写真・図版

会見で仮処分決定への期待感を語る河合弘之弁護士(中央)ら=11日午後、福井市、筋野健太撮影

  • 写真・図版
  • 写真・図版

 関西電力高浜、大飯両原発3、4号機の地元住民らが福井地裁に再稼働差し止めを求めた仮処分の第2回審尋が11日、福井地裁であった。樋口英明裁判長は、高浜については「緊急性」を認めて審尋を終結させた。住民側弁護団は会見で「仮処分申請が却下される理由が見当たらない」と再稼働阻止に自信と期待を膨らませた。

 関電側は「争点が多岐にわたり、専門性が高い。仮処分の判断が多方面に影響を及ぼす事案である」として、慎重な審理を求めてきた。しかし、住民側弁護団によると、樋口裁判長は高浜原発3、4号機について「機は熟した」と述べ、結審を告げたという。

 樋口裁判長は昨年5月の福井地裁判決で、大飯3、4号機の運転差し止めを命じる判決を指揮しており、住民側弁護団は、今月中にも高浜3、4号機の再稼働を禁じる仮処分を決定する可能性が高いとみている。

 申し立てた住民の一人で坂井市の松田正さん(65)は「大きな山を超えた。記念の日になった」。大阪府高槻市の水戸喜世子さん(79)は「福島の事故は何一つ終わっていない。再稼働はあり得ず、頼るのは司法しかない」と期待を込めた。元金沢地裁裁判長で北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じた井戸謙一弁護士(60)は「一般的には、裁判官は負担が大きい判断はしたがらず、決定が延びることもある。樋口裁判長の職務を全うする責任感に感動した」と話した。

 住民側弁護団は、関電側が樋口裁判長ら3人の裁判官の交代を求める「忌避(きひ)」を申し立てたことを「大企業が裁判官の忌避を申し立てるのは異例。追い詰められていることがはっきりした」と指摘。弁護団共同代表の河合弘之弁護士(70)は「私たちの希望が目の前に近づいている。明るい思いだ」と話した。

 一方、大飯3、4号機については審理を継続し、5月20日午後3時から第3回審尋がある。(小川詩織、山田理恵)

■町議会の判断に影響あると認識 高浜町議会議長

 福井地裁で高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分の審尋が打ち切られ、月内にも再稼働を禁じる仮処分が決定される可能性が出てきたことを受け、高浜町議会の的場輝夫議長は11日、朝日新聞などの取材に対し「司法の判断にまったく影響を受けないことはない」と話し、再稼働を巡る議会判断に一定の影響が出るとの認識を示した。

 的場議長は20日の町議会全員協議会で再稼働の同意について議長の考え方を示し、議会の最終判断をとりまとめる意向を示していた。しかし、「(司法判断が)20日までに出ていれば議長の判断に織り込みたい。出ていない場合は議長の判断に含めず、議員に諮りたい」と戸惑いを見せた。

 高浜町議会は今月、高浜原発3、4号機の速やかな再稼働を求める意見書を可決し、政府に提出している。(大久保直樹)