テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

未知なる味わい?

2018-05-08 22:15:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みんなでェ~いッしょにィ~!」
「がるる!ぐるるるるがる~!」(←訳:虎です!シチリアへ移動~!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ジロ・ディ・イタリア2018》はイスラエルでのステージを終え、
 選手さんスタッフさんたちは次のステージが開催されるシチリア島へ
 4機のチャーター機で大移動!となりました。
 エース級選手さんたちが“本気”を出してくる
 明日以降のニュースを楽しみにしながら、
 さあ、本日の読書タイムも“本気”で、どうぞ~♪
 
  



      ―― シャーロック・ホームズの新冒険 ――



 著者は田中啓文(たなか・ひろふみ)さん、2018年2月に発行されました。
 はい、申すまでもありませんね、
 題名からも分かります、この御本が
 著者・田中さんの得意とする《ホームズ・パロディ》作品であることは。

「こんかいィもォ、やりましたでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:見事な贋作!)

 そうね、パロディというよりも
 パスティーシュ……に近い、のかも知れず、
 もしかしたらSF、なのかもしれないわ。
 
 なにしろ、この作品の中では、
 そもそもホームズさんとワトスン博士の――

「あわわッ! いッちゃだめェでス!」
「がるるるぐるぅる!」(←訳:ネタバレしちゃう!)

 えーと、その、
 ネタバレとまでは行かぬであろう、と思うのですが、
 判断が難しゅうございます。
 この御本には、

 『トキワ荘事件』
 『ふたりの明智』
 『2001年問題』
 『旅に病んで……』
 『ホームズ転生』

 と、5編の短編作品が収録されていて、
 いずれもミステリではあるのですが、
 ホームズさんが登場するのは、
 ただ一編、
 『ホームズ転生』。

「うんうんッ♪」
「ぐるるがるるる!」(←訳:舞台はロンドン!)

 1918年のことだった――
 の一文から始まるこの物語の語り手は、
 もちろん、ドクター・ワトスン。

 しかし、読み始めて早々に
 違和感が強まってきます。

 ……うん、ワトスン博士はここにいる、けれど。

 ホームズさんは、どこかしら?

「へんそうゥちゅうゥ?」
「がるる?」(←訳:出張中?)

 いいえ、ホームズさんが
 ワトスン博士と行動をともにしていないその理由は、
 事件の調査のため誰かに変装しているのでも
 パリやローマに出張しているのでもなく。

「えッ? まさかァ??」
「ぐるるるる??」(←訳:こんな所に??)

 ホームズさんがどこにいるか。

 それこそが、
 著者・田中さんの仕掛けであり、狙いであり、
 この物語の“要”でしょうか。

 私たち読み手は、田中さんの打った意外な手に驚かされ、
 次の瞬間には胸を躍らせます。

 このホームズさんとワトスン博士の冒険は
 どこへ向かうのか?

「ひやあせェ、かきまスゥ!」
「がるるる!」(←訳:怖ろしや!)

 収録されている5作品いずれにも
 おそろし~い罠や陥穽が張り巡らされておりますが、
 SF好きな方々におすすめなのは、
 『2001年問題』です。

 ここで著者・田中さんの餌食にされちゃってるのは、
 アーサー・C・クラークさんと
 アイザック・アシモフさん?

「わァおッ!」
「ぐるるがるる?」(←訳:巨匠も餌食に?)

 愉しくも、
 どこかちょっぴり切なくもある
 SFとミステリとパロディとパスティーシュが同居する怪作、
 皆さま、ぜひ、一読を♪



 
コメント
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