環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

すべての国民が一つの制度に

2007-07-05 08:28:50 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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先進工業国のなかで公的部門の社会保障制度が小規模なのは、日本と米国です。この対極にあるのが、スウェーデンです。ドイツ、フランス、英国などヨーロッパの主要国は、その中間に位置しています。前京都大学大学院教授で、現在、立命館大学教授の橘木俊詔さんは著書「家計からみる日本経済」(岩波新書 2004年1月)でこの状況を、下の図のように表現しています。



次の図はスウェーデンで描かれた「人生の階段」をあらわした絵です。

子どもが成長し、50歳で人生のピークに達し、それ以降は徐々に老齢化していきます。どの年齢がピークであるかは、時代によって、社会によってさまざまでしょうが、この階段は誰にでも、そして先進工業国、途上国を問わず、どこの国の国民にも共通です。

「子どものとき」そして「歳をとったとき」に、私たちは他人の助けを必要とします。けれども、歳をとることは「予測できる不安」であり、すべての人に共通する問題です。

年金制度は社会保障制度の中心となる制度で、最大の目的は、労働市場から引退した高齢者の生活を維持するための所得を保障することです。つまり上の図でいえば、人生のピークを越えた右半分の世代の所得を、社会全体で保障することです。

ここでは、国民すべてに共通する「公的年金」に焦点を当てます。このような、すべての人に共通な問題に対して、日本(ドイツやフランスも)は、産業、職業、企業、年齢などの特性に応じて、別々の共同体がまとまって対応する社会保障制度を築いてきました。日本では、たとえば年金制度における「国民年金」(主として自営業者)、「共済年金」(公務員)、「厚生年金」(雇用関係にある勤労者)、「議員年金」(国会議員)などです。
 
これに対してスウェーデンは、国民全体が一つの共同体に属していると考え、国民全体に共通する普遍性の高い社会保障制度を築いてきました。すべての人が参加する福祉制度や社会保障制度がつくられてきたのです。スウェーデンの制度は、決して特殊な考えに基づくものではなく、私たちが暮らす日本にも十分当てはまる、普遍性の高い原則に基づいているといえるでしょう。



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