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『天地明察』の問題は誤植か否か?

2010年04月20日 18時33分19秒 | 天地明察
『天地明察』算術の問題」の記事のコメントで指摘していただいたのが、236ページに掲載された問題が誤植なのかどうかという疑問でした。
主人公が関孝和に対してリベンジとして作成した問題であり、ストーリー上ひとつの山場である。

Tenchi_00_3

今、図の如く、大小の十五宿の星の名を持つ円が並んでいる。角星と亢星の周の長さを足すと十寸である。また心星と尾星と箕星の周の長さを足すと二十七寸五分である。さらに虚星、危星、室星、壁星、奎星の五つの星の周の長さを足すと四十寸である。角星の周の長さは何寸であるか問う


角星+亢星=10寸

心星+尾星+箕星=27寸5分

虚星+危星+室星+壁星+奎星=40寸

※いずれも周の長さ

ここで、「図の如く」より、角星<亢星<氐星<房星<心星<尾星<箕星<斗星<牛星<女星<虚星<危星<室星<壁星<奎星と考えられる。

しかし、「心星+尾星+箕星=27寸5分」より、箕星は(27寸5分)÷3から9寸よりも大きくなるが、「虚星+危星+室星+壁星+奎星=40寸」より、虚星は(40寸)÷5から8寸より小さいと矛盾する。

「図の如く」の前提がなければ、これだけの条件から「角星の周の長さ」を求めることは無理のように見える。前提があっても、これだけの条件で答えが得られるのか疑問に思えるが。

作品内では問題が提示されて数ページ後に解答が描かれている。物語の展開の面白さもあって問題を深く考えるよりもストーリー展開を追う方に目が行きがちだ。もちろん、この問題自体に問題があったとしても作品自体の評価を落とすものではないと思うが。それでも作品の重要な要素である和算の問題が誤植あるいは問題が成立しないといった事態であれば落胆する気持ちが生じてしまうだろう。
ググった範囲内では、この問題を取り上げたブログ等は見つけられなかった。どなたかこの問題へのアプローチの方法をご教授してください。


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。はじめまして。 (もっも)
2010-04-20 20:17:01
勾股弦の問題で途方にくれていたところ、こちらで解法をまとめられているのを読むことができ、大感謝です。後で落ち着いて自分でも解きたいと思います。
15個の星の問題、未確認なのですが、渋谷の金王八幡神社所蔵の算額の図が、この問題に似ているように見えるので下記リンクhttp://www.city.shibuya.tokyo.jp/shibuya/town/kubunka.html#sangaku
もしかしたら、これがその問題なのかな? と思っています。(この神社はストーリー内で春海が行く神社。)神社で見せていただけるなら行ってこようかな、と思っています。あと当たれるのは参考文献の和算の本でしょうか?
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はじめまして。 (奇天)
2010-04-20 20:37:43
リンク先見ました。まさにこの問題みたいですね!字はさすがに読めませんが^^;

金王八幡宮と「天地明察」
http://www.cityconcierge.jp/blog/archives/40
こちらを見ると見学できるようですね。関西在住なので、行けませんが( TДT)

「十五宿星」でググったら、「digital西行庵blog」さんの記事を見つけました。
http://www.saigyo.org/blog/index.php?UID=1271162335

明確な解答は出ていませんが、やはり誤植の可能性があるようです。
27寸5分のところは、「心星+尾星+箕星+斗星」じゃないかという疑問を呈していますね。
誤植だとしても、勾股弦の問題ほどすっきりと解くのは難しそうですね。
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おお、早速のレスをありがとうございます! (もっも)
2010-04-20 21:08:02
新たな情報まで!
星の問題、一見シンプルなのにややこしいんですね。とりあえず額を見に行きたいです。
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http://www.naruto-u.ac.jp/journal/info-edu/j050... (coboze)
2010-04-20 22:15:37
件の算額の問題を見つけましたが、小説の数字は改変されていますねー
矛盾してるのはその影響じゃないかと思いますけども
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でpdfと同じ解き方をすると答えは4.35127737226277... (coboze)
2010-04-21 01:22:56
となりますので、4.5にはなりません
ということは、誤植か根本的に問題が間違っているかのどちらかではないかと思われます
検算を数回やってみましたのであってるはずですが、計算能力の衰えを実感しましたwww
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>もっもさん (奇天)
2010-04-21 07:44:03
算額の感想楽しみにしています。

>cobozeさん

早速の情報提供&計算ありがとうございます。

とりあえず行列方程式の理解から頑張りますw


改めて記事をアップし、もう少しこの問題を考えてみたいと思います。
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ずいぶん遅いレスになってしまいました。 (Hide)
2010-06-28 19:42:53
『天地明察』を、ごく最近読んだものですから・・・。

校正ミスなのか、本来の「無術」であるのかどうか、私には判断できませんが、単純な等差数列であれば、条件式の数は二つだけで十分なはずです。

最初の条件は無視して、第2の条件である「心星・尾星・箕星の周の長の和を「廿七寸五分」でなく「十七寸五分」としてみると、
A5+A6+A7=17.5 --------------②
A11+A12+A13+A14+A15=40 -----③

等差数列 An+1=An + d を仮定すれば、
②は、 A1 x 2 + 15d = 17.5 -----②'
③は、 A1 x 5 + 60d = 40 ------③'

この2式から初項 A1 を求めると、30/7 となります。
ただし、このままだと、本来あるべき次の式
A1 x 2 + d = 10 -----①
は、成立しません。

尤も、本文の241ページにある、関孝和による解答、
「七分の三十寸」と
「それをしっかりと割り切れるように工夫した答え。『四寸五分 関』」
という記述にはどうにも割り切れないものを感じます。
どうして、関孝和は、答を「七分の三十寸」のままにしておかないのでしょうか?
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版を重ねて、細かな部分で修正されているようです... (奇天)
2010-06-28 23:20:03
先日は読売新聞夕刊のコラムでもこの問題が無術ではないかと取り上げられていましたし、著者サイドが全く気付いていないとは思いませんが、数学的正確性にこだわってないのかもしれません。

30/7を導き出す着眼は面白いですね。
②'の式は
A1 x 3 + 15d = 17.5
ですね。
ただ、27.5が誤植であることと①が成り立たないということから等差数列である可能性は低いと思われます。

「七分の三十寸」をわざわざ「四寸五分」とするのは演出上なのでしょうが、数学的には正確ではありませんし、著者が数学的な正確さを重視していない表れかなと思ってしまいます。
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肝心の②'の式を間違えてしまい、申し訳ありま... (Hide)
2010-06-30 08:50:42
A1 x 3 + 15d = 17.5 ----- ②'

が正しい式でした。


それにしても、肝心の算額の問題が間違っていたり、囲碁のルール(作法というべきか)などについての記述にも問題点が指摘されるなど、『天地明察』は、「手抜き」とまでは言いませんが、やや「詰め」の甘い作品のように見えてきました。
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細部が正確でもそれで面白くなるというわけではな... (奇天)
2010-07-01 19:53:30
小説の面白さの根幹部分は確実によく出来た作品だと思います。面白いだけにもったいない気持ちになるのも確かですが。
文系と理系の融合って観点からはちょっともやもやした感じになっちゃいますね(苦笑
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