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シューベルティアーデ








シューベルトはウイーンっ子だ。

オーストリアの音楽家といっても、モーツアルトもベートーベンもブラームスもヨハン・シュトラウス一家もみな「よそもの」らしい。
モーツアルトは当時独立国家であったザルツブルグの、ベートーベンもボンの、ブラームスはハンブルグ、シュトラウス親子も全世代まではブダペストの住民だった。

また話がそれて長くなっていくのだが、文化の発展には「人と金の自由な移動」が必要不可欠なのだ。つい最近も英国の学者らがブレグジットによって科学の発展が阻害されてはいけないと声明を出していたBrexit must not end free movement, Nobel scientists say 日本語は「科学には人と資金の自由な移動が必要」 ノーベル賞学者らがブレグジット懸念


アントワープに滞在中、友達が誘ってくれ、シューベルトを聞きに行ってきた。@deSingal。
「シューベルトは、ある種のグループの人気者であり、彼らのあいだで『シュベルティアーデ』と言われた音楽とワインに満ちあふれる会合がひんぱんに開かれた。そんなときシューベルトは、『短くて太い指がいうことをきかなくなる』まで弾きまくったという」

「その才能のちがいは別にしても、彼らの音楽にはおおきなちがいがある。シューベルトやシュトラウスの音楽には、モーツアルトのもつバロックないしロココの宮廷の華やいだ雰囲気はない。彼らの作品が宮廷で演奏される姿も想像しにくい。むしろ、芸術を愛好する一般の市民をまえに演奏する音楽であって、どこか庶民的な音楽という感じさえする」(以上、上田浩二著「ウイーン『よそもの』がつくった街」)


正直言うがわたしはシューベルトは好きな方ではない。ウイーン関係と限定しなくてもベートーベン、ブラームスが大好きだ。
しかしこの夜は当初予定されていたピアニストが負傷のためキャンセルになり、急遽21歳のピアニストAriel Lanyiが弾くというのと、ウィーン気分がまだ残っていたのでウキウキ行ってきたのだ。

6 Moments musicaux, D780 Schubert
Sonate in D, D850, opus 53 'Gasteiner' Schubert
Sonate nr 17 in d, opus 31 nr 2 'Sturm' Beethoven

特に内田光子さんのすばらしきシューベルトをロンドンで何度も聞いていて、ど素人なりにめちゃくちゃ耳が肥えているので、正直全く物足りない演奏ではあった。が、若い芸術家を応援すること以上の喜びがこの世に他にあろうか。


(写真はアントワープの市民劇場。deSingalの写真がないので...そういえばわたしはdeSingalの建物をまともに見たことがない。というのはいつもコンサートは暗くなってからだからだ!)
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