注目されていた英国の総選挙(6/8)は、保守党の敗北に終わった。保守党は、第一党に留まったものの、過半数に足りないので、北アイルランド地盤の民主統一党(DUP)の閣外協力を得てメイ内閣は維持される見込みだが、当然政権の安定性は著しく低下する。
来週にも始まるEUからの離脱交渉は、予定通り行われるようだが、移民制限を強く打ち出している「ハード・ブレグジット」方針はどの程度主張されるのだろうか。また、EU本部から要求されている8兆円にも上る予算返還要求も英国を悩ませることになる。
【英総選挙】英国民、メイ首相に不信感 方針転換とテロが逆風
産経新聞 2017.6.10
【ロンドン=岡部伸】英総選挙でメイ首相率いる与党保守党が過半数割れしたのは、国民が方針転換を重ねたメイ氏の指導力に疑問符を付け「強く安定したリーダー」ではないと判断したためだ。退陣論が噴出する中でメイ氏が続投の意向を示したのは、辞任による混乱を避ける考えとみられる。欧州連合(EU)離脱で掲げた移民規制を優先して単一市場から撤退する「強硬離脱」(ハードブレグジット)路線の変更を迫られる可能性も出てきた。
圧勝をもくろみ、離脱交渉を有利に進めようというメイ氏の戦略は破綻した。
誤算はEU離脱が主要争点とならなかったことだ。選挙公約(マニフェスト)が批判を受けると修正。国民の不信感は高まった。
逆に大学授業料無償化などを訴えた労働党は若者を中心に国民の共感を得た。
そもそもメイ氏は前倒し総選挙を否定していたにもかかわらず、前言を翻したこともイメージダウンとなった。昨年の国民投票では残留派だったのに強硬離脱派に転向したとの批判もあった。
さらに相次ぐテロ事件が追い打ちをかけた。メイ氏は治安を束ねる内相を6年間務め、約2万人の警官を削減している。テロ対策が不十分だったと攻撃されたのも致命傷となった。
メイ氏は北アイルランドの民主統一党(DUP)と政権維持を目指す方針だが、党内の最強硬派やDUPの圧力で離脱交渉が停滞する可能性がある。黄昏(たそがれ)の老大国の将来に暗雲が垂れ込めている。
http://www.sankei.com/world/news/170610/wor1706100009-n1.html
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