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アートネタなど日々のあれこれ

大英博物館プレゼンツ 北斎

2018-04-27 00:07:46 | 映画
恵比寿ガーデンシネマで「大英博物館プレゼンツ 北斎」を見てきました(ここでの上映は既に終了しています)。

この映画は2017年に大英博物館で開催された北斎の展覧会のドキュメンタリーです。この展覧会はイギリスで初めての北斎の展覧会だったとか。ちょっと意外な気もしますが・・・。そして、この映画もまたイギリスで初めての北斎の映画です。というか、世界初の北斎長編ドキュメンタリーらしく・・・

けっこう期待して見に行ったのですが、不肖わたくし、前日の睡眠不足が祟り、いくたびか寝落ちてしまいました・・・残念です。しかしながら、こんなにも北斎愛に溢れる方々が外国にもいらしたということにしみじみしてしまいました。尊敬の念をあらわにするデヴィッド・ホックニー。泣かんばかりに熱く語る研究者。映画では北斎の言葉もいろいろ紹介されていました。「6歳の時から絵筆を取らなかった日は一日もない」という言葉が一番ツボにはまりました。やはり、天才は一日して成らず。そして九十歳と、当時としては異例なくらい長命だった北斎。最後まで絵師として成長できるということを信じていました。一日の休みもなく、描いて描いて、最後は龍と化して天に昇ったのかもしれません・・・。

さて、鑑賞後は例によって甘いものが欲しくなり、映画館に併設のカフェでおやつにしました。季節限定のオレンジクリームのカップケーキとカフェラテ。ここのカップケーキは何だか癖になってしまうんですよね・・・たいそう甘くて美味しゅうございました。

危険な関係

2018-04-26 00:51:19 | 映画
恵比寿ガーデンシネマで「危険な関係」を見てきました(ここでの上映は既に終了しています)。

他にも見たい映画があったりとか、元々、原作に興味があったりとか(ヨン様主演の「スキャンダル」も見ましたとも(爆))ということもあるのですが、それより何より、音楽がセロニアス・モンクだったということが足を運んだ最大の要因です。一歩間違えば昼メロみたいになりかねない原作とモンクのあのピアノがどう結びつくんだろう、と興味をそそられ・・・。

音楽と映画の関係、でいえば、なるほどこういうのもありなのか・・・と思わされる映画でした。フランス上流階級の退廃的な雰囲気とモンクの飄々とした不協和音が意外にマッチしています。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「危険な関係のブルース」もハマってましたし。フランス映画とジャズって意外に相性がよいのかもしれませんね。マイルスが音楽を担当していた「死刑台のエレベーター」も有名ですが、フランスの監督さんはジャズ使いがうまいということなのかもしれません・・・。

映画自体の感想はといえば、とにかく主役の二人が凄かった。ジャンヌ・モローとジェラール・フィリップ。ジャンヌ・モローの頽廃的な美しさ、ジェラール・フィリップの軽薄そうでいてどこか陰影のある表情。ジェラール・フィリップはこの作品が遺作となり、36歳で亡くなってしまいます。かたやジャンヌ・モローは大女優として天寿をまっとう・・・その対比にも思わずしみじみしてしまいます。

そして、この映画、とにかく女性の撮り方が綺麗&エロい。いったいこの監督さん、どういう人なんだろうと思って調べてみたら、さもありなん、という経歴でした。ブリジッド・バルドーが元妻で、カトリーヌ・ドヌーヴとの間に一子をもうけ、ジェーン・フォンダと結婚&離婚・・・って、どんだけ華麗な女性遍歴やねん、と思わず突っ込んでしまいたくなります。「危険な関係」でマリアンヌ役だったアネット・ヴァディムも元妻って、なるほどそういうことか、そういうことか・・・。

そんなわけで、思っていた以上に楽しめた映画でした。なんでも「危険な関係」って、本作含めて8度も映画化されているとか。時を超えて人の心を刺激し続ける何かがあるのでしょう。それにしても、今でもこの映画のことを思い出すと、モンク独特の不協和音が、頭の中でつーん、と鳴ってしまいます・・・。

寛永の雅

2018-04-06 00:54:59 | 美術
サントリー美術館で「寛永の雅」を見てきました。

不肖わたくし、この展覧会のことはノーマークでしたが、ブロガーさんたちの評価がなかなかに高かったので、行ってきました。見終わった後に、どこか清々しいような心持ちになる展覧会でした。

展示は野々村仁清の「白釉円孔透鉢」から。しょっぱなから斬新です。どことなくルーシー・リーの器を彷彿とさせるようでもあります。狩野探幽の「桐鳳凰図屏風」も美しい。しばし立ち尽くしてしまいました。そういえばこの鳥さん、「おもしろびじゅつワンダーランド」にも登場していたような気が・・・。住吉具慶の「源氏物語」も瀟洒な作品です。

まずは小堀遠州。「遠州ごのみ」の茶器が並びます。いわゆる「きれい寂び」の世界ですね。なんというか、大人の趣味という感じ。若者でも老人でもない、大人。遠州が折に触れて使っていたという地味な茶杓になぜか心惹かれました。

仁清は冒頭の作品こそ相当アグレッシブですが、元々はオーソドックスなタイプの器も作っていたようです。そこから金森宗和の影響を受けて作風が変わっていった模様。「色絵花輪違文茶碗」も鮮やかなデザインが目に残ります。

最後は狩野探幽です。永徳のお孫さん。お祖父さんとはだいぶ作風が違いますが、それでもやはり、平たく言って絵がうまい、というDNAが受け継がれているのはひしひしと感じます。探幽の場合は、余白の美ですかね・・・。「富士山図」も白が美しかったです。

というわけで、サブタイトルにもある遠州、仁清、探幽・・・この三人の名が刻み込まれました。キャッチは「きれい、極まる」でしたが、きれいというか、すっきり、という感じですかね・・・。あの豪華絢爛な桃山時代の後に、こういう文化が続いたということが興味深くもあります。コテコテの家系ラーメンを食べ歩いた後には、淡麗系のラーメンが懐かしくなるようなものでしょうか(なんのこっちゃ)。作品だけでなく、会場のレイアウトもすっきりしていて、何だか身も心も洗われたような心持ちで、会場を後にしたのでした。

Day is Done

2018-04-03 01:14:34 | 美術
ワタリウム美術館で「マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋」を見てきました(この展覧会は既に終了しています)。

不肖わたくし、マイク・ケリーのことは知りませんでした・・・が、なんでもワタリウムのフライヤーによると、アンディ・ウォーホルが表のスターだとすると、マイク・ケリーは裏の帝王なんだとか。裏の帝王ってダースベイダーかなんかみたいですが、いったいどんな作品が出てくるのやら・・・。

この展覧会の感想を言葉で表現するのは難しいのですが・・・なんというか、この全館に溢れる「やっちまった感」は、見たことがない感じです。映像作品もあえて言うならデヴィッド・リンチとエド・ウッドを足して2で割ったより、いくらかリンチ寄りというか(あくまで個人的感想ですが)。“Day is Done”は高校時代の「課外活動」の様子を写したモノクロ写真の再生から派生した「大作」ということですが、つい、リンチのツイン・ピークスとエド・ウッドのプラン9・フロム・アウター・スペースを思い出してしまいました。映像に出てくるヴァンパイヤとプラン9のベラ・ルゴシの姿が何だかかぶってしまい・・・。それにしても、高校時代の懐かしい思い出というよりは、もはや黒歴史に近いのではないかと思われるモチーフをネタに堂々の連作に仕立て上げてしまうマイク・ケリー、おそるべしです。「エクトプラズム」(写真)もやばかったなぁ・・・。ミネアポリスの農協のバターのパッケージに描かれた少女をモチーフにしたという「ランド・オ・レイクス」のシリーズも何だか訳が分からなかったし。映像作品には数々の趣深い言葉も散りばめられているのですが、それをぶち壊すような映像の数々に頭が終始くらくらしておりました。マイク・ケリー曰く、ポップカルチャーは嫌い、だからそれを使って遊ぶのさ、ということですが・・・。ところで、ワタリウム美術館では、今回の展覧会を皮切りにマイク・・ケリーの作品を複数回の展覧会として紹介していくのだそうです。この次はいったいどんなことになるのだろうか・・・。

帰りに地下の“on sundays”で開催されていた「中原昌也展 マイク・ケリーに捧ぐ」展も見てきました。たしかに、マイク・ケリーに捧ぐ、な感じでしたね。猫の作品がかわいかったなぁ・・・。