ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

錫杖そして三大北壁へ

2011年11月13日 23時11分25秒 | クライミング
近々奥さんに子供が生まれる探検部後輩Sから、育児の前に最後山に登っておきたいと懇願され、この週末は錫杖に行ってきた。山でのクライミングは一月の塩沢以来だ。ルートは、これもSの希望で北沢大滝~見張り塔。錫杖岳本峰まで無理なく登ることができるルートだ。私は以前登ったことがあるが、これも頂上まで行きたいというSの希望を受け入れた。

土曜の未明に槍見館前に着いたが、まだ雨が残っていた。翌日はまだ岩が乾いていないだろう、ということで、クリヤ谷でテンバでたき火をして(写真)酒を飲んでうだうだして、日曜に登りに行った。

残念ながら、下部から濡れ気味で、上部の一番面白い見張り塔は浸み出しがひどく、水がぽたぽたと落ちてきて登れる状態ではなかった。やむなく下山、「それでは少なくても一年以上は登れないと思いますが」とSの見送りを受けて平湯温泉からバスで帰京した。

Sによると、就職、結婚、子供は俗に三大北壁というらしい。この北壁を登りきって山に登り続けられる人は、そう多くないのだ。なかでも子供は最も困難な壁だ。就職、結婚を乗り越えても、子供という壁を越えられず山から足を洗った人は無数にいる。なにせ子供は山なので、子供ができたら山に行かなくても、もっとすごいものが体験できてしまうらしいのだ。Sは一年ちょっとで山を再開するつもりらしいが、果たして最難関の北壁を登りきれるかどうか……。

ちなみに私は三大北壁のうち就職だけ途中まで登って下山したへなちょこである。結婚、子供に関しては、取り付き点すら見つからず、麓でうろうろしてばかりいる。

    *    *

なお「山と溪谷」12月号に冬の利尻山の紀行文が載っています。

山と渓谷 2011年 12月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
山と溪谷社
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 木村政彦はなぜ力道山を殺さ... | トップ | すばる連載について »
最新の画像もっと見る

クライミング」カテゴリの最新記事