ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

ブラック・ダリアの真実

2010年08月18日 13時06分23秒 | 書籍
ブラック・ダリアの真実〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)
スティーヴ ホデル
早川書房

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久しぶりに事件もののノンフィクションが読みたくなり、スティーブ・ホデル「ブラック・ダリアの真実」を読んだ。いやはや、とんでもない本だった。

ブラック・ダリア事件は1947年にロサンゼルスで起こった有名な殺人事件。若くて美しい女性が腰から上下に切断されていたという事件の猟奇的な性格と、女性につけられたブラック・ダリアというネーミングの幻想的なイメージにより、米国でも最も有名な未解決事件となり、多くの作家やジャーナリストがあまたの作品を発表してきた。

この本は、LAの元刑事である著書がついに真相を解明といううたい文句だったので、読む前はてっきり、事件を担当した元刑事が自分が現役時代にこつこつと集めた証拠をもとに真犯人を類推する、という内容だと思っていたのだが、全然ちがった。

著書がつきとめた事件の真犯人が誰かは、かなり前半の部分で分かる。だが、まったく考えられない出来事や証拠が明かされ、そんな、まさか、まさか……、とページをめくる手がとまらない。夜中に読んでいたのだが、次々と突きつけられる事実の恐ろしさに、思わず背筋がぞっとした。トイレに行くのが少し怖くなり、小便をしながら思わず後ろをふり返った。

暑い夏の夜には、オススメの一冊。

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