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コキュートスの記憶

日々の出来事とか戦果(買い物)とか。
主にガンダムを中心にしています。

シャアの帰還 part9

2015年02月17日 | ゲームブック
162:
 次の日は、念入りな襲撃計画の打ち合わせと準備で瞬く間に過ぎ去っ
た。夜も更ける頃、シャワーを浴びてひと息ついていると、私室のドア
をノックする音がする。
「誰だ?」
 注意深く声をかける。
「わたしです」
 ユカの声だ。わたしはゆっくりとドアを開けた。
「すみません、こんな夜遅く…」
 ユカは部屋に入ると手に持ったドリンクパックをふたつ、丸テーブル
に置いた。こんな時間に、男の部屋に来る所がいかにも男というものを
知らぬ娘らしい。
「わたしに何か用かな?」
「いえ…ただ、胸騒ぎがしたので…」
「プレッシャーを感じるとでも?」
「はい。厭な気がするのです。何か得体の知れないものが襲って来るよ
うな…」
 その感覚は、わたしにも理解できた。言葉では説明できないが、頭の
中を蛇がのたうつような感覚とでも言えば似たようなものかも知れぬ。

027:
「心配することはない。わたしは必ず宇宙に上がる」
 ユカの肩に手を置き、わたしは優しい声で言った。
「今のわたしにはまだせねばならぬことがある。それをやり遂げるまで、
わたしは死なん」
「貴方は…わたしの思い過ごしかとも思うんですが…シャア…」
 彼女の言葉はそこで途切れた。わたしがその唇を塞いだからだ。唇を
離し、わたしは囁いた。
「今のわたしは、クワトロ=バジーナだ。君にはその名前だけを覚えて
いて貰えば…それでよい」

 翌朝目覚めた時、ユカの姿は既になかった。
 わたしには、昨夜の出来事が総て夢のように思えた。だが、シーツに
ヘレン・ヘレンの匂いが残っている。それは、彼女の使用している石鹸
の匂いであった。

192:
 数時間後、わたしはエグムの調達したトレーラーの荷台で、息を潜め
て待機していた。手筈では、軍の輸送部隊を装って基地内に入り、タイ
ミングを計って一斉に蜂起するということになっていた。その刻限は、
正午キッカり…。
 やがて、トレーラーはチバシティの基地へと辿り着いた。どうやら、
ゲートで検査を受けているらしい。わたしは待った。しかし、かなりの
時間が経過したというのにトレーラーは停止したままだ。
・運転席へ様子を見に行く:348
・このまま待機を続ける:102
※どのみち、見つかってしまうのでポイントが増える選択肢を…。

348:
 気になったわたしは、運転席に通じるハッチを開けて顔を出した。
「どうした?何があったのだ?」
 しかし、それは軽率な行動だった。検査をしていた兵士が、わたしの
顔を見て目を大きく見張る。
「お、お前は…!?」
 チィッ!わたしの正体が露見したのかッ!?
・咄嗟に兵士に跳びかかる:275
・ドアを開け、外に飛び出す:042

275:
 わたしは反射的にドアを開け、兵士に跳びかかった!
・敵を倒した:206
・敵に倒された:071
・逃亡する:091

206:
 久しく戦いから遠離っている腑抜けの兵士など、所詮わたしの敵では
ない。呆気なく戦意を失って床に転がる。
(熟練値+3)

311:
 わたしは走った。騒ぎを聞きつけた兵士が続々と集まって来る。ヤツ
らの乱射する銃弾が、冷たい床に跳ね、乾いた音を立てた。
 走るわたしの視界に、軍用エレカが停まっているのが見えた。咄嗟に
飛び乗り、差し込みっぱなしのカードキーを捻る。幸運なことに、エン
ジンは一発でかかった。このような事態に陥ったからには、強引にアウ
ドムラへ突入するより他あるまい。
・戦闘レベル5以上:337
・4以下:379

337:
「逃がすな!最悪の場合は射殺しても構わん!」
 怒号が響き、後方からエレカの発進する音がした。ミラーに目をやる
と、ヤツらも軍用エレカに乗り込んでいる。
「基地内でカーチェイスをやるとは、ヤツらも努々思っていなかっただ
ろうな…」
 わたしは思わず苦笑を洩らした。
 しかし、ヤツらのエレカは不意に視界から消えた。機転を利かせたエ
グムの連中が、トレーラーを強引に割り込ませたのだ。エレカがトレー
ラーに突っ込み、爆発炎上するのが見て取れた。

一難去ったとこで、次回は本命のアウドムラに向かいます。
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シャアの帰還 part8

2015年02月10日 | ゲームブック
東京湾に不時着したところから再開でございます。

066:
 やがて、我々は暗く鉛色に沈んだ海面下に達した。パラシュートが絡
みつかぬよう、非常用に切り離しスイッチを押す。直ぐ様、パラシュー
トは外れ、私はユカの姿を捜した。
「ここです!」
 見ると、30m程先にユカの姿が在った。
 私はクロールでそこまで泳ぎ着いた。ユカが前方を指差す。
「あそこにセイバーフィッシュが!」
 確かに落下した我々の機体だ。我々は何の苦もなく機体に取りついた。

221:
 旧トウキョウベイは真夜中だった。月も見えぬ。これも大気が汚れて
いる証拠か。
 海上のセイバーフィッシュはエンジンから黒煙を立ち上らせている。
私とユカは、機体上部に腰を降ろした。
 超硬化プラスチック製のため、この機体は水に浮くのだ。
「クワトロさん…」
 ユカがボソッと呟いた。
「どうします?これから…」
 翼端の灯りを浴び、東洋人特有の黒い髪が金色に光っている。
「エグムのアジトは、何処に在るのかね?」
「旧トウキョウの郊外です。多分、ここからだと…」
 ユカはコクピットのモニターにマップを呼び出した。
「30km以上はありますね」

054:
「ふむ…この寒さでは、海を泳いで渡る訳にも行くまい。ま、幸いなこ
とに機体の中にはサバイバルキットもあるし、ノーマルスーツもある。
気長に構えることだな」
 それから数時間後。サバイバルキットの固形食料を口にしながら救助
を待っていた私たちは、1隻の漁船が近くを航行しているのを発見した。
その船は、私たちのいる場所から数百mの所でピタリと停止し、強力な
サーチライトをこちらに向けて来た。一体何のつもりだ…?
・合図を送ってみる:072
・無視する:146

072:
 漁船の灯火を見ていた、ユカの眼が不意に輝いた。
「仲間よ!間違いないわ。エグムの船よ!」
「クワトロ=バジーナ氏かっ!?」
 外部スピーカーから声が流れる。サーチライトの光芒に照らされ、私
とユカは大きく手を振った。
 彼らはエグムのメンバーだった。私たちの機体が海上に墜落したのを
レーダーで確認し、捜索を行っていたのだ。私たちは船に収容され、エ
グムのアジトへと向かった。

218:
 エグムのアジトは、チョウフ近くの都市スリーホークにあった。
「エグムの地球圏責任者、アボリジニー=ストロマトライトです」
 アジトの一室で、私は長身で細面の男に握手を求められた。
「お会いできて光栄です」
「こちらこそ。クワトロ=バジーナです」
 私が握手を返すと、アボリジニーの目が鋭く光った。
「まやかしの名前を使うのはなしにしませんか、シャア=アズナブル」
「何故、私の名を?」
 私は微笑みを浮かべた。
「ルオ商会からの打電にそう書いてあっただけですよ」
「なるほど。ならば、お願いしたい。今の私は、動いていることを知ら
れては困る立場にある。公式には、クワトロ=バジーナということにし
て貰いたいのだ」
「判っています、組織としても、貴方に協力は惜しまないつもりです」
「で、どうやって私をダンジダンの元へ送り出してくれるのかね?」

365:
「そのことなのですが…既に組織の情報網を動員して彼の行方を捜して
います。どうやら、アクシズ戦役の最激戦地だったコア3付近に今も潜
伏しているらしいのですが…。つまり、貴方は再び宇宙に戻らねば。そ
の方法ですが」
「どうするというのだ?」
「ナリタの西30kmに、連邦軍の工業基地があるのはご存知ですか?」
「ああ…チバシティのことだな」
「そうです。チバシティに明後日、アウドムラが来ます」
「アウドムラ?あれは連邦軍が使っているのか?」
「そうです。カラバはロンドベルの下部組織として連邦軍に吸収され、
アウドムラも連邦の所有になったのです。アウドムラは月で発掘された
レアメタル類の積み降ろしに来るのですが、恐らく荷を降ろした後は護
衛のMSやシャトルを積み込み、ホンコンに回航される筈です。そこを
襲撃し、アウドムラからシャトルを射ち上げる」
「確かなのかね、その情報は?」
「間違いありません」
 アボリジニーは立ち上がった。
「今晩はゆっくりお休み下さい。詳しい打ち合わせは明日行いましょう」

ちゅーわけで、次回は打ち合わせからスタートいたします。
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シャアの帰還 part7

2015年02月03日 | ゲームブック
一路、トウキョウのエグム支部に向かいます。

100:
 私たちを乗せた機体は、東シナ海の上空を飛ぶ。
「ユカの言った通りになったな」
 私は言いながら、全く同じ言葉を数年前に口にしたことがあるのを思
い出していた。
 その感触を振り切るように、私は機体を加速させる。
 やがて、陸地が見えて来た。
 あれは…。

050:
 ホンコンを飛び立ったセイバーフィッシュは、数時間の飛行の後、日
本列島の上空に差しかかった。
「酷いモノだな…」
 眼下の光景を見て、私は嘆息した。ジオンの士官学校時代に地球圏の
地勢については何度も講義を受けている筈なのだが、現在見ている日本
列島の形状は、その時のモノとはまるで違っている。旧世紀時代から地
球連邦成立後にかけて高度技術産業の基地となった日本は、ジオン公国
の悪夢─コロニー落としの格好の標的となったのだ。

141:
 フクオカ、オオサカ、ナゴヤ、そして…トウキョウ。日本の主要都市
の大半がコロニー落としで半壊した。
「ユカは、日本の出身なのかな?」
 私は助手席で行儀良く座っている少女に声をかけた。
「ええ…トウキョウの直ぐ近くのムサシノという街です。静かで良い所
ですよ…でも、生まれたのはフォン・ブラウン市なんです。4つ迄は月
に住んでました」
「それじゃ、一年戦争の頃は?」
「地球にいました。丁度、7つか8つの頃かな…」
 そこ迄話し、ユカは不意にビクッと身体を震わせた。
「今でも忘れません…トウキョウにコロニーが落ちた日のことを。空全
体が頭上に迫って来るんです…」
 彼女は私の腕にピッタリ寄り添って来た。怯えた表情が明らかに見て
取れる。
「ゴメンなさい…見ず知らずの貴方にこんなことをして…でも、怖いん
です…」
 私は彼女の体温を感じながら後ろで束ねた髪を撫でた。
「怖がることはない…悪いことを聞いてしまったな」
「いえ…気にしないで下さい」
 戦いの犠牲者がここにもひとり、紛れもなく存在している。

372:
・Bにチェックがある:322
・ない:127

322:
 旧トウキョウ迄後数十kmという時になり、機体が左右に振動を始め
た。
 ホンコンを飛び立つ際、翼に受けた損傷が今頃になってトラブルに発
展したらしい。
「余り良くない状況だな…」
 機体の揺れを制御するのに苦労しながら呟いた言葉を、ユカは敏感に
聞きつけた。
「墜ちそうなんですか?」
「いや…何とか保つかも知れんが…保証はできんな」
 答えながら、私は決断を迫られていることを自覚した。
 安全策を採るなら、手近な場所を見つけて不時着する手もある…。
・不時着をする:005
・いや、まだ大丈夫だ:354
※不時着する方が良策です。

005:
 もう機体は長くは保つまい。ならば、機体がまだ制御できる内に不時
着するのが得策だろう。私は旧トウキョウベイの海上に着水することに
した。
「しっかり掴まっておけ!」
 海面すれすれに機体を降下させ、できるだけ衝撃が少ないように着水
を試みる。
・体力P+BPが16以上:303
・15以下:234

303:
 軽い衝撃。セイバーフィッシュの機体が海面に接触したのだ。しかし、
着水は成功したと言って差し支えないだろう。衝撃の大部分が海面に吸
収され、身体にはほとんど影響がなかった。接触した瞬間、非常脱出装
置を使用し、パラシュートによる自由落下に移る。

066:
 やがて、我々は暗く鉛色に沈んだ海面下に達した。パラシュートが絡
みつかぬよう、非常用に切り離しスイッチを押す。直ぐ様、パラシュー
トは外れ、私はユカの姿を捜した。
「ここです!」
 見ると、30m程先にユカの姿が在った。
 私はクロールでそこまで泳ぎ着いた。ユカが前方を指差す。
「あそこにセイバーフィッシュが!」
 確かに落下した我々の機体だ。我々は何の苦もなく機体に取りついた。

何とか不時着したところで、次回に続きます。
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シャアの帰還 part6

2015年01月27日 | ゲームブック
245:
「では、そう言うことで…」
 ゴダールは食事を下げさせると立ち上がった。
 ニューホンコンの郊外、チュンムンにルオ商会の備蓄基地が在った。
私たちがそこに着くと、1機の戦闘機が待機していた。セイバーフィッ
シュ。一年戦争時代に配備されていた中型戦闘機だ。私は感嘆の声を上
げた。
「ほう、懐かしいな。どこから持ってきたのだ!?」
「さあ、博物館ですからね」
 ゴダールは笑って答えた。
「何しろルオ商会ですからな。どういうルートで調達したのやら」
「飛ぶのか?」
「何、最近のゴテゴテ飾りのついた玩具より、ずっと上等な代物ですよ」
 その時…私は鋭い気配を感じた。敵襲か…?

213:
 瞬間。
 一条のレーザー光が夜の闇を裂いた。桟橋が砕かれ、水の飛沫が上が
る。パルスレーザーか!?振り向いた私の眼に金色の機体が輝いた。金
色のMSの強襲だ…。
「金色かっ!?」
 百式改。百式に高機動ブースターを装着した改良機だ。だが…かつて
の愛機に、この私が襲われるとは…。
「飼い犬に手を噛まれるとは、こういう気分なのだろうな」
 私は苦笑した。
・セイバーフィッシュに搭乗する:306
・基地内で使えそうなものを探す:051
※どっちにしてもセイバーフィッシュに乗ることになります。

306:
「大佐、危険です!」
 セイバーフィッシュに飛び乗る私に、ゴダールが警告を発した。私は
少し笑って答える。
「危険は承知だ。が、戦闘とは、こういうものだろう?」
 だが、百式改のパルスレーザー発射口が、こちらを向いていた…!
・9以上:123
・8以下:260
260はバッドエンドです。

123:
 レーザーが発射されるのと、セイバーフィッシュの発進とは、ほとん
ど同時だった。私は大きく機体を傾けると、レーザーを避けて上昇して
行った。
・このまま逃亡する:062
・ロケット弾で応戦する:335
※応戦すると無傷でエグムのアジトに到着するのですが、
 道中でユカの生い立ちが全く聞けないので、逃亡を選択します。

029:
 ズグオッ!強い振動が伝わる。掠めたか?
※体力P-1、Bにチェック

194:
 逃げ切れるか…?
・ユカを連れて行くと約束した:174
・していない:313

174:
「あの」
 背後で声がした。セイバーフィッシュを操る私は、多少邪険に応える。
「何だ!?」
「私、誘導します」
 ユカと名乗った娘が小さくなっていた。そう言えば、トウキョウ迄連
れて行く約束をしていたな…。
「何?逃げ道が判る、と言うのか」
「はい」
 ユカはキッパリと答えた。
「ふうむ」
 私は考えた。この娘は、私をからかっているのか?
・信用する:252
・信用しない:313

252:
「よし、信じよう」
 私は言った。
「誘導してくれ」
「はい」
 私はユカの指示に従い、セイバーフィッシュを操った。時折、彼女は
短い警告を発した。
「危ない!右へ!」
 咄嗟に右へ機体を傾けると、左肩をレーザーが掠めて行く。正確な指
示だ。
「弾筋が読めるのか…?凄いな」
「そんなこと、ありません」
 ユカは赤い顔をして言った。
「ただ…判るんです。信号のようなモノが…上手く言えません」
「プレッシャーを感じる…」
「ええ…」
<この娘…ニュータイプか?>
 私は密かな疑念を抱いた。
「もう、大丈夫です」
 ややあって、ユカは確信したように言った。

ちゅーこって、次回はアジトへの道中の話になります。

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シャアの帰還 part5

2015年01月20日 | ゲームブック
324:
 私はカイの言葉を思い出し、封筒を取り出すと男に渡した。渡された
男は直ぐに奥へと引っ込んで行く。その間、男共に囲まれ、私は黙って
待っていた。余り気持ちの良いものではない。が、取り敢えず手出しは
無用と考えた。
 ややあって、金髪の女性が現れた。私は言った。
「ご丁寧なことだな。私の容疑は晴れたのかな?」
「失礼はお許し下さい」
 その女性は、静かに頭を下げた。好感の持てる物腰だ。彼女は続けて
言った。
「しかし、ここは商店なのですよ。いきなり正面玄関から入って来て、
機密を要する用件を伝えるというのは、少し乱暴なやり方ですわ」
「なるほど。私も少々、不作法に過ぎたようだ。済まない。それで、貴
女は…?」
「申し遅れました。私はルオ=ステファニー。ルオ=ウーミンの娘で、
ルオ商会の名代を務める者です」
 ルオ=ステファニーはしなやかな手つきで、私を招いた。
「どうぞこちらへ」

183:
 案内された部屋には、ひとりの男が座っていた。律儀な成りをしてい
るが、武骨な風貌は正しく退役軍人のそれだった。私が入って行くと、
男は立ち上がって握手を求めた。
「私はゴダール。大佐、お会いできて光栄です」
「こちらこそ。世話になる」
 ゴダールという男は、一年戦争時代、彼の猛将の直属の部下として働
いていたようだ。その後は、私と同様にアクシズに隠れていたらしい。
 さらに私が何者かに狙われ、レオンハルトが殺された話をすると、ゴ
ダールは曇った表情になった。
「大佐を襲ったのは、恐らく『猟人(ハンター)』の連中でしょう」
「『猟人』?」
「民間レベルの、ジオン残党狩りの組織です。旧世紀時代、所謂第2次
大戦終了後、ユダヤ人によるナチス残党狩り組織が存在していたのを、
ご存じですか。『猟人』は、ほぼそれと似たような組織です。ただ、最
近どうも連邦軍の一部の将校が組織に荷担しているらしいのです…」
「軍の連中は…戦争がなくて、暇なのだよ」

233:
 私はそろそろ本題に入った。
「そこで、だ。私は貴公の上官であった、ダンジダン将軍に是非とも、
お会いしたいのだ。何とか連絡をつけては貰えないだろうか」
 ゴダールは眉根を寄せた。暫く考えている様子だった。ややあって。
「実は将軍の居場所は、私も知らんのです。が…恐らくトウキョウのエ
グムに行けば、何らかの情報が得られるのではないかと」
「エグム…反地球連邦運動組織か」
「はい。後、一般客に紛れてシャトル便に乗り、グラナダで情報を収集
する、という手もあります。しかし、その場合だと『猟人』に狙われる
危険が高い。エグムであれば、何らかの保護措置を行ってくれる…と思
います」
「そうだな。貴公の言葉を信じよう」
 丁度、食事が運ばれて来た。久し振りの地球の料理に舌鼓を打ちなが
ら話は続いた。
 ふと、ゴダールが言った。
「そうだ。トウキョウへ行かれるのなら、連れて行って頂きたい人物が
おるのですが」
※ゴダールはちょっと神経質そうな人物で、眼鏡をかけています。
 一年戦争でズゴックに乗っていた人とは別人だと思いますが…。

088:
 やがて、ひとりの若い娘が現れた。
 年の頃は…24位だろうか。漆黒に近い髪は、首の後ろで緩やかに束
ねられている。東洋系らしい切れ長の眼。その瞳は頭髪と同様に黒い。
<この娘は、一体…?>
 私の心の問いに、ゴダールが答えてくれた。
「この者は、エグムの連絡員なのです」
 ゴダールが紹介する。娘が軽く頭を下げる。
 落ち着いた動作だが、幾分緊張気味の様子である。
「トウキョウ迄、ご一緒させて頂く訳には参りませんか?」
・承諾する:144
・断る:126

144:
「私は構わんが…安全の保証はできかねるぞ」
「お受け頂けるのですか」
 娘の硬い表情が一瞬、緩んだ。
「あっ、有難うございます!」
 その様子に、私の口元がほころんだ。素直な、良い反応だ。
<まだ、男を知らないな…>
 生の感触が伝わって来る。直接的過ぎるが、不快ではない。
「ユカ…と申します。お願いします」
「クワトロ=バジーナだ」
 私たちは軽い握手を交わした。フッと、心の中にザラついた感触を覚
えた。気のせいかも知れないが…。

ちゅーこって、ユカさんと東京まで行くことになります。
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