環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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世界最強の 「IT国家」 となったスウェーデン

2010-07-18 22:41:52 | 経済
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6月27日のブログで、「1990年代初めの不況に対して、日本は景気回復という『一兎』を追ったが一兎をも得ずであった。ドイツ、フランスは財政再建という『一兎』を追い、一兎を得た。スウェーデンは景気回復と財政再建という『二兎』を追い、二兎を得た」と書きました。その対応策として、次の図を示しました。


そして、「1992年から知識集約的産業の成長を倍増させ、産業構造を転換させた。世界最強の『IT国家』をめざし、ストックホルムをして『IT首都』とまで賛美させる産業構造の転換こそ、スウェーデンが景気回復にも財政再建にも成功した鍵なのである。」とする神野直彦さんのご見解を紹介しました。

今日はこの神野さんのお考えを十分に裏付ける最新の調査報告書を紹介しましょう。上の図「スウェーデンの財政再建」の「②IT(情報技術)インフラ整備」に関する項目と関連するところです。ダボス会議の主催団体として有名な世界経済フォーラム(WEF)は2010年3月25日、「経済的、環境的、社会的に持続可能な世界」を創造する有効な手段としてのICT(情報・コミュニケーション技術)の主な役割に焦点を当てた報告書「The Global Information Technology Report 2009-2010」を公表しました。 

この報告書はINSEAD(インシアッド:フランスとシンガポールにキャンパスを有するビジネス・スクール大学院、1957年創立)との協力のもとに、WEFが世界133か国を調査対象とし、「国家の発展過程と競争力」に対するICTのインパクトを同一の指標(68項目)で国別に評価し、ランク付けした最も包括的で、権威ある報告書です。 

この報告書は2001年から毎年1回公表されているICT報告の9回目の報告として公表されたものです。21世紀社会のキーワードである「Sustainability(持続可能性)」に焦点を当てた今回の報告書で総合1位にランクされたのはスウェーデン(スコアーは5.65)で、以下シンガポール、デンマーク、スイス、米国と続きます。日本の順位は21位、スコアーは4.86でした。次の表は30位までの順位を示したものです。



また、次の表は今回の調査でトップ10にランクされた国々が、2001年の第1回調査から今回の第9回調査までに占めた順位を示しています。

さらに、世界経済フォーラムは「The Global Competitiveness Report 2009-2010」を公表しています。この報告によりますと、スウェーデンが4位(スコアは5.51)、日本は8位(スコアは5.37)となっています。



世界競争力調査には、もう一つ別の団体による調査報告があります。スイスのビジネス・スクール経営開発国際研究所(IMD)によるものでスウェーデンは58カ国中6位、日本はなんと27位です。



これらの事実は、スウェーデンが90年代初めの経済危機の際に「財政再建」のために「歳出の削減」と「増税」を行い、「景気の回復」のために経費の中身を「ITインフラ整備」の分野に大きくシフトさせた結果と言えるのではないでしょうか。つまり、スウェーデンは、「増税して、景気回復をした事例などない」というこれまでのエコノミストの定説を打ち破る新しい結果を出したということなのです。

世界最強の「IT国家」となったスウェーデンでは、多くの国で懸念されている「デジタルデバイド」についても予防的な対応が取られていることを付しておきます。



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