酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

沖縄少女暴行事件

2008-03-01 18:10:22 | Weblog
 沖縄に駐留する米海兵隊員が女子中学生を暴行したとされる事件は、被害者が告訴を取り下げたため突然の幕引きとなった。少女は「事件にかかわりたくない。そっとしておいて」と話しているらしい。被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪捜査の難しさが浮き彫りになった格好だ。

 現地沖縄では「事件は終わったわけではない」と反発する空気が強いようだ。これまで沖縄が味わった屈辱を考えれば、そうした反応も理解できる。このまま、うやむやのうちに時間が経過すれば、再発防止策も忘れられてしまいそうだ。

 在沖米軍は、軍の司法機関で引き続き捜査を続ける意向を表明している。日本の刑法とは違う軍法での扱いがどうなるか。注目したい。

 同時に、親告罪で告訴を取り下げて不起訴になった「元容疑者」の処遇も軽視できない。本件では米兵は否認を貫いている。裁判がなくなり、彼は限りなく灰色という立場を生涯にわたって押し付けられることにもなる。

 刑法の原則では判決が確定するまでは無罪と推定される。いかなる犯罪であろうとと、変わりはない。容疑者の社会的地位、年齢、職業、国籍などによって「あいつがやったに違いない」と軽々に断定するのは禁物だ。たとえ犯人であっても、よってたかって袋叩きにしていいわけではない。

 1年後には裁判員制度が始まるというのに、この国はメディアも含めて集中攻撃の癖が抜けない。手足を縛られた人間を叩くほど簡単なことはない。だが、そういうことを続けていくうちに、叩く理由や意味を考えなくなる。それが怖い。

 告訴を取り下げた少女に対して「なぜ逃げるのか」と非難する声があるという。法律や規則が何のためにあるかを理解しない反応というべきだ。人間を人間として守るために法律がある。容疑者を罰することと、自分の名誉や将来を守ることを比較考量した結果の選択に他人が口を挟むのはいかがなものか。

 再発防止には、2年前に合意した在日米軍再編の在沖縄部分、特に海兵隊のグアム移転を加速させることが重要だろう。問題を引き起こすのは実戦部隊である海兵隊員のケースが目立つ。戦場や厳しい訓練がストレスにつながり、非行の遠因担っているのかもしれない。「再編はセット」という考え方を改め、海兵隊分を先行実施すべきだ。

 日本政府がこの点に言及しないのは理解できない。ライスに正式抗議もできなかった福田首相では無理か。
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