おにぎり2個の里みち歩き 農山漁村の今昔物語

おにぎりを2個持って農村・山村・漁村を歩き、撮り、聞き、調べて紹介。身辺事象もとりあげます。写真・文章等の無断転載禁止

コウホネ 葉は水中にあらず

2011年07月26日 02時28分08秒 | 植物

写真1 妙参寺沼のコウホネ。葉は水面に浮き、花柄は水面より上に伸びている


写真2 妙参寺沼のコウホネ。葉柄、花柄ともに水面より上に伸びて葉を広げ、花をつけている


写真3 妙参寺沼のコウホネ。雄しべの葯に赤紅はつかず、また雌しべの子房・花柱と放射状柱頭ともに赤紅はつかない

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 コウホネとは、ここでは新種のシモツケコウホネ(ツヅラフジ科)を除くスイレン科の8種ほどのコウホネをさす
 写真のコウホネが8種ほどのいずれかについて、筆者は同定できない

 上掲3枚の写真にみる特徴が、コウホネとシモツケコウホネを分ける指標の一部を構成することになる

 写真のコウホネは、矢太神水源から約200m弱下流に立地する妙参寺沼に咲いていた
 この沼は江戸時代に掘られた灌漑溜池

 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2011年06月04日 撮影地:群馬県太田市(旧新田郡新田町)・妙参寺沼
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新種シモツケコウホネ 葉は水中にあり

2011年07月25日 00時00分00秒 | 植物

写真1 新種シモツケコウホネ。葉を水中に沈め、花柄は水面より上に出て1個の花を上向きにつけ、水流をしなやかに受けとめている


写真2 6月18日、花盛りにはまだ早いのであろう、用水路には3本のシモツケコウホネ。葉は水中にあり、見えない


写真3 シモツケコウホネの花。黄色の5枚の花弁状のものはガク・萼。ガクの内側基部に短い花弁がつく(写真では4枚見える)。その花弁を上から覆うように、多数の雄しべ(短冊上の黄色の花糸に赤色の葯)が筒状についている。その筒の中心部に赤い子房・花柱と赤い放射状柱頭の雌しべ。ガクは外側、内側ともに黄色。花の径は3~4㎝

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 コウホネは北海道から九州に分布する多年生水草
 葉痕をもつ根茎がヒトの背骨に似ていることから、コウホネ(河骨・川骨)の名がつく

 上の写真はシモツケコウホネ
 本種は日光市小代(こしろ)地区で見つかった新種のコウホネ
 環境省レッドデータブックでは、ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類(CR)に分類される
 シモツケコウホネや希少種を守るために、住民が栃木県下都賀農業振興事務所と連携して「シモツケコウホネと里を守る会」を組織
 この会は写真の用水路や環境を整備

 シモツケコウホネについて、2006年『Acta Phytotaxonomica et Geobotanica』57(2)(113-122頁)に、志賀隆・石井潤・井鷺裕司・角野康郎は次のように新種として発表
  1.これまで報告されているコウホネ属は全て浮葉~抽水性の植物(葉を水面に浮かせたり、水面より上に出す植物)として分類されている
    ところが、シモツケコウホネは河川・水路に生育する沈水性の植物で、完全な浮葉形成能を失った特異なコウホネ属植物として注目される
  2.シモツケコウホネは葉柄の断面が中空で、花の形態はオグラコウホネと類似
    しかし、狭長楕円形~狭三角形の細長い沈水葉を持つことで識別される
  3.沈水状態のコウホネとは次のように区別される
    ①沈水葉の葉身基部がほとんど切れ込まない
    ②雄しべの形態、赤色の葯と果実
  4.AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)分析、酵素多型分析で得られた多型に基づく系統解析から、

    シモツケコウホネはオグラコウホネの姉妹分類群として系統的にも明らかに区別される
  5.上記から、シモツケコウホネは新種として認識すべきと判断
  6.シモツケコウホネは栃木県に分布が限られ、7ヶ所の採集記録を確認

 シモツケコウホネの学名:Nuphar submersa  ツヅラフジ科
 引用・参考文献等:大阪市立自然史博物館HP;志賀隆・『河骨愛』
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:写真1・2;2011年06月18日、写真3;2008年09月15日 撮影地:栃木県日光市小代
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矢太神水源の魚  タナゴ?

2011年07月24日 09時33分14秒 | 魚等



写真1(上)及び写真2(下)で、体側を白く光らせるのは雌のタナゴ?
 薄紅のかかる雄7尾ほどが群がり、産卵中? 写真1⇒写真2の順に連続撮影


写真3 湧水孔のあるY字型池は正面左、木立の下。湧き出た水は、中ほどの長方形の池に流れ込む
 さらに下の狭水路から石田川となる


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 群馬県大間々扇状地の矢太神水源(やだいじんすいげん)には鯉の他に魚はいないのか、と探す
 自噴湧水孔のあるY字型池で写真の小群を発見、8尾ほどいる

 さーて、種類は何か?
 写真にみるように、鮒ほど大きくなくて平べったい
 鰓(えら)から胸鰭(むなびれ)あたりに薄く紅がかかり、尾鰭あたりも薄く紅がかかる
 その薄紅の魚は繁殖期のタナゴの雄で、白く光るのは産卵するメスのタナゴと、ひとまず同定
 どなたか、写真の魚種と行動について教えてください

 ちなみに、タナゴは環境省レッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に分類されている
 写真1及び写真2の前後行動をフォトチャンネルにアップしました

 絶滅危惧IA類(CR):ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
 絶滅危惧IB類(EN):IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種

 引用・参考文献等:*フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(日本語版最終更新 2010年7月27日 01:44)・タナゴ 
  *弊ブログ2011年04月15日
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2011年07月17日12:28:50 撮影地:群馬県太田市・矢太神水源
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赤茶翅 が 目立つ ニホンカワトンボ

2011年07月23日 08時01分36秒 | 昆虫

写真1 翅に白の縁紋がないので、ニホンカワトンボの雄(♂)


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 多年生水草のシモツケコウホネを住民(「シモツケコウホネと里を守る会」)が保護している栃木県日光市小代。清流、行川(なめがわ)も流れる。
 そぼ降る小雨の中、シモツケコウホネが生える用水路や行川の周りを飛ぶイトトンボ、なかでも赤茶色の翅に惹かれた。それが写真のニホンカワトンボ。
 学名:Mnais costalis カワトンボ科
 和名の別名:オオカワトンボ・ヒガシカワトンボ
 引用・参考文献等:*Webサイト『昆虫エクスプローラ』 *当ブログ2011年3月27日版・3月28日版・6月28日版・6月29日版・7月4日版
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2011年6月18日 撮影地:栃木県日光市小代
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昼下がり 花を閉じるアサザ

2011年07月22日 02時48分40秒 | 植物

写真1 11:46 花を開くアサザ


写真2 13:09 花を閉じるアサザ 写真1と同じ個体


写真3 11:46 水面に映えるアサザ


写真4 13:10 水面の花も萎むアサザ 写真3と同じ個体


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 アサザは北海道を除く各地の池や沼に生える多年草の浮葉水草
 浮葉は、水底の泥の中を横にはう根茎(匍匐茎)から葉柄が伸びて水面に浮かぶ

 水面上方に伸びる花茎につく黄色の花冠は3~4㎝、5つに深裂する
 昼下がりには花冠を閉じる半日花
 花期は6~8月

 本種は、近年少なくなり、2007年の環境省レッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)に分類される(注1)

 写真の個体は妙参寺沼のアサザ
 この沼は矢太神水源の隣りにあり、同水源から引水

 アサザの学名:Nymphoides peltata ミツガシワ科
 注1 準絶滅危惧(NT):現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
 引用・参考文献等:弊ブログ2011年07月21日 
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2011年07月17日 撮影地:群馬県太田市・妙参寺沼
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