Ed's Slow Life

人生終盤のゆっくり生活をあれやこれやを書き連ねていきます。

他人事

2014年01月29日 | Weblog

                 

福島から遠く離れて住んでいる我々には、原発事故で故郷を追われてしまった
20万の人々の悔しさや苦しみは謂わば他人事にすぎない。200km離れた東
京近辺にも放射能はバラ撒かれたし、ホット・スポットでは未だに地方自治体が
測定値を定期的に発表してはいるけれど、どこかもう事故当初のような緊張感
は薄れてしまっている。


あの事故によって、初めて「原発」という物の正体が暴かれたのである。それま
での我々は供給電力の3割が原子力で賄われていたなんて知りもしなかった。
というより原発に無関心だったし、造られた安全神話にすっかり騙されていた。


愚かなことではあるが、自ずから被災していない「遠く」にいる我々には、それ
がどれほど苛酷で辛いことなのか想像すら上手く出来ない。このことは現在の
沖縄の置かれている状況とも重なって見える。遠く離れて東京に住む我々にと
って、やはり沖縄の人々が戦後68年にもなって未だに米軍基地で苦しんだり
悲しんだりしているのは他人事でしかないのだ。

先日TVで観たアメリカ映画は、人種差別の問題に取り組む若者が殺された事
件の真相を追うFBI捜査官の苦労話だったが、最後に主人公のひとりがいう
「黒人に直接暴行を働いた奴は勿論、それを見て見ぬフリをした奴も同罪だ!」
というくだりが、何か心にグサリときた。


他人事で済まさないためには、我々一人ひとりが勇気を持たねばならないと
教えられているような気がした。


                                         

原発の話に戻るけれど、この発電システムの最大の欠陥は終末(放射性廃棄
物)処理の方法が全くないことである。日本を含めて、どの国もそれを承知の上
で見切り発車し、原発を造ってしまった。そうやって半世紀もの間、廃棄物の処
理をできないまま稼働し続けた結果、各国とももうどうにもならなくなってきてい
る。


放射能無害化まで、1万年もの間安全に保管できるような場所は世界中どこを
探したってありはしない。原発は人類が見切り発車させてしまった大失敗なの
である。こんなものを、未だに続けようと大騒ぎしている人たちの気が知れない。
我々の子孫に巨大な負の遺産を残すだけだ。


この問題は、我々一人ひとりが無関心であってはならないと思う。震災復興も
福島の事故処理もまだ全然進捗が見られない。丸3年にもなろうとするのに・・
・・である。