を進めている」と非難した。新華社電が伝えた。
中国側の報告書は、米報告書がチベットと新疆ウイグル両自治区の少数民族の人権問題に触れたことに対しても「人種差別は米国社会の持病だ。米中枢同時テロ以降、イスラム教徒への差別も激化した」と反論。
さらに米国は世界最大の武器輸出国で、軍事費も世界一だと指摘し「米国は強大な軍事力で他国の主権を粗暴に侵犯し、人権も踏みにじっている」と強く批判した。中国は毎年、米国の人権報告書に対抗して報告書を発表している。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100312/amr1003121937012-n1.htm
米国は、これだけ準備をしておいて、愈々4月からは本格的に為替問題に取り掛かるはずだ。WTOへの為替提訴、次いで、中共を「為替管理国家リスト」で指定する。5月から始まる<上海万博>には、イメージ低下になるだろう。そうした段階で、中共が妥協して人民元切上げに少しでも応じれば、オバマ政権の勝利である。
最近のように、PIIGS問題でユーロが不安定では、中共はユーロ債購入を躊躇するはずだし、人民元の価値裏付けのためにも米国債を完全にボイコット出来ない。米国にとっては、仮に中共の米国債購入が減っても、その分は日本に買わせれば良いだけのことだ。
「シナ・中共は、人権を尊重しない国家である」と叩いておき、「そのような国家だから、身勝手な為替操作も平気で行い、世界中にデフレを輸出して迷惑を掛けているのだ」と米国は言いたいのである。どうやら、オバマ政権が続く間は、米・中経済冷戦が維持されるように見える。
経済冷戦は、報復関税の応酬や禁輸措置などの本格的経済戦争に発展するかも知れぬ。欧米は、中共がデフレを輸出しているとの見方で一致している。中共の代理人と噂されるキッシンジャーやブレジンスキーは、以前ならその緊張を緩和させたかも知れないが、老齢化した彼等の関与は遠のいてしまった。
昨年11月に、鳩山<脱税>首相による「トラスト・ミー」詐欺、そして小沢・朝貢訪問団(600名参加)の訪中が連続した形で行われ、それらに米国は唖然としながら強い警戒感を抱いた。米・中の間に強い緊張を齎(もたら)すことは、鳩山<揺らぎ>政権に対して、日米同盟の意義を再考させる側面もあるように思える。
(参考)
検索大手企業グーグルがシナ大陸から撤退
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/8b071103525e6867e32c35f3423ebd2a
米国は人民元切り上げを強く求める行動を始めた
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/a5cf64a6b1c133c8a0c7cc147f1fcab5
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