環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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日本の2008年度のCO2排出量は、90年度比7.4%増

2009-10-31 19:44:25 | 温暖化/オゾン層
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昨日の朝日新聞が、2008年度のエネルギー消費(原油換算)が、景気悪化の影響で2007年に比べて、6.8%減となったと報じました。それにもかかわらず、今日の朝日新聞は2008年度のCO2排出量は京都議定書の基準年である90年比で7.4%増加したと報じています。 


 


この2つの記事のもとになったデータの出所は同じで、いずれも経済産業省が所管する「エネルギー需給実績」(速報)です。

そこで、次の記事をご覧下さい。9月16日に発足した鳩山政権のもとで、環境省は「原発」に対してこれまで以上に積極的な姿勢を示したようにみえます。

●環境省、「アセスで原発推進」(2009-10-29)
 九電の川内で方針明示  CO2対策「最大限の活用を」

●環境省、「アセスで小名浜火力に反対」(2009-05-27)


「私の環境論」では、原発へのさらなる傾斜(依存)は国際社会が21世紀にめざすべき「エコロジカルに持続可能な社会」の構築をますます困難にすると考えますので、まず日本の原発は現状に凍結して、新規の原発を建設しないという選択がベストだと思います。

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次の図を見れば、スウェーデンは原発を増やさずにCO2を削減できたのに、日本は原発を大幅に増やしたにもかかわらず、CO2を削減することが出来ていないのです。

 

なぜか数年前から国際社会では「原子力ルネッサンス」などという巧妙なネーミングで、原発の推進の動きが活発になってきたように思いますが、2002年に南アフリカのヨハネスブルクで開催された「持続可能な開発に関する世界サミット」(環境・開発サミット)までは、原子力エネルギーに対して国際社会は懐疑的で、積極的ではなかったのです。

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2002年の「持続可能な開発に関する世界サミット」から今日までの7年間に、既存の原発に画期的なイノベーションがあったわけではありませんので、目の前の温室ガス対策のために日本が原発をさらに新増設するのは合理性があるのでしょうか、私はないと思います。

このブログでこれまでに何回も繰り返してきたように、原発は正常に稼働している限りは実質的に温室効果ガス(具体的にはCO2)を排出しない発電装置ではありますが、原発は温室効果ガス削減装置ではないことです。ですから、原発の新規建設によって、CO2を事実上増やさずに電力の供給量を増やすことは可能です。しかし、原発を建設し、運転しただけでは、現状からCO2を増やさなかったというだけで、CO2の削減にはなりません。 

そこで、 「新規の原発」で「既存の石炭火力発電所」を完全に置き換えれば、CO2の削減は可能になりますが、その場合は、私たちは同時に、現在十分に解決できていない原発特有のマイナス面(安全性、核廃棄物、核拡散、労働者被曝、廃炉、核燃サイクルなどの放射線がかかわる問題や温排水などの難問)と、それに対処するための「新たな膨大なコスト」をさらに抱え込むことになります。環境省の「環境アセスメント」にこのような原発特有の項目があげられていないことは大問題だと思います。
   
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