酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

ラサ暴動はなぜ起きた

2008-03-16 05:46:53 | Weblog
 チベットのラサで起きた暴動でかなりの死者が出た。自治区政府の公式発表は10人、アメリカのラジオは80人以上と伝える。足して二で割った近辺の50人前後は亡くなっていると見ていいだろう。

 中国のテレビ映像には軍や警察の姿が映っていない。暴徒が店を壊し火を着けて回っている様子はよく分かる。だが、これで多数の死者が出るわけがない。

 「カメラの視野外」で激しい鎮圧行動がなされたのだろう。放送には発砲音もなかった。デモをしている坊さんの数も少なかった。ひょっとするとテレビ向けの演出かもしれない。

 中国政府は「暴動はダライ・ラマ14世を支持するグループが組織的に起こした」と非難している。一方、ダライ・ラマは「圧制に対する人民の怒りだ」という。

 中国からの独立を求めるグループが暴動をリードしたのは間違いあるまい。五輪前に騒乱を起こし、中国の国際的イメージを低下させる。あわよくば、欧米各国の北京五輪ボイコットまで引き出したい。狙いはそんなところだろう。

 中国は少数民族に対してきわめて厳しい封じ込め政策を採っているといっていい。自治区とか独立区と称してはいるが、実際は北京による直接支配だ。台湾問題があるため、チベットなどの分離独立は決して認めるわけにはいかない。これが中国の少数民族支配原則である。

 ラマ派の狙いは、とりあえずは中国の威信低下だろう。したがって、暴動は手を変え品を変えて、続くはずだ。五輪が近くなるほど過激化する恐れがある。期間中も目が離せない。

 中国政府は力による封じ込めを基本とするが、そう簡単にいくかどうか。ダライ・ラマはチベット人の心の拠り所だけに、力で押さえ込むには無理がある。チベット問題の処理を誤れば、中国は激しい国際的非難にさらされよう。とりあえず? 対話で収めるしかあるまい。

 日本や米国の対処法もきわめて難しくなる。経済大国相手だけに「口先介入」にとどまるんだろうな。

 
コメント
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