春陰や畑道に誰(た)も出会はずに
春の曇り空をいう。
「花曇」と似た季語であるが、初春から晩春まで花時に限らず使われる。
明るい春にあって憂いを帯びた陰りを感じさせる。
春陰の中散策をした。
畑道を歩いたが、誰にも出会わなかった。
春陰の夕日のありど野に立てば
春陰や畑道に誰(た)も出会はずに
春の曇り空をいう。
「花曇」と似た季語であるが、初春から晩春まで花時に限らず使われる。
明るい春にあって憂いを帯びた陰りを感じさせる。
春陰の中散策をした。
畑道を歩いたが、誰にも出会わなかった。
春陰の夕日のありど野に立てば
ポストへと春雪の道歩きけり
春の雪はすぐに解けやすいが、曇っていて気温が低いと解けずに残っている。
外に出てみると、昨日降った春の雪が畑や空地に真っ白に残っていた。
二年振りの春の雪も滑ったりしなければ、見ていて楽しいものであった。
郵便物を出しに、長靴を履いて春雪の道をポストへと歩いて行った。
いつもの道が長く感じられた。
父母のゐしころ思ひ出す春の雪
自転車を転がし行けり春の雪
立春以降、春になってから降る雪をいう。
関東以西では、ことに春先に思わぬ雪に見舞われることがあり、春を呼ぶ雪ともいわれる。
春の雪は、冬の雪と違って解けやすい。
午後に春の雪が降り、夕方には降りしきって真っ白に積もった。
保育園に幼児を迎えに行った自転車は、乗らずに転がして帰って行った。
春雪や日課の散歩叶はずに
風受けてをり炎天の川堤
真夏の灼けつくような空をいう。
外に出ると鳥も飛ばず、猫も歩かず、歩く人もほとんどいない。
照りつける太陽に、やりきれない暑さである。
炎天のもと川堤を歩いた。
だが、風があり、まだ歩くことができた。
炎天下昼餉のために出でにけり
春光や川の曲りに人のきて
春の景色のことをいう。
本来は春の風光のことであるが、春の光として詠む句が多くなった。
まばゆい光が春らしい柔らかさを感じさせる。
春色、春の色も同様に春の風色をいう。
春の景色の中、川が曲がる所には人々がやってきて遊んでいた。
草原に春の光の遍しや