環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「20年前のスウェーデンの経済政策成功の教訓」が、現在の日本の問題解決に有効か!

2010-07-13 10:29:48 | 経済
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7月5日の讀賣新聞の「キャチボール」というコラムで、コラムの執筆者が、菅首相が掲げる「第三の道」に世界が注目しているが、今は「二兎を追っても一兎も得られない」という考えが欧米の主流だと書いておられます。


6月27日のブログで私は、20年前の経済不況でスウェーデンが「二兎を追って二兎を得た」という話を書きました。今日は、そのときに「二兎を追って二兎を得た」スウェーデンの対応を略記しておきます。

経済の門外漢である私が理解しているところでは、財政再建の方法は次の3つしかないというのがエコノミストの定説となっているそうです。



スウェーデンの政策に詳しい経済の専門家は、スウェーデンが20年前にとった不況対策は日本の不況対策とは異なり、「総需要の喚起を重視するケインズ政策」や「総供給量を重視する新古典派政策」ではなく、「資産重視政策」だったと評価しています。スウェーデンは福祉の向上のために、福祉の基盤である「経済」と「環境」を重視したのです。

ここでは、およそ10年前の1999年1月21日付けの日本経済新聞の「経済教室」に掲載された丸尾直美さん(当時日本大学教授)の「国民不安解消、北欧を参考に」の要点を示します。

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●迅速な「公的資金」の投入
 公的資金の迅速かつ大規模な投入などにより、金融危機は1年で終息し、株価はバブル崩壊前に比べても大幅に高くなった(平均株価は90年を100とすると直近で300超)。 
経済成長率は94年から98年までの5年間で平均2.6%に達した。経常収支は黒字となり、財政収支も98年には黒字に転じた模様である。投入した公的資金に関しても、96年6月までに93%が返済されているので、税金の無駄遣いにもなっていない。
 日本は北欧に5~6年遅れて公的資金導入に着手した。

●資産重視の不況対策
 北欧各国の経済政策の基本は、「総需要を操作するケインズ政策」とも「総供給量を重視する新古典派政策」とも異なる。「両者はフロー重視」であるが、北欧は「ストック(資産)重視」の経済であり、その不況対策は有効であった。北欧諸国が「資産重視の先駆的な不況対策」を導入したのは経済学(北欧経済学派)の影響が大きい。

●国民の不安解消、北欧を参考に
 スウェーデンは90年代に、金融再生政策と並行して、社会保障費の削減と両立する形での「医療・介護改革」と「年金改革」を進め、成功した。高齢化に耐えうる「持続可能な年金制度」を整えた。国民の安全性と資産形成の配慮という点で、フロー重視の国にはない制度の重みが観察できる。
 日本でも「不況対策」と「社会保障改革」の時期は重なったが、北欧とは逆に国民の不安を高めるような格好になっている。92年の宮沢内閣以降、政府は公共事業拡大を中心とする「ケインズ政策」を導入する一方、規制緩和と小さな政府によって供給側を強化する「新古典派政策」も志向した。ところが両者の理念の間で揺れたために弊害も露呈した。日本に必要なことは金融不安の解消による「資産市場の安定化」である。 
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以上のような当時の対応策が、20年後の今、日本が直面している問題の解決のヒントになるかどうかは私にはわかりませんが、結果として、スウェーデンは6月27日のブログに示したように、他のEU諸国に比べて、「景気」も「財政」も好調です。2008年9月のリーマンショックからの回復も早く、順調に推移しています。

20年前のスウェーデンの対応の的確さを解説した丸尾直美さん(尚美学園大学客員教授)が2週間前の2010年7月1日の日本経済新聞の同じ欄「経済教室」で、今度は「スウェーデンの年金制度」の解説をされています。

丸尾さんは、「日本はスウェーデンの年金制度をモデルとしてきたが、本稿で紹介したような肝心の特徴がきちんと理解されていない。今後の年金改革議論において留意すべきである」と、この解説記事を結んでいます。 


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