私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

浅草寺の塔の九輪が曲がる 

2011-07-05 10:11:36 | Weblog

                           

 この写真、何かお分かりですか。安政の大地震の際、浅草寺五重塔の被害についての記述が色々の所で見られます。其の一つがこの絵なのです。塔そのものには異常はなかったのですが、絵のように九輪が大きく左に向いて傾いて書かれています。実際は、これほどはひどくはなかったらしいのですが、これは瓦板に載った絵なので、このように大仰に描かれたものだと思われます。 この時に傾いた浅草寺の九輪について、仙果先生は、「なゐの日並」に、次のように書いておられます。
 「浅草寺の塔の九輪、西の方へいたく曲がりたるを見れば、げに、地震のみの所為にはあらじ」
 と。

 この絵らも分かるように、塔そのものはびくともしてないのに、ただその上に据えられた九輪が大層西へ傾いていると云うのです。この絵からも十分そのひどさが伺われます。
 これを見て、人々は、この九輪が曲がったのは、果たして、地震だけで傾いたのだろうかと不思議がったと云うのです。ということは、何か目に見えない神の力か何かが加わって、塔その物を傾かす代わりに、ただ九輪を大きく傾かせたのだろうと、人々も言っていたのだそうです。それが「所為」<セイ>ではないと云わしめたのだと思われます。

 それが神の仕業ではないかと暗示している文章がこの後に見られます。

 「・・・・・神明町は西側大かたつぶれ、神明前三島町あたりも、潰家いとおほし。しかるに神明のみやゐは、本社末社御門鳥居もつつがましまさずと見ゆるに、たふとさ限りなく、神主も無事なり。・・・」

 その理由は分からないのですが、江戸の神社仏閣はその被害が少なかったと云われています。

 

 またこの傾いた9輪を、あの広重も描いています。瓦板とは少々その趣を違えていますが、御覧ください。あまりはっきりとは画いてはいませんが、それでもやはり少々傾いたようにえがかれているでしょう。

    


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