環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「国民の不安」に対応する国づくり②

2007-07-04 07:47:53 | 少子高齢化/福祉/年金/医療


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今日から、社会保障制度のなかでも、21世紀の2大問題 の一つ「少子・高齢社会」を支える年金制度を、スウェーデンがどうやって構築したのか、その大筋を見ていくことにしましょう。

少子化も高齢化も、人類にとって初めての経験ではありません。しかし、「少子化」と「高齢化」が同時に起こる「少子・高齢化」という現象は人類が初めて経験するものです。とりわけ、21世紀前半の日本では「少子・高齢化」に加えて、「総人口の減少」という他の先進工業国にない現象が加わります。

このような社会では、20世紀の経済成長のもとでこれまで無事に機能してきた「社会保障制度の持続性」が危ういものになります。ですから、「少子・高齢化問題」は国民の安心と安全が保障されるかどうか、という意味において、「社会の持続性」にかかわる問題です。つまり、少子・高齢化問題は、「人間社会の安心」を保障する年金、医療保険、介護保険、雇用保険などで構成される「社会保障制度の持続性」にかかわる大問題なのです。

6月26日のブログ「日本の少子・高齢社会②」で掲げた次の図からもわかるように、スウェーデンは20世紀後半の40年間に人口の高齢化が最も進んだ国であり、その問題の解決に真正面から取り組んできた現実主義の国です。
 


スウェーデンはいち早くこの大問題への対応策を超党派で検討し、時代の要求に合わなくなりつつあった1960年施行の「国民付加年金制度」を、21世紀にふさわしい年金制度に改めるために、全面的な見直しをすることにしました。

この年金制度改革は、「国民生活の基本的な制度の一つである公的年金制度の設計には与野党の対決を持ち込むべきではない」という現実的な考えから、野党4党と与党の社民党が協力し、20世紀の最後の10年に十分な時間をかけてまとめたものです。
 
1999年に、21世紀に向けた「新公的年金制度」が始まりました。OECDや、米国の格付け会社ムーディーズは、スウェーデンのこの年金制度改革を高く評価しています。
 
日本でも、行き詰まった公的年金制度を改革するための国会での議論が、2004年4月から本格化したので、スウェーデンの抜本的な年金制度改革に注目が集まっています。このことは、「日本の厚生労働大臣の諮問機関である社会保障制度審議会年金部会の自由討議で、委員12人のうち9人がスウェーデンの年金制度改革に触れた」という報道からも明らかでしょう。



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