イギリスのエリザベス女王が、先日96歳で亡くなられました。
英国北部、スコットランドに在る、バルモラル城で亡くなったそうです。
そこはイギリス王室の休暇地であるそうですが、
とに角、自宅みたいな家だったのでしょう。
我々庶民にはよく理解できない家ではありますが。
でも、自分ちで逝くというのは本当に幸せな事ですね。
妻の父親は五体満足で健康そのものだったというのに、
戦時中に赤紙(いわゆる招集令状)が来なかったという奇跡的な男性で、
こういった、何がどうなったのだか解らない奇跡は、他にも何かの本でも読んだ事があります。
その父親は「じゃあ寝るね」と言って寝室に入りました。
いつもだったら夜中にトイレに立つのに、昨夜は起きて来なかったねと、
家族が様子を見に行ったら冷たくなっていたそうです。88歳の米寿でした。
また、母親はベッドから朝食を摂りに起きてきて、食事後は再びベッドに行き、
家族が「あれお母さん飲み薬は」と訊きに行った時には亡くなっていたそうです。95歳でした。
ご両親とも長命でもあり、自宅で何の苦しみもなく自然に亡くなっていたという幸運。
ちなみに義母は、私の母と生まれた年が同じで、
彼女は誕生日前だったので95歳。
私の母は誕生日後だったので96歳でした。
そして私の母も義母も、エリザベス女王と丁度10歳年上の1916年生まれ。
そしてエリザベス女王も96歳で亡くなったのでした。
しかし、私の母は自宅で逝くとはいきませんでした。
それは私が離婚をした為に介護が出来る人は、私だけとなっていた為に、
老人施設に入る以外の選択肢がなくなった為でした。
妻の親たちには、介護出来る人が居たので、施設に入らずとも済んだのです。
現在の日本では老々介護が普通の時代になっているので、
しょうがない、どうしようもない状態の家族が溢れています。
私もそれと同じだった訳ですが、
ある時、施設に入る母から「家に帰りたい」とつぶやかれた時は、
本当に切なく、つらくなりました。
あの悲しさは今でも後悔の念で、やり切れなくなります。
といってもどうにもならないのですから、心の中で母に謝るしかありません。
私が離婚などしていなかったらと、忸怩たる思いから逃れる事ができません。
母は入居している施設が何処に在るのかも把握できなかったし、
ある日、具合が悪くなって施設から救急車で行った先が、何処かなんて解かろう筈も無く、
でも、その病院には、私も姉も義兄も駆けつけ、取りあえず窮地は脱して、
皆も安堵して「じゃ明日また来るからね」と別れ、それから数時間後に亡くなってしまいました。
死因は「誤嚥性肺炎」
つまり何かが喉に詰まったのに、老人で吐き出す力がなくなった窒息死(なんだろうか?)
苦しみはきっとあったと思うのです。
そして、自分の居る場所すら分からない場所で逝くというのは、
人間としてやはり、やり切れない思いというのはあると思うのです。
そういった意味でエリザベス女王も、妻の両親も、いい逝き方だったと思うのです。
それに比べ・・同じ96歳での大往生で「幸せな逝き方」と言う人も居ますが、
私としては、そういった思いにはなれないのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます