こうして一緒に遊んだ大切な友達が、世を去りました。彼はアリエスを遊びに連れ出し、私達を微笑ませ大笑いさせ、人間同士を生涯の友にし、たくさんのことを教えてくれた犬。このご家族には、親子共々ひとかたならぬお世話になったのです。
どこにも代わりがない。どこにも同じ存在がない。この手に取り戻せない。その愕然とするような喪失感、とんでもなく深い穴をのぞくような虚無は、本当に恐ろしい。時間は巻き戻るばかりで、あきらめるために使えるエネルギーなんて残らないんじゃないだろうか。
心はたぶん原型をとどめないほど破れているのに、それでもこの家族は優しくて強かったし、前進する決意をしていた。そんな姿を見ていると、彼と過ごしてどんなに幸せだったか、彼がどんなに素晴らしい犬だったか、わかるよ。彼に恥じない日々を送ろうとしているように見えるから。
書くべきことはもっとあり、書きたいことももっとある。でも言葉がぐるぐると巻きついてしまうようで駄目だ。ただただ、自由になった彼が思う存分駆け回り、家族のところへ飛んで行ってくれるように、祈るだけです。少し経ったら、皆でまた会える。それまで待ってるんだぞ、オズマ。