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アートネタなど日々のあれこれ

オデッサ

2024-02-12 02:09:54 | 舞台
東京芸術劇場で「オデッサ」を見てきました。

三谷さんの三年ぶりの新作書下ろしの舞台です。当初、チケットが手に入らず、諦めかけていたのですが、奇跡的なタイミングでまさかの良席ゲット。関係者席でもリリースされたのだろうか…という位置でした。この舞台、脚本も役者さんたちも素晴らしかったです。しかも音楽はウェスタンスタイルに身を包んだ荻野清子さんの生演奏。言葉が通じない人どうしの意思疎通を表現するために、字幕が大活躍するのも斬新でした。私が行ったのは1月半ばだったのですが、まだ公演が続いているので極力ネタバレになりませんように…。

登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ…この舞台のキャッチフレーズです。登場人物は日本人通訳(柿澤勇人さん)、日本人旅行者(迫田孝也さん)、日系人警部(宮澤エマさん)。言語は英語と鹿児島弁。真実は…これはネタバレ厳禁ですね。オデッサというのは実在の都市で、アメリカのテキサス州にあるらしいです。数あるアメリカの都市でもなぜオデッサなのか、そしてなぜ鹿児島弁なのか…その謎は舞台上で明らかになります。

英語を話せない日本人旅行者が殺人事件の容疑をかけられ、日本語を話せない日系人警部が取り調べを行うものの、間に入った日本人通訳のせいで事態があらぬ方向に転がり始め…というお話ですが、1時間45分の間、もう笑いっぱなしでした。本当に客席の笑いが絶えることがなかったです…これだけの時間、大勢の人たちを笑わせ続けるって凄いことですよね。しかし、ウェルメイドなお話かと思いきや、一筋縄ではいかないところがさすがに三谷さん。笑いの中に苦さも怖さもあるのです…。

コメディーのようなミステリーのようなこの舞台、実は「言葉」がテーマになっていました。言葉は真実を伝えることも、隠すこともある。生きる力にもなれば、身を滅ぼす刃になることもある。そして、人の帰属意識やアイデンティティにも深く関わる…笑いのなかに、実は複雑な要素も含まれている話でしたが、見終わった後には、新年からいいもの見たなぁ…と素直に思える舞台でした。春から縁起がいいかも…。
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