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kissin london 2020




今年もロンドンにこの季節が巡ってきた。
Evgeny Kissinピアノ・リサイタル。
今年はベートベン誕生250年のためか、以下のプログラム。

Beethoven Piano Sonata No 8, Op 13 Pathétique
15 Variations and a Fugue, Op 35
Piano Sonata No 17, Op 31 No 2 Tempest
Piano Sonata No 21, Op 53 Waldstein

昨日記したレオナルド・ダ・ヴィンチが、ベートーベンの時代には200年以上前の人だったと思うと「時間」の不思議ささえ感じる。

キーシンの奏でるベートーベン、言葉が見つからない...「この世」を「時間」を、存在させることができる、と言えばいいのか。
いや、「この世」にはない音を聞いてしまった、と言えばいいか。

特に後半、あまりの美しさにただただ泣かされた。
これほど美しい『テンペスト』も『ヴァルトシュタイン』も聞いたことがないし、この先も聞くことはないだろう。

あの神童も鬢(びん)に白髪が混じり、巨匠の風格。

アンコールは4回で(去年3回、去年は客席で医療エマージェンシーがあり、一旦演奏が中止になった。一昨年5回)、彼もご機嫌のようだった。観客の声援に応えていくらでも、というのがいい。


Quand ovum et temps nichait sont in re, sed solum in apprehensione
「時代や時間は実際には存在しない。ただ精神の中にだけ存在する。」 アウグスティヌス『告白』
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