コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

ヘルメス夢幻 part7

2014年04月15日 | ゲームブック
前回、ナオミと一緒にネオジオンのミディに捕まりました。
今回は、そのサザダーンからの脱出になります。
で、艦内で今後のヒントが聞けますので、漏れなく拾います。

019:
ナオミを押しやり、右手で短機関銃のバレルを持ち、ブーメランのよ
うに低く放る。無重力の通路を短機関銃はクルクル回りながら飛んで
行き、ひとりの警備兵の脚に絡まった。キミは急いでナオミを追う。
「足音が聞こえるんだけど」
「オレたちで2人分、後ろから3人」
「ううん、前から」
「何!?」
キミたちの走る通路は前方で左右に走るもうひとつの通路にぶつかり、
さっきと同じような丁字路をなしていた。その通路を走る足音が確か
に聞こえる。少し行った所の左にさっきのようなタラップがあった。
しかし、これは下に降りるしかない。右にはキャビンのドアが並ぶ。
・構わず前へ走る:124
・キャビンに隠れる:151
・タラップを降りる:191
以降、ヒントを得るためのルートを辿ります。

151:
手近のドアに耳を押し当ててみる。何も聞こえない。ドアを開けて中
にナオミを引っ張り込み、素早く閉める。幸いキャビンには誰もいな
かった。大きなデスクの上にコンピューターの端末が据えてある。
─個室らしいが、ドアのロックがかかっていなかった…
外の足音に、キミは身を強ばらせた。
「オマエらは下に行け!オレたちはキャビンを調べる」
慌ててナオミと一緒にロッカーに潜り込んだ時、外で別の声がした。
「そこは私のキャビンだ」
「捕虜が脱走しました!捜索させていただきます」
「脱走?この停電もそいつの所為か?」
「無様だな、どこの管轄か?」
「ホーソンさまの…」
「なるほど、アノ小娘か」
男の嘲笑を含んだ声と共にドアが開いた。警備兵たちも入って来る。
その足音がロッカーの前で止まった。
「ロッカーの中を拝見させていただきます」
「いかん!」
「自分の落ち度で私をこれ以上不愉快にさせるな!」
警備兵たちは暫く黙って立っていたが、やがて出て行った。
「私だ、ブランシュか?遅くなった…いや、大したことじゃない。あ
のバリュートの最小展張高度だったな。実験の射出高度は?21万、
OK…そこからなら標準減速で7万9千迄は降りられる筈だ。しかし、
これはあくまで計算上だからな…この高度で開いた途端に抗力で吹き
飛ぶということもあり得る…一体こんなことを調べてどうするんだ?
何?判った、今戻る」
メモやディスクを掻き集める音がし、男はキャビンを出て行った。
「あの人、余程偉いのね」
「そうかな…管轄間の力関係だろ」
キミはそっとドアを開けた。さっきの男が右の角を曲がるのが見えた。
正面にはさっきのタラップがある。
※バリュートの展張高度を知ります(※170)。
・タラップを降りる:115
・男の後を追う:127

115:
タラップを降り切った所は人気のない寂しいブロックだった。心なし
か照明も薄暗いような気がする。
・人目を避けて彷徨く内に広いデッキに出た:186

186:
主照明が切れているため、薄暗くてよく見えないが、デッキにはたく
さんの人の気配があった。取り敢えず側に組んであったコンテナの陰
に隠れる。トレーラーの走る音が聞こえた。と思う間もなく大きなド
ラムを叩いたような音がし、誰かが大声で怒鳴る。
そっと顔を出してみると、コンテナを満載したトレーラーが横腹をリ
フトに擦りつけて停まっていた。
トレーラーの運転手がブツブツ言っているらしい声も聞こえる。
「何の騒ぎ?」
「ここは最下層のデッキなんだ…HLVの積み込み作業をやってるん
だろう」
キミはHLVに密航することを考えた。しかし、こう暗くては様子が
サッパり判らない。下手に彷徨くのは危険だ。
・HLVに乗って地球に降りる:159
・デッキを出る:025

025:
そっとデッキを抜け出し、人目を避けつつ暗い通路を歩く。たまたま
見つけたタラップを昇った先は、最初に隠れたのと同じような丁字路
だった。タラップはさらに上にも続いている。
・タラップを上に昇る:104
・丁字の縦棒の通路を行く:181
・右の通路を行く:140
・左の通路を行く:135

135:
暫く歩くと右の通路は切れ、その先には薄暗くだだっ広い空間が口を
開けていた。そこはモビルスーツデッキだった。
主照明が切れているため、中の様子はハッキリとは判らないが、そこ
ここでハンドライトの光が動いているのを見ると突然の停電にも関わ
らず作業を続けているのだろう。
ハンガーにズラリと並んだモビルスーツが非常灯の淡い光に照らし出
され、ぼんやりと見える。ガザ系の華奢な機体に混じり、頭ひとつ分
大きい機体が一際目立っていた。
巨大なバインダーを2つ背負ったその機体は、キミの見たことのない
タイプだった。後ろで足音が聞こえた。異形の機体に目を奪われてい
たキミは、ハッと我に返る。
・デッキを突っ切って走る:053
・デッキの中に隠れる:118

118:
ナオミの手を引き、トレーラーの荷台に飛び乗る。様子を見ようとし
たキミは、慌てて顔を引っ込める。2人のメカマンがこちらに歩いて
来るのが見えた。息を殺していると、2人が荷台にドッカリと腰を降
ろす気配がした。
「まぁ、そう熱くなるなって」
「他人事みたいに言いやがって、オマエだってあんな小娘に好き勝手
言われてみろ、とても平気な顔は出来ないぜ」
─ミディのことか?
「強化人間だか何だか知らんが、あんなイカれた大男にパイロットを
やらせようなんて、オレに言わせりゃ軍人のやるこっちゃないね。そ
れを何だアノ小娘は!サイコミュはどうだのインコムのミノフスキー
クラフトはどうだのきゃあきゃあケチつけやがって!」
そっと顔を出した時、警備兵が走り込んで来るのが見えた。手近のメ
カマンを捕まえ、声高に喚いている。
・そのまま隠れている:178
・そっとデッキの反対側に逃げる:142

178:
「地上でオールレンジ攻撃をやろうって発想からしてマトモじゃねぇ」
「でも、HLVで降ろすんだから…新型の4-6センサーを使えばで
きるんだろ?サイコミュのサポートまでやってくれるセンサーだって
聞いたけど…」
「そのセンサーの大きさを知らねぇのか?胸のコクピットのスペース
迄潰してやっと載せたんだぞ。お陰でボディは殆ど新設計よ…」
「コクピットは右に寄せたんだってな」
「前代未聞だぜ、腕の駆動部をどうしたのか、設計したヤツでさえ忘
れちまってるんじゃないか?だいたいアノ機体は、ナリがデカいくせ
にボディの容積が小さいからな」
警備兵が指示したらしく5、6人のメカマンがデッキの中を歩き始め
る。キミはナオミに囁いた。
「後ろにタラップ…見える?」
「はい…」
「先に行け。昇るんだ」
・幸い誰も気づかなかったようだ:102
※とある機体の構造を知ります(※015)
メカマンの愚痴を聞いたとこで、次回に続きます。
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ヘルメス夢幻 part6

2014年04月08日 | ゲームブック
前回はVガンダムをMS形態に変形させたとこで終わり、
今回はその続きなのですが、その白昼夢は中断されます。

206:
ビームサーベルのロックを解除した途端、警報が鳴った。
「何だ?」
マルチモードディスプレイで赤い表示が点滅している。
「白兵戦オートプログラム入力不完全?」
咄嗟に右腕のオート回路を閉じ、マニュアル操作で腰のラックから飛
び出したサーベルを握る。全周囲モニターが灰色の闇に閉ざされた。
雲に入ったのだ。赤外レーザーが周囲を掃くように照射され、パッシ
ブセンサーも作動を始める。
「ビームサーベルが使えないじゃないか!」
「マニュアルでやれば何とか…」
プログラムを呼び出すと、マルチモードディスプレイをリストが流れ
た。完全ではないが、基本的な動作なら何とかなりそうだ。
再び警報が鳴り、リストがパッと消えた。代わりに接近して来るリッ
クディアスの方位と速度が表示される。
─後ろか!
ビームサーベルを構えたリックディアスが背中に斬りかかって来た。
・マニュアル操作でビームサーベルを使う:101
・オートにして不完全なプログラムに頼る:050
・前にジャンプして逃げ、ビームライフルを構える:116

101:
オートのメインスイッチを切った。これで総ての動作はマニュアルで
操作される。前にジャンプしながら空中で振り向く。
膝をついて姿勢を低くし、リックディアスの両腕をビームサーベルで
掬い上げる。リックディアスの両腕は肘関節より少し前で切断された。
後退しようとするリックディアスに追いすがり、胸部にビームサーベ
ルを突き立てる。
・爆発が起こり、大量の塵を再び巻き上げた:182

182:
ホッと息をつき、スティックから手を放してシートに凭れる。後ろか
らリエがソッとキミの首に腕を絡めて体を寄せて来た。
「暫く眠ろうよ…」
「眠る?そうすれば現実に戻れるのか?」
キミは胸の上のリエの手に自分の手を重ねた。
「ナオミが…待ってるもんな」
「お願い」
リエの手がギュッと握り締められた。
酷く親しい暖かさだった。キミはその暖かさが誰のものか知っていた。
「オマエはリエじゃない…オマエは」
キミは振り返った。リエは泣いていた。
しかし、涙に濡れたその瞳は、リエの瞳ではなかった。ナオミの瞳だ。
・キミはその瞳を呆然と見詰めた:157

157:
ナオミはリエの姿を借り、総てを忘れろと囁いている。
「何故…どうして忘れなきゃならないんだ?」
「アナタがリエを殺したから」
その瞬間キミは見た。ナオミの見たリエの死を。弱々しく呻く血塗れ
のリエに駆け寄ろうとするナオミの頬をT・Tの連中が打つ。抑え込
まれ泣き叫ぶナオミの前で、リエに向けられた自動小銃が火を吹く…。
「アナタが来なければ、リエは死なずに済んだ筈なのに…アナタはリ
エを助けることだって出来た筈なのに…」
誰も覗くことは許されない、ナオミ本人でさえ知らないであろう彼女
の意識の底─
キミへの想いとリエの死という現実の間で藻掻く葛藤する姿を。
傷ついたリエを見捨て、結果的に死に追いやったキミ─しかし、ナオ
ミに取ってキミはまたただひとりの大切な存在だった。
総てを忘れて欲しい─それはナオミの想い、意識下の葛藤が生んだ悲
しい叫び…。
ナオミがキミから身を離した。パッと背を向けて走り去る。
「ナオミ!」
ナオミが振り向いた。その顔がパッと明るくなる。
「気がついたのね!」
キミの前に膝をついたナオミが心配そうに覗き込む。
キミはやっと、ここがサイド6であることを意識した。ジオン兵の追
跡が続行中であることも。
─そうだ…こんなことやってる場合じゃない。
下へ降りる階段の前にカセムがいた。
様子がおかしかった。拳銃を持った右腕をダランと垂らし、荒い息を
ついている。体は小刻みに震え、意識不明の呻き声を漏らしていた。
「カセム…」
キミの声にカセムはビクッと体を震わせた。キミがそこにいるのに初
めて気づいたような目をして後退りした。
「来るな…オマエは…」
怯えた声を上げながらキミに拳銃を向けようとした。しかし、右腕は
大きく震えるだけで持ち上げることすら出来ない。
自分の腕を相手に格闘を始めたカセムを見たキミは、彼の狂気の正体
を悟った。
─禁断症状だ…薬を打たれたんだな。
キミは思わずカセムに向け、一歩踏み出した。その脚にカセムがしが
みついてくる。
「オマエが…オマエが!」
両手を首にかけて絞めようとするが、本人の必死な形相にも関わらず、
ただ震えるだけで力が入らない。いきなり誰かがカセムの肩に手をか
けた。カセムがキミから荒々しく引き離される。カセムの体重から解
放されてホッと息をついたキミの鼻先に短機関銃が突きつけられた。
両手を上げながら目を上げると、ジオン兵が立っていた。
「2人一度に捕獲できるとはな。手間が省けて助かった、礼を言うよ」
後ろで鎮静剤を打たれたらしく、グッタリとなったカセムが拘束衣を
着せられていた。
両脇をジオン兵に挟まれたナオミが階段を降りて来た。不安そうな目
でキミを見る。彼女に笑って見せたキミは、下からさらに1個分隊程
の兵隊が上がって来るのを見て肩を竦めた。

キミとナオミ、そして、カセムは軍の特別車に乗せられ、ベイブロッ
クに連れて行かれた。そこでシャトルに乗り換え、宇宙に出る。
そのままかなり長い時間が経った。サイド6の領空はもうとっくに出
ているだろう。
─カセムとオレは部隊も違っていた。ネオジオンがオレたちに共通の
目的を見出すとすれば…強化処理しかない。
しかし、それをナオミに告げる勇気はなかった。
まだ距離はあったが、その独特な丸味を帯びたフォルムでネオジオン
の艦であることは一目で判る。しかし、キミが港で二、三度見かけた
巡洋艦ではなかった。二回り程サイズが大きく、左右にエンジンナセ
ルらしきモノがついている。
シャトルはその艦にグングンと接近し、後部デッキに着艦した。
不安そうな顔をしているナオミを残し、キミはシャトルを降ろされた。
やたら広い艦内を歩きに歩いた末に小さなキャビンに閉じ込められる。
「サザダーンへようこそ」
2人の警備兵に挟まれて立っている派手な軍装の女性兵を見たキミは、
少なからず驚いた。どう見ても16、7の少女だ。
「今後の処遇は、我々ネオジオンに対するオマエの誠実さ如何で…」
「やめなさい」
少女の静かな声に、警備兵が戸惑ったように口を噤んだ。
「ホーソンさま…」
「私ひとりで十分です。2人は外で待っていなさい」
警備兵が出て行くと、少女は小さなソファに腰を降ろした。
「─キミは偉いんだな」
「強化人間に関する連邦の研究資料を収集する責任者だからね」
「オレもその研究資料とやらの一部って訳だ。で、オレをどうする?
カセムみたいに薬漬けにしてポイか?」
「私はね、アナタに興味を持ってるの。アナタはアノ大男とは違う…
そうじゃない?F008さん」
「FISTのメンバーに与えられるFナンバー…かろうじて消却を逃
れ、押収できたムラサメ研の書類の中に番号を見つけた時、正直言っ
てガックリ来たわ。だって一桁のFナンバーを持った男がまだ生きて
いるなんて信じられなかったもの。だから、パンドラを持ってネオジ
オンを翻弄したヘルメスがF008らしいって情報が入った時は本当
に嬉しかったわ」
「アナタは連邦の強化処理の唯一の成功例…カセムや他の失敗作のよ
うな精神異常者とは違うわ」
「カセムは、サイド2で発見した時、既に分裂症的な症状を呈してい
たのよ。薬剤投与や暗示で何とかしようとしたけどダメだったわ」
「ねえ…、アナタの本当の名前を教えて」
「忘れちまったな…キミは何て言うんだ?」
「ミディ…ミディ=ホーソン」
「アナタは人が自らの手で己を進化させることのできた第1号…最強
の戦士…これがどういうことか判る?」
「アナタは人類がニュータイプとして進化するための鍵…」
「私はアナタを離さない…誰にも渡さない…例えネオジオンにだって」
「お誘いは嬉しいけど、オレには先約があってね。それに…」
ミディが去った後、キミはキャビンの中を調べにかかった。しかし、
小一時間隅から隅迄調べても脱出の取っかかりすら掴めない。その時、
いきなり照明が消えて何も見えなくなった。
暫くしてやっとオレンジの非常灯が点く。同時に外で銃声が響いた。
ドアがこじ開けられ、短機関銃を構えたナオミが姿を見せる。
キミがドアの隙間を潜った途端、廊下の向こう側に2人の警備兵が現
れた。ナオミが短機関銃を乱射した。
暫く走ると、左から来た通路が交わった角に来た。丁字の縦棒がぶつ
かった所にエレベーターがあり、今は動いていないそれに代わって横
の壁が開き、上下に急なタラップが続いている。
その時、右の通路をこっちに走って来る足音が聞こえた。慌てて体を
引っ込めたが遅かったようだ。
「いたぞ!」
・左の通路を走って逃げる:010
・丁字の縦棒の通路を走って逃げる:019
・タラップを上に昇る:054
・タラップを下に降る:095
ピンチになったとこで、次週に続きます。
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ヘルメス夢幻 part5

2014年04月01日 | ゲームブック
前回は目的のVガンダムを発見いたしました。
今回はその続きからでございます。

057:
ハッチを開き、リフト迄の距離を目測する。外に泳ぎ出し、ハッチの
裏を蹴り、一気に飛び出す。体を丸めて荷台に転がり、パッと立ち上
がる。人影はリフトの下で躊躇ったように立ち止まった。
ノーマルスーツの色から見て作業員ではないようだ。その体の線を見
て取ったキミはハッとなった。
─女か!?
彼女が腰のホルスターに手をかけるのを見て、キミはリフトから飛び
降り、遅い落下速度がもどかしく思える。
着地するついでに足で女の手から拳銃を叩き落とす。転がる拳銃を拾
うとする彼女の手を取って捻り上げ、こちらを向かせる。バイザーの
奥の顔がハッキリと見えた。
─やっぱり…
女はリエだった。突然激しい頭痛がキミを襲った。一瞬気が遠くなっ
た程の痛みだ。掴んでいた力が抜けたのか、リエはスルリとキミの腕
から逃げ、落ちている拳銃に走り寄る。
拳銃を拾い上げるリエを見て、キミは反射的に拳銃をホルスターから
抜いていた。振り向いたリエが拳銃を向ける。
・リエを撃つ:202
・拳銃を投げ捨てる:029

029:
右手に持った拳銃をフロアに叩きつけ、両手を左右に伸ばし、リエの
前で大の字に立ちはだかる。
リエは無言で拳銃を向けている。指はトリガーにかかったままだ。
突然、激しい衝撃が工場を揺さぶった。蹌踉めいて思わず見上げたキ
ミの目に崩れ落ちて来る天井が映る。リフトの下に潜り込もうと走っ
たキミは、竦んで棒立ちになったままのリエを見て思わず怒鳴った。
「バカ野郎!何考えてんだ!」
リエを引き摺って張り出した荷台の下に飛び込む。一瞬遅れて、コン
クリの塊や折れた鉄骨が降って来てフロアを叩いた。
ネモがゆっくりと前のめりに倒れていくのを見ながら、キミは唇を噛
んだ。コクピットを下にして倒れているネモに乗るには、クレーン車
でも持って来なければならない。
「データバンクを爆破したわ」
キミの腕の中でリエがポツリと呟いた。
「もうすぐ工場全部が崩れる…」
キミはVガンダムの載っているリフトを見上げた。モビルアーマー形
態での操縦なら知らない機種でも何とかなるだろう。
リエを立たせてリフトに飛び乗る。Vガンダムの上には幸い大きな破
片は落ちていなかった。
「どうやって開けるんだ?」
リエはハッチの横に黙って膝をつき、小さなスライド式の蓋で隠れて
いたキーボードを叩いた。バクンとハッチが上に跳ね上がる。
中に飛び込んでフローティングシートに腰を落ち着け、メインスイッ
チを探す。ヘッドレストの左に張り出したパネルにあったそれを入れ
ると、全周囲モニターが白く輝き出し、コンソールパネルが両脚の間
から起き上がって来た。
リエは動かない。シートを蹴って立ち上がり、リエの手を掴んで無理
矢理引っ張り込んでハッチを閉める。
動力炉の状態が正常であることを確認し、キミは垂直方向の推進器を
作動させた。
「行くぞ。しっかり捕まっていろ」
壁に開いた穴を潜って外に飛び出す。その途端、警報と共に目の前の
モニターで赤文字が躍った。
─高熱源体!?ミサイルかっ!
回避しようと左のコントロールスティックに手をかけたキミは、リエ
のことを思い出して躊躇った。一瞬判断が遅れ、Vガンダムは落下し
た3発のロケット弾が吹き上げた塵の雲に包まれた。
雲を飛び出した時、モニターの左上方で二重のカーソルが点滅し、分
析データが表示される。
クレイバズーカ装備のリックディアスだ。パトロールにでも出ていた
ヤツが急を聞いて駆けつけて来たのだろう。
リックディアスのクレイバズーカが再び火を吹いた。Vガンダムは軽
く加速し、それを後方に逸らす。
「よく見ろ味方機だぞ!」
キミは思わず怒鳴っていた。こちらがVガンダムであることは当然向
こうも判っている筈だ。それでいて躊躇いもせずに撃ってくるという
ことは、敵のパイロットは余程の切れ者か、さもなければ思い切りの
良いだけのバカだ。
その時、今迄一言も喋らなかったリエがポツリと言った。
「変形して」
「え?」
聞き取り損ねたキミは、思わず振り向く。
「モビルスーツ戦になったら、Gはこんなモンじゃないぞ!」
「でも、このままじゃ…」
「お前が死んじまう!」
言ってからハッと口を噤む。
正面を見据えたまま、キミは独り言のような調子で呟く。
「オマエを殺したのは、本当にオレなのか?」
リエはそれには答えず、祈るような声で囁いた。
「変形して戦って…アナタなら出来る」
・変形する:149
・このまま逃げ続ける:189

149:
リエのその声が、キミに総ての躊躇いを忘れさせた。
「よし…任された。3秒だけ我慢しろ、その間にアノ目障りなヤツを
片づける!」
「行くぜ、ヴァリアブルガンダム!」
キミはどうすれば変形するのか知らない自分にやっと気づく。
後ろでリエが溜息をつくのが聞こえた。
「左のスティックの下のボタンでアーマー時の推力系が全部閉じるわ。
後は右下のレバーを引けば、変形シークエンスが始まる。変形後のモ
ビルスーツの状態を設定したいなら、そこのパネルで」
「パネル弄ってる暇はないな」
キミはリエに言われた通りのボタンを押しながら、ハッチロック主動
解除ハンドルだとばかり思っていたレバーを引いた。
相対速度が跳ね上がり、互いに正面から接近しつつあった2機のモビ
ルスーツはアッという間に擦れ違った。
パイロットが適切な操作をすれば、Vガンダムはまるで手足の如く反
応するだろう。しかし、それ故に少しのミスでさえ致命的となる。
反転したリックディアスが再び接近して来た。クレイバズーカを3連
射、全弾撃ち尽くしたのか、まだ砲口から煙を吐いているそれを放り
投げ、ビームサーベルを閃かせてジャンプして来た。
キミに見えたのは、そこまでだった。3発のロケット弾が落下し、V
ガンダムの前方に塵の雲を作った。
・ビームサーベルを抜き、塵の雲に飛び込む:206
・思い切り加速し、可能な限り早く塵の雲を抜ける:075
・制動をかけて停止する:187
モビルスーツに変形したとこで次週に続きます。
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