昔から言い伝えられてきた優秀な歌の情は直ぐには学ぼうと思ってもなかなか学びとれるものではなく、反対にそこの折りこまれている詞は案外たやすく学ぶことができるものです。だから、よい歌を読もうと思えば、そこに読みこまれる歌の情を知ることが大切である。
そのよき情と云うのは柿本大人の次の歌によく表れているというのです。
“あまさがるひなの長ちゆこひくればあかしのとよりやまとしま見ゆ
とあるのを見てもしるべし”
とあります。
「今までの万葉集の解釈本ではそれに付いて十分説明されていないので、今から私がとききかせます。」と、自信のあり様です。次のように書いてあります。
”はやく家に帰りて、おもふ人々にもあひ見んと、ひなの長きみちのあひだ、日数へてよるひるこひつヽくれば、あかしのとよりはじめて我すむかたのやまと島見ゆ、あはれうれしさいはんかたなしと、いへるここりなり。
1日「5百字」までと思っておりますので、続きは、また、明日にでも。