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a gentleman will walk but never run






ロンドンのホテル、ボウモンのアメリカン・バアは居心地のいいブース式の席があって長らくわたしのお気に入りだったのだが、この春、改装されて普通のバアになってしまった。
内装もバア・メニューもは残念な感じになってしまった一方で、サーヴィスは変わらずすばらしいので使わせていただくが、心から残念だ。


先日、こちらで友達と待ち合わせていた。

席について居住まいを正したタイミングで初老の紳士がやって来て

「マダム、私の(乗っていた)タクシーがあなたを驚かせてしまったことを深くお詫びいたします」

ドラマか! (笑)

最初、なんのことをおっしゃっているのか分からなかったくらいだ。
そういえばホテルの車寄せを横切ったとき、たまたま右手から徐行したタクシーが入って来るタイミングと同じだった。危険でもなんでもなかった。
彼には芝居がかったところが全くないのが、何ごとも女に声をかけるチャンスにしちゃうイタリア男とは違う。

わたしは人心穏やかなサリーの郷に住んでいて、周囲の男性は少年も中年もご老人も男性は控えめでうやうやしいイングリッシュ・ジェントルマンなことが多い。ロンドン在住の友達が我が家に遊びに来ていて、近所で出会う男性がいちいち礼儀正しくゆったりとした態度なのに驚いて「ついにほんものの紳士を見た」と言っていたくらいだ。
だから彼らの浮世離れした言動(とジョーク)には慣れているが、この男性の心のこもった様子には本当に驚いた。

紳士は相手や状況によって態度を変えたりしない。
うむ、スティングが正しく歌ったように、イングリシュ・マンは何事があっても(自分の気分のコントロールを手放して)走ったりしないのである。

......

変わったといえば、ブルージュのヴラーミング通り(Vlamingstraat)にあるパティセリー「アカデミー」はその前が「ヴァン・ムーラン」で(両方ともなんどもブログの記事になっている)ずっとわたしの気に入りのケーキとパンの店だったが、近頃「シャンテリー」という店に変わり、ほんとうにほんとうーに、普通のどこにでもあるようなパンとケーキの店になってしまった...残念。
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