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蠍座のヴェネツィア










11月のヴェネツィアは暗いのだろうと思っていたが、
夏の強烈な太陽と水面への照り返しにくらべると穏やかな光にあふれていた。

夏は非常に明るい分、闇も深い。

この季節はどこもかしこもまるで内部から発光しているかのようだった。








ヴェネツィアの光に関しては
宮下規久朗 著「ヴェネツィア 美の都の1000年」に、
美術史家ジョン・スティーアの言葉としてこう紹介してある。

「水に浮かぶヴェネツィアは、空と海が近接し、
どこもかしこも水の反射によって非常に明るく、色彩も極めて鮮明に映る。
一方、水蒸気は逆に色彩を吸収することもあり、とくに冬はすべての光景をモノクロームに還元してしまう。
湿潤な空気のうちに不断に移ろうこうした視覚体験から、色彩に敏感な感性が生まれ、
線描よりも色彩を重視するヴェネツイア絵画がうまれたというのだ。」
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