コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

ヘルメス夢幻 part5

2014年04月01日 | ゲームブック
前回は目的のVガンダムを発見いたしました。
今回はその続きからでございます。

057:
ハッチを開き、リフト迄の距離を目測する。外に泳ぎ出し、ハッチの
裏を蹴り、一気に飛び出す。体を丸めて荷台に転がり、パッと立ち上
がる。人影はリフトの下で躊躇ったように立ち止まった。
ノーマルスーツの色から見て作業員ではないようだ。その体の線を見
て取ったキミはハッとなった。
─女か!?
彼女が腰のホルスターに手をかけるのを見て、キミはリフトから飛び
降り、遅い落下速度がもどかしく思える。
着地するついでに足で女の手から拳銃を叩き落とす。転がる拳銃を拾
うとする彼女の手を取って捻り上げ、こちらを向かせる。バイザーの
奥の顔がハッキリと見えた。
─やっぱり…
女はリエだった。突然激しい頭痛がキミを襲った。一瞬気が遠くなっ
た程の痛みだ。掴んでいた力が抜けたのか、リエはスルリとキミの腕
から逃げ、落ちている拳銃に走り寄る。
拳銃を拾い上げるリエを見て、キミは反射的に拳銃をホルスターから
抜いていた。振り向いたリエが拳銃を向ける。
・リエを撃つ:202
・拳銃を投げ捨てる:029

029:
右手に持った拳銃をフロアに叩きつけ、両手を左右に伸ばし、リエの
前で大の字に立ちはだかる。
リエは無言で拳銃を向けている。指はトリガーにかかったままだ。
突然、激しい衝撃が工場を揺さぶった。蹌踉めいて思わず見上げたキ
ミの目に崩れ落ちて来る天井が映る。リフトの下に潜り込もうと走っ
たキミは、竦んで棒立ちになったままのリエを見て思わず怒鳴った。
「バカ野郎!何考えてんだ!」
リエを引き摺って張り出した荷台の下に飛び込む。一瞬遅れて、コン
クリの塊や折れた鉄骨が降って来てフロアを叩いた。
ネモがゆっくりと前のめりに倒れていくのを見ながら、キミは唇を噛
んだ。コクピットを下にして倒れているネモに乗るには、クレーン車
でも持って来なければならない。
「データバンクを爆破したわ」
キミの腕の中でリエがポツリと呟いた。
「もうすぐ工場全部が崩れる…」
キミはVガンダムの載っているリフトを見上げた。モビルアーマー形
態での操縦なら知らない機種でも何とかなるだろう。
リエを立たせてリフトに飛び乗る。Vガンダムの上には幸い大きな破
片は落ちていなかった。
「どうやって開けるんだ?」
リエはハッチの横に黙って膝をつき、小さなスライド式の蓋で隠れて
いたキーボードを叩いた。バクンとハッチが上に跳ね上がる。
中に飛び込んでフローティングシートに腰を落ち着け、メインスイッ
チを探す。ヘッドレストの左に張り出したパネルにあったそれを入れ
ると、全周囲モニターが白く輝き出し、コンソールパネルが両脚の間
から起き上がって来た。
リエは動かない。シートを蹴って立ち上がり、リエの手を掴んで無理
矢理引っ張り込んでハッチを閉める。
動力炉の状態が正常であることを確認し、キミは垂直方向の推進器を
作動させた。
「行くぞ。しっかり捕まっていろ」
壁に開いた穴を潜って外に飛び出す。その途端、警報と共に目の前の
モニターで赤文字が躍った。
─高熱源体!?ミサイルかっ!
回避しようと左のコントロールスティックに手をかけたキミは、リエ
のことを思い出して躊躇った。一瞬判断が遅れ、Vガンダムは落下し
た3発のロケット弾が吹き上げた塵の雲に包まれた。
雲を飛び出した時、モニターの左上方で二重のカーソルが点滅し、分
析データが表示される。
クレイバズーカ装備のリックディアスだ。パトロールにでも出ていた
ヤツが急を聞いて駆けつけて来たのだろう。
リックディアスのクレイバズーカが再び火を吹いた。Vガンダムは軽
く加速し、それを後方に逸らす。
「よく見ろ味方機だぞ!」
キミは思わず怒鳴っていた。こちらがVガンダムであることは当然向
こうも判っている筈だ。それでいて躊躇いもせずに撃ってくるという
ことは、敵のパイロットは余程の切れ者か、さもなければ思い切りの
良いだけのバカだ。
その時、今迄一言も喋らなかったリエがポツリと言った。
「変形して」
「え?」
聞き取り損ねたキミは、思わず振り向く。
「モビルスーツ戦になったら、Gはこんなモンじゃないぞ!」
「でも、このままじゃ…」
「お前が死んじまう!」
言ってからハッと口を噤む。
正面を見据えたまま、キミは独り言のような調子で呟く。
「オマエを殺したのは、本当にオレなのか?」
リエはそれには答えず、祈るような声で囁いた。
「変形して戦って…アナタなら出来る」
・変形する:149
・このまま逃げ続ける:189

149:
リエのその声が、キミに総ての躊躇いを忘れさせた。
「よし…任された。3秒だけ我慢しろ、その間にアノ目障りなヤツを
片づける!」
「行くぜ、ヴァリアブルガンダム!」
キミはどうすれば変形するのか知らない自分にやっと気づく。
後ろでリエが溜息をつくのが聞こえた。
「左のスティックの下のボタンでアーマー時の推力系が全部閉じるわ。
後は右下のレバーを引けば、変形シークエンスが始まる。変形後のモ
ビルスーツの状態を設定したいなら、そこのパネルで」
「パネル弄ってる暇はないな」
キミはリエに言われた通りのボタンを押しながら、ハッチロック主動
解除ハンドルだとばかり思っていたレバーを引いた。
相対速度が跳ね上がり、互いに正面から接近しつつあった2機のモビ
ルスーツはアッという間に擦れ違った。
パイロットが適切な操作をすれば、Vガンダムはまるで手足の如く反
応するだろう。しかし、それ故に少しのミスでさえ致命的となる。
反転したリックディアスが再び接近して来た。クレイバズーカを3連
射、全弾撃ち尽くしたのか、まだ砲口から煙を吐いているそれを放り
投げ、ビームサーベルを閃かせてジャンプして来た。
キミに見えたのは、そこまでだった。3発のロケット弾が落下し、V
ガンダムの前方に塵の雲を作った。
・ビームサーベルを抜き、塵の雲に飛び込む:206
・思い切り加速し、可能な限り早く塵の雲を抜ける:075
・制動をかけて停止する:187
モビルスーツに変形したとこで次週に続きます。
コメント
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