陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

北朝鮮経済制裁の継続を期待する

2006-07-16 22:15:47 | 朝鮮半島
 仕事の関係で、7月14日からリオ・デ・ジャネイロに来ている。ブラジルは冬季であるが、リオの気温は22度位で実に快適である。イパネマやコパカバーナの海浜では、人々が様々なスタイルで海に親しんでいる。

 私はポルトガル語が全く分からないので、TVニュースは専らCNNワールドヘッドラインズを見ている。金髪のローズマリー・チャーチ キャスターに繰り返しご対面と言うわけだ。折からレバノンの武闘組織<ヒズボラ>勢力が港湾都市ハイファ(イスラエルの第3番目に大きな都会)へ相当数のミサイル攻撃を加えたことに対し、イスラエル軍はベイルートと南部地域を報復空爆、中東危機が再発した。

 CNNは、当事国首脳にコメントを述べさせることや、空爆の実態を様々な角度から報道している。レバノン滞在中の米国人は約25000人、米国大使館と軍が 主体となってレバノン脱出を図りつつあるようだ。レバノン人は故郷を離れ、シリアへ逃げ出している。何とも気の毒な状況だ。だが、オルメルト首相始めイスラエル政府は、国際世論の危惧にもかかわらず、一歩も引かぬ構えである。

 さて、安保理協議では、北朝鮮を非難する決議妥協案が日本時間7月16日早朝に採決され、15カ国理事の全会一致で修正決議が通った。中共の執拗な理事国の切り崩しに対抗して、日本主導でこのように国際世論をまとめたのは、わが国の国連加盟以来最初ではないか。

 欲を言えば7月10日の採決実行で中共を追い込み、拒否権発動させることが出来たら私は90点の評価をするのだが、米国国務省の意向もあったため、とりあえずはこの形で決着したことに80点位を日本政府に上げても良いと思う。安部官房長官、麻生外相、本当にご苦労様でした。

 安保理で採択された北朝鮮決議(1695)の全文を下記産経webにより示すが、 中露と妥協の結果、国連憲章第7章に関する記述は削除されている。 それ故、制裁内容に若干迫力が欠けるのは否めない。しかし、この決議が得られたことで我が国は率先して経済制裁を行う理由とすることが出来る。北朝鮮ミサイルの重要部品は万景峰92により運ばれ、総連からの資金提供はミサイル配備に多大の貢献をしたからだ。

 【前文】 では、一般論や六カ国協議復帰に加えて、注目すべき点は

 一、核・化学・生物弾頭の運搬手段として使用され得る弾道ミサイルを北朝鮮が発射したことに、重大な懸念を表明。
 一、北朝鮮のミサイル発射凍結継続の公約違反に深い憂慮を表明。
 一、北朝鮮が近い将来にさらに弾道ミサイルを発射する兆候があることに、重大な懸念を表明。
 一、北朝鮮が1998年8月31日、周辺各国への事前通告なくミサイル推進による物体を発射、日本近海に落下させたことを想起。

 更に【本文】 において我々が留意すべき点は

 一、現地時間の06年7月5日の北朝鮮による複数回の弾道ミサイル発射を非難。
 一、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を凍結し、ミサイル発射を凍結するという既存の確約の再公約を要求。
 一、加盟各国の法律と国際法に従い、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に、ミサイルやミサイル関連の品目、物資、商品、技術が移転されることを阻止するために必要な措置を、加盟国に要求する。
 一、加盟各国の法律と国際法に従い、北朝鮮からのミサイルやミサイルに関連する品目、物資、商品、技術の調達を禁じ、北朝鮮のミサイルや大量破壊兵器開発に関連したいかなる金融資産の移転も阻止するために必要な措置を、加盟国に要求する。
 一、北朝鮮に対し、前提条件なく6カ国協議に即時復帰し、05年9月19日の6カ国協議共同声明の迅速な履行に向けて行動することを強く要求。特に、すべての核兵器と進行中の核開発計画を放棄し、早期にNPTへの復帰とIAEAの査察を受け入れることを強く要求する。
 一、安保理は6カ国協議を支持し、早期再開を求め、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定と、検証できる形での朝鮮半島の非核化を平和的手段で達成する目的を持った、05年9月19日の6カ国協議共同声明の完全な履行に向け、協議参加国が努力を強めることを求める。
(以上産経webより抜粋)

 これに対して、北朝鮮国連大使は直ちにコメントを述べ、決議を完全に拒絶することを力強く(!)表明した。武大偉・中共外務次官さえ、説得交渉の過程で北朝鮮の姿勢に諦めを見せていたから、これは当然の反応であろう。今回は中露も内心困り抜いている様に見えるが、裏ではミサイル技術を供与して来た両国のこと、何か悪辣な工作を水面下で企んでいるように感じられてならない。それにしても、金正日は何処にいるのであろう。

 サンクトペテルブルグのG8サミットでも、北朝鮮ミサイル問題は取り上げられるだろうが、露仏は中共に配慮するから玉虫色の議長声明になるはず。ただ今、米第7艦隊が日本海へ展開中であり、リムパックも行われているから、この時期テポドン2の再発射はありえないと想像する。再発射の準備段階に入れば、今度は米国が黙っていないだろう。

 G8サミットの動向がどのようになろうとも日本は独自に経済制裁を進め、早速外為法の厳格運用に動いて欲しい。それは、金融制裁が北朝鮮独裁体制の根幹を揺るがすことが明らかになったからだ。また、遅れ馳せながら、日朝平壌宣言破棄を通告してもらいたい。
 
 日本が自衛のために先制攻撃体制の可能性を議論することに対し、韓国は挑発的なコメントを繰り返し出している。猫の目のように変化するそれらの発言に、全て反応する必要は無いが、大事なところは官房長談話できちんと反論することが肝要だ。同時に、昨年から相継ぐ同国の知性の無い行動に不快感を表明し、臆面も無く竹島占拠を続ける非友好国としてヴィザ免除停止に即時動くべきだ。

 安保理北朝鮮決議

 参考のため、国連が「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」を記した憲章第7章を Wikipedia より引用して示す。

 国連憲章第7章
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