広島に原爆が投下されてから、73回目の夏。
ノーモアヒロシマの夏、甲子園の夏、
哀しみと懺悔と祈り、そして球児の夏・・・
夏の思い出は、涙をともなってよみがえってくる。
小学校へ上がるころの記憶に
アメリカがビキニ環礁で行った
水爆実験で放射能に汚染された、第五福竜丸の事件がある。
たぶん、映画館で上映されたニュースを観たからだと思う。
雨が降ってくると、「頭がはげる!」「毛が抜ける!」と言って
濡れないように走って軒下に避難していた。
ほんとうに、雨が怖かった。
「今に、黒い雨が降ってくる」とも信じていた。
原爆の後、黒い雨が降ったという話は、誰から聞いたのか
それとも誰かから教わったのか、記憶は定かではない。
原発のある敦賀で暮らしながら、
幼いころの「黒い雨」の記憶を長い間、
封印してきたわたしの夏は、モノクローム・・・