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アートネタなど日々のあれこれ

和巧絶佳

2020-08-18 22:42:49 | 美術
パナソニック汐留ミュージアムで「和巧絶佳展」を見てきました。

1970年以降に生まれた工芸作家12人を紹介する展覧会です。1970年以降ってことはU50ってことですね。工芸の世界では皆さん、若手ということになるのでしょうか。ちなみに和巧絶佳とは「和」の美、「巧」の美、工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」を組み合わせた言葉だそうです。

「和」の美の章で紹介されていたのは3人。桑田卓郎さんの陶芸作品はポップでカラフル。そしてダイナミック。草間彌生さんの作品みたいなお茶碗も。舘鼻則孝さんはレディ・ガガの靴で世界的に有名になった方ですが、あの華麗な柄は友禅だったのですね。ところで、あの靴って実際に履いて歩けるものなのでしょうか・・・。深堀隆介さんといえば金魚。前々から作品を生で見たいと思っていたのですが、ようやくの対面です。本物そっくりの涼しげな金魚たちは、作者のイメージの中の実在しない金魚なのだとか。深堀さんが金魚にハマったきっかけエピソードも面白かったです。彼の作品を家のPCで見た娘は「金魚すくいしたい!」と騒いでおりました・・・。

「巧」の美の章で紹介されていたのは4人。池田晃将さんの超細密なデジタル螺鈿細工は、小宇宙のよう。宮島達男さんの作品を思い出しました。髙橋賢悟さんは以前、「美の巨人たち」でも紹介されていましたね。生花を型にして極薄のアルミ鋳造作品を制作していますが、小花でかたどられた動物の頭蓋骨には死と美のイメージが漂います。見附正康さんの加賀赤絵の大皿も超絶技巧・・・眩暈のするような柄はエッシャーを彷彿とさせます。山本茜さんは6年前の日本伝統工芸展で、「流衍」というガラス作品で入賞された方です。あの作品が大好きだったので、再会できて嬉しかったです。今回、源氏物語をテーマにした作品もありましたが、独特の幽玄な世界観が繊細に表現されていました。

「絶佳」の美の章で紹介されていたのは5人。安達大悟さんの絞り染めの作品は、デジタル柄のようにも見えますが、色のにじみ具合が絶妙。坂井直樹さんのスタイリッシュな鉄瓶は、ついつい、これ欲しい、と思ってしまう魅力があります。佐合道子さんの作品はサンゴ礁のような不思議な生き物のよう。新里明士さんの作る繊細な器はレース細工のような透け感があります。橋本千毅さんの螺鈿細工は光る虹のように色鮮やか・・・。

というわけで、令和時代の超絶技巧の世界を堪能してまいりました。日本人の繊細な超絶技巧は本当に世界に類のないものだと思いますが、そのDNAが時を超え、形を変え、脈々と受け継がれていることを実感しました。この唯一無二の流れが、未来へと続いていきますように・・・。
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