環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

5月の景気動向指数

2007-07-11 10:55:10 | 経済

 
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また、今月も内閣府が「景気動向指数」を発表する時期となりました。5日に「5月の景気動向指数(速報値)」が発表されたと7月6日の毎日新聞が伝えています。
 
「大口電力使用量が3か月連続でそれぞれ改善」と書かれています。景気動向指数の判断基準で“改善”というのは、「電力の使用量が増えた」ということです。政治の目標である「持続的な経済成長」という20世紀型の発想では改善ですが、21世紀の「持続可能な社会をめざす」という判断基準では好ましい方向性ではありません。

その理由は次のブログを参照してください。

1月23日のブログ「環境と経済は切り離せない」 

2月19日のブログ「景気動向指数と長期間労働」 

4月7日のブログ「2月の景気動向指数」

5月12日のブログ「3月の景気動向指数」

6月11日のブログ「4月の景気動向指数」 



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ストックホルム最大の「都市再生プロジェクト」の現状

2007-07-11 08:08:06 | 巨大構造物/都市/住環境


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この記事は7月2日の毎日新聞が伝える「ストックホルム最大の都市再生プロジェクト」の最新の状況です。記事のリードの部分に次のように書いてあります。

地球温暖化、ごみ、汚水-現代社会が直面する環境問題に正面から挑む再開発が、スウェーデンの首都ストックホルム中心部で進んでいる。水辺の街を意味する「シェースタッド地区」。ごみ・汚水を再利用する循環型社会の理念「エコサイクル」モデルの実現を目指し、市当局は「環境問題の最善の解決策がここにある」とアッピールする。面積約2平方キロノシェースタッド地区は、15年までに住居1万戸を整備し、人口2万5000人が住む「エコロジーと共生する街」に様変わりする(ストックホルムで中尾卓司、写真も)

また、本文には次のようなことも書かれています。

●ストックホルムが04年夏季五輪の候補地に名乗りを上げた95年ごろ、同地区を五輪会場とする計画が持ち上がる。開催地争いはアテネに敗れたが、再開発は大きく前進した。

この記事の中には、 「循環型社会」という言葉が「タイトル」として1回、本文で2回、計3回出てきますが、この言葉には注意する必要があります。スウェーデンの「エコサイクルの概念」「日本の循環型社会の概念」とはまったく似て非なるものだからです。

「循環型社会」を将来のめざす方向として掲げている日本の「都市再生(都市再開発)」は、汐留地区や六本木地区、さらには東京駅周辺の再開発を見れば明らかなように、巨大構造物が中心で、再開発の結果、必然的に、当該地区の大量のエネルギー(特に電力)、大量の水の消費、大量の廃棄物の排出を加速しています。つまり、ますます「現行の持続不可能な社会」を加速します。

ストックホルムのプロジェクトの目標は、日本の考えとは正反対で、施設の建設時及び建設後の使用期間中の環境負荷お89年から93年に建てられた建築物と比較して半減させることで、エネルギー利用、水利用、交通、建材など各分野の具体的な目標が設定されています。銅ぶきの屋根や銅管使用、塩ビ製品の使用、日本でいう「シックハウス症候群原因物質などの使用」は禁止されています。つまり、「現行の持続不可能な社会」を「持続可能な社会」へ転換する行動計画を加速させます。

このプロジェクトを貫く基本的な考え方は、市民に持続可能な街づくりに必要な環境情報を提供し、市民の選択の条件を整えることなのです。

この記事の関連情報として、私の2つのブログをご参照ください。

2007年3月23日のブログ「2004年 五輪招致をめざしたストックホルム」 

2007年5月29日のブログ「緑の福祉国家59 都市再生(都市再開発)④ ストックホルム最大の再開発プロジェクト」 



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スウェーデンの年金制度に学ぶ①

2007-07-11 04:53:01 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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日本でいま議論している年金制度は、基本的には「税方式」ですが、スウェーデンの新年金制度は「保険料方式」です。税方式を採用すると、「拠出」と「給付」の関係が切れてしまい、公平性が保たれなくなるでしょう。 
 
日本がスウェーデンの「新年金制度」に学ぶときには、制度そのものの違いのほかに、両国の社会状況にさまざまな違いがあることと、将来に対する考え方に大きな違いがあることを理解しなければなりません。ここでは、年金制度改革とのかかわりでつぎの3点を挙げておきましょう。


女性の社会進出に大きな違いがあります。スウェーデンでは、1960年の旧年金制度施行の3年後の63年には、すでに20歳から64歳の女性就労者が63%(男性就労者は93%)で、89年には85%(男性90%)まで上昇して、現在に至っています。

②1971年の「税制改革」によってスウェーデンでは、夫婦双方に勤労所得がある場合、従来の「総合課税方式」(夫婦を一所得単位と見なし、両者の所得の合計額を課税対象として取り扱う方式)から、「分離課税方式」(夫婦を分離し、別々の所得単位として課税する方式)に切り替えました。この税制改革は、女性の経済状態を独立したものにし、前述の89年の数字からも明らかなように、女性の就労率を高めるために貢献したといえるでしょう。

③スウェーデンの合計特殊出生率は、2004年には1.71(同年の日本は1.29)で、2010年には1.80程度まで上昇し、その後、安定すると想定されています。合計特殊出生率の上昇は、女性の社会進出を促進し、男女が平等に働くことができる安心で安全な社会をつくるための総合的な政策を実施した結果、自然発生的に生じた副次的な現象だといえるでしょう。

決して、低下しつつある出生率を引き上げるのが目的で行なったわけではありません。政策を実施した結果として、付随的に出生率が上がったのです。 


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