TOHOシネマズ渋谷で「君たちはどう生きるか」を見てきました。
宮﨑駿監督の10年ぶりの監督作品です。不肖わたくし、ジブリ作品を映画館で見るのはかなり久しぶりなのですが、ふと、思い立って行ってきました。子どもたちを連れて行こうかとも思ったのですが、なんとなく一人で…。一切情報を明かさない、宣伝も行わないという異例な状況で公開されたこの作品、見た方の間ではかなり賛否両論あるようなのですが、いったいどんな作品なのか…。
太平洋戦争で母を失った少年が、父の再婚後、姿を消した継母を探すうちに異界にさ迷いこみ…というストーリーです。が、設定が入れ子構造になっているので、難解というイメージを与えるのかもしれません。自分はひたすら映像と音楽の美しさを堪能しました。どちらも非常に美しく、瑞々しい。宮崎監督も久石譲氏もそれなりのご年齢のはずですが、まったくそういうことを感じさせません。むしろ、お二人が本当にやりたかったのはこういうことなのでは、という気すらしてきます。映像の、とりわけ空と海の美しさ。そぎ落とされた音も美しく響きます。一方、世界で最も怖いのは「悪意」ということも知らしめます。死を起点に生と世界を極上の映像と音で伝えるこの作品は監督が次世代へ向けたメッセージかもしれず…。
ところで、この作品、タイトルは吉野源三郎作「君たちはどう生きるか」からとられていますが、原作とはなっていないようです。せっかくだから、小説の方も読んでみようか…と買ってみたら、裏表紙にこんな言葉が書いてありました。
「君自身が心から感じたことや、しみじみと心を動かされたことと、くれぐれも大切にしなくてはならない」