まちみちふうけい

四角い枠に切り取られた風景は一瞬のもの、そんな一瞬を追い求めてこれからも相棒と走り続ける・・・

No.1185 万葉歌碑巡り・天香久山編

2019-08-28 09:19:48 | 万葉
おはようございます。












万葉歌碑巡り、今回は橿原市の一番北に当たる所、大和川の支流となる寺川が流れる辺りから天香久山方面を巡って行ってみようと思います。寺川は近鉄橿原線と下ツ道をなぞるように流れた後、橿原市を入った所で向きを90度東へと変え、クネクネと曲がりながら桜井市へと至って行く、その途中、ちょうど中ツ道が通る辺りに竹田と言う集落がある。その町の中にある竹田神社にある歌碑、そのすぐそばにある寺川に架かる橋の欄干には同じ歌が刻まれている↓↓↓

「うち渡す 竹田の原に 鳴く鶴の 間なく時なし 我が恋ふらくは」(大伴坂上郎女・巻4-760)

作者の女性がこの地に訪れた時に、佐保(奈良市)の自宅に残してきた娘を恋しく思う気持ちを歌ったものだと言うことです。まるで昨日(27日)の朝ドラのなつみたいですね、あの赤ちゃん、なつが手を離すと「ママ、ママ・・・」と泣いて、なつが抱き寄せるとピタッと泣き止んだ、広瀬すずより演技うまいやん!!
中ツ道は平城京と明日香の橘寺を結ぶところから橘街道と言う名で街道筋を整備していくとのことだったが、今のところどこがどう整備されているのか分からない感じ、そのルートもイマイチはっきりせず、近鉄耳成駅前を通るのが中ツ道、近鉄大福駅前を通っているのが橘街道となってしまっている、どないなってんねん!その大福駅へと至る道の途中にある三十八柱神社、その境内には一番下の写真にある全文漢字の歌碑が立っている、作者は上の歌と同じ大伴坂上郎女と言うことなのでこの辺りが所縁の地だったと言うことだろうか。この三十八柱神社、読みはほぼそのまま「misoyahashira」、写真を見ても分かるように西日が差し込む時間に訪れたのですが、実は後日、別の目的でも訪れています、その話もまた別枠でお送りすることになると思います。












桜井市の阿部文珠院から西へと橿原市のおふさ観音まで続く道が大和長寿の道、と言っても車がたくさん通る都市間の連絡道路です。桜井の市街地を抜けると田園風景が広がり右手側には耳成山、左手側には天香久山が見えてくる、この辺りにはたくさんの万葉歌碑を見つけることができます。いくつかの歌碑を巡って天香久山の方へと入って行く、広い道が山を貫くように通っているが、ここでのお目当ての場所に行くにはその脇の狭めの道を入って行くのがいいとのことでそちらの方へ。山の裾の緩やかな上り坂を進んで行くと、池の脇に写真下4枚目~3枚目にある歌碑が耳成山と二上山に挟まれるように立っている場所へ、更に道を進んで行くとお目当てである万葉の森の入口へとたどり着く。深い森の中を遊歩道が通っていてその両脇には万葉歌碑が並んで立っている・・・その風景は下にありますフォトチャンネルにて・・・、道は緩やかな上り坂になっていて途中の分岐点で香久山の頂上へと行くことができるが、そちらへは進まず一旦香具山を抜けることにする。

天香久山・万葉の森


















大和長寿の道へと戻り藤原宮跡方面へ少しだけ進むと天香久山神社と記された道標があるのでそちらの方へと入って行く、道は最初山へと真っ直ぐ伸びているが、やがて上り坂となり山の斜面に沿うように建つ民家の中を抜けて行く。その集落が終わる辺り、真正面には香久山のうっそうとした森が控えている、後ろを振り返ると田園風景の中に緑色がくっきりとした耳成山、更にいつもこんな表現でごめんなさい、ちょっとだらしない感じの二上山・・・この山は本当に見る方向によって表情が変わります、またいつか取り上げますね・・・も見えている。坂道を上って行くと道が途切れてしまい、その行き着いた所にあるのが天香久山神社、境内に入って行くと

「春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣干したり 天の香具山」(持統天皇・巻1-28)

「ひさかたの 天の香具山 この夕 霞たなびく 春立つらしも」(柿本人麻呂・巻10-1812)

共に天の香久山と歌に刻まれた2つの歌碑が立っている。持統天皇と言うと推古天皇から始まって4人目となる女性天皇、皇位継承を巡ってのこの時期でよく名前の出てくる人だが、夫の天武天皇の政策を引き継ぎ、藤原京の造営に関わったことや当時の法令の制定などで歴史の教科書でもよく名前が挙がる女性です。写真下2枚目にあるのは藤原宮跡の一角に立つ歌碑ですが、そこにも同じ歌が刻まれています、様々な政治のしがらみを経て天皇の地位へと上り詰めた持統天皇の魂がこの藤原京に宿っている感じ、天香久山はその場所を見守っているかのようです。大和三山の中では一番低く、きれいな姿を見せている他の2つの山に比べるとちょっと地味な存在の天香久山も、万葉集の世界では一番の主役を主張しているかの様です、と言うことで今回もご覧いただきましてどうもありがとうございました。           まちみち


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