陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

北朝鮮のテロ支援国指定解除は見送り

2008-08-11 12:43:41 | 朝鮮半島
 ライスーヒル組にデタント催眠術をかけられていた小ブッシュ大統領、ここへ来て一時的に正気に戻ったようである。8月11日に北朝鮮をテロ支援指定国から解除する予定であったが、核開発計画の申告内容を検証する手続きが合意出来ないことを理由として、解除は先送りされる。

 これは、小ブッシュ政権、特に国務省の汚点になる事は間違いない。大体、提出された核開発計画申告は濃縮ウランについての記載が無く、核物質拡散に関する点も不明のままであった。プルトニウム量管理に関しても、全てを記載しているとは考え難い。

 その申請内容を北朝鮮が六者協議議長国の中共に届けた2時間後に、早くも小ブッシュ大統領は議会へテロ支援国指定解除の通知送ったのである。子供の約束ではあるまいに、数日間これを国家安全保障会議(NSC)で吟味し、内容検証手続きを公開した上で北朝鮮へ確認、それが得られてから議会へ通告するのが普通であろう。ライスーヒル組の認識の甘さがこうした事態を招いている。

 ライスーヒル組は引き下がれないから、更に北朝鮮と相談して検証方法の緩和策を立案すると想像するが、もう一度小ブッシュ大統領へ催眠術をかけるのに時間を要するはずだ。9月に予定された六者外相会議も延期されるであろうし、大統領選の進行と共に予想しなかった事態が生まれ、米朝国交回復の夢は破れるかも知れない。

 CIAの判断ミスで、<北京五輪>を隠れ蓑にしたグルジア軍の南オセチア電撃進出は問題を予想外に拡大してしまった。ライス国務長官は、プーチン首相を相手にそちらの対策に忙殺されるだろう。グルジアの米国軍事顧問団メンバーが何人か戦死している上、同国に滞在する米国人2000名の待避問題もある。こうした背景の中で、ヒル国務次官補単独で北朝鮮の納得する検証方法緩和策を捻り出せるかどうか。

 NSC事務局の見解は次の通りである。小ブッシュ大統領の留守を預かるチェイニー副大統領は、ほくそ笑んでいるかも知れぬ。

北朝鮮の指定解除、米高官が先送り示唆「満足な回答ない」

 【北京=黒瀬悦成】米ホワイトハウス・国家安全保障会議(NSC)のデニス・ワイルダー・アジア上級部長は10日、北京で記者会見し、11日に手続きが可能となる北朝鮮のテロ支援国指定解除について、「明日にはたぶん、何も起きないだろう」と述べ、ブッシュ政権が指定解除を先送りさせる方針であることを表明した。

 ワイルダー上級部長は、北朝鮮が提出した核開発計画の申告内容の検証手続き合意に向け、「北朝鮮と引き続き協議を進めていく」としたものの、米国が提示した検証草案について、北朝鮮側からは「現時点で満足な回答は得られていない」と語った。

 同上級部長によると、6か国協議の米首席代表、クリストファー・ヒル米国務次官補がブッシュ大統領の訪中に合わせて北京入りし、中国側と指定解除問題で協議している。
(2008年8月10日22時02分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080810-OYT1T00565.htm

(参考)

 テロ支援国家指定解除に漣(さざなみ)が立った
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