アップリンクで「レッキング・クルー」を見てきました。
レッキング・クルーは60年代から70年代にかけて、ウェスト・コースト・サウンドに多大な影響をあたえたスタジオミュージシャン集団。彼らとレコーディングを共にしたのはフランク・シナトラやビーチ・ボーイズ、サイモン&ガーファンクルなど錚々たるミュージシャン達。ちなみにこの映画の監督はレッキング・クルーのギタリスト、デニー・テデスコの息子、トミー・テデスコ。彼は18年かけて、この映画を完成させた(権利関係をクリアするのが大変だったらしい)そうです。(以下、ネタバレ気味です)
映画は、レッキング・クルーの面々が過去のレコーディングを振り返る形で進んでいきますが・・・かのブライアン・ウィルソンをして、彼らが音楽を支えていた、というようなことを言わしめるだけの凄腕ぶりが伝わってきます。ブライアン・ウィルソンといえば、レオン・ラッセルが映画の中で「天才という言葉は彼のためにある」と言っていたのが、印象深かったです。言う方も言う方だし、言われる方も言われる方なだけに。レコーディングに関わるエピソードでとりわけ強烈だったのが、フィル・スペクターの話です。彼はスタジオに入って3時間はレコーディングしなかったとか。ミュージシャンを疲れさせ、余計な自己表現をさせないためだったそうです。思わず「せ、性格悪っ・・・!」と心の中で呟いてしまいました。彼があるミュージシャンをいびり抜いた話なども出てきましたが、これもまた凄まじかったです。あのウォール・オブ・サウンドはこうして生まれたのか・・・うむむむむ。
映画の後半は、レッキング・クルーの個々のメンバーの過去の話になるのですが、とりわけ印象深かったのが、女性ベーシスト、キャロル・ケイの話。女性のベーシストさんってかなり珍しいという気がしますが・・・。でも、彼女は両親ともにミュージシャン(音楽している時以外はいつも喧嘩していたそう)という筋金入り。サム・クックのギタリストからキャリアを積んだというのだから凄いですよね。女扱いされてなかった、ということを話していましたが、男からもリスペクトされる存在だったのでしょう。それにしても「グッド・バイブレーション」のベースってこの方だったんですね。ひょえぇぇぇ・・・。
最盛期はどこぞの国の大統領よりも稼いでいた、という彼らも時代の変化とともに、仕事を失っていきます。バンドのメンバー本人が演奏している、ということにファン達が意義を見出すようになったということが大きかったようです。音楽から離れてしまう者もいました。デニー・テデスコは作曲の仕事などで何とかつないでいたようですが、彼もついにはバレリーナのような格好をして、「スタジオミュージシャンのためのレクイエム」という曲を演奏するまでに至ります。そこへ、突然、フランク・ザッパが生真面目な顔をしてあらわれ、この曲について核心を突く言葉を語ります。こ、こんなところでザッパが・・・!
というわけで、「音楽を仕事にすること」の素晴らしさと厳しさについて、思い知らされた映画でした。音楽も人生も、辛いこと多いけれど、捨てたもんじゃないよね・・・そんな感慨が残りました。
ところで、この映画、最後の最後まで気が利いています。エンドテロップが出たとき、客席のあちこちから「ぷぷぷ」という忍び笑いが聴こえてきました。息子さん、やるなぁ・・・。
レッキング・クルーは60年代から70年代にかけて、ウェスト・コースト・サウンドに多大な影響をあたえたスタジオミュージシャン集団。彼らとレコーディングを共にしたのはフランク・シナトラやビーチ・ボーイズ、サイモン&ガーファンクルなど錚々たるミュージシャン達。ちなみにこの映画の監督はレッキング・クルーのギタリスト、デニー・テデスコの息子、トミー・テデスコ。彼は18年かけて、この映画を完成させた(権利関係をクリアするのが大変だったらしい)そうです。(以下、ネタバレ気味です)
映画は、レッキング・クルーの面々が過去のレコーディングを振り返る形で進んでいきますが・・・かのブライアン・ウィルソンをして、彼らが音楽を支えていた、というようなことを言わしめるだけの凄腕ぶりが伝わってきます。ブライアン・ウィルソンといえば、レオン・ラッセルが映画の中で「天才という言葉は彼のためにある」と言っていたのが、印象深かったです。言う方も言う方だし、言われる方も言われる方なだけに。レコーディングに関わるエピソードでとりわけ強烈だったのが、フィル・スペクターの話です。彼はスタジオに入って3時間はレコーディングしなかったとか。ミュージシャンを疲れさせ、余計な自己表現をさせないためだったそうです。思わず「せ、性格悪っ・・・!」と心の中で呟いてしまいました。彼があるミュージシャンをいびり抜いた話なども出てきましたが、これもまた凄まじかったです。あのウォール・オブ・サウンドはこうして生まれたのか・・・うむむむむ。
映画の後半は、レッキング・クルーの個々のメンバーの過去の話になるのですが、とりわけ印象深かったのが、女性ベーシスト、キャロル・ケイの話。女性のベーシストさんってかなり珍しいという気がしますが・・・。でも、彼女は両親ともにミュージシャン(音楽している時以外はいつも喧嘩していたそう)という筋金入り。サム・クックのギタリストからキャリアを積んだというのだから凄いですよね。女扱いされてなかった、ということを話していましたが、男からもリスペクトされる存在だったのでしょう。それにしても「グッド・バイブレーション」のベースってこの方だったんですね。ひょえぇぇぇ・・・。
最盛期はどこぞの国の大統領よりも稼いでいた、という彼らも時代の変化とともに、仕事を失っていきます。バンドのメンバー本人が演奏している、ということにファン達が意義を見出すようになったということが大きかったようです。音楽から離れてしまう者もいました。デニー・テデスコは作曲の仕事などで何とかつないでいたようですが、彼もついにはバレリーナのような格好をして、「スタジオミュージシャンのためのレクイエム」という曲を演奏するまでに至ります。そこへ、突然、フランク・ザッパが生真面目な顔をしてあらわれ、この曲について核心を突く言葉を語ります。こ、こんなところでザッパが・・・!
というわけで、「音楽を仕事にすること」の素晴らしさと厳しさについて、思い知らされた映画でした。音楽も人生も、辛いこと多いけれど、捨てたもんじゃないよね・・・そんな感慨が残りました。
ところで、この映画、最後の最後まで気が利いています。エンドテロップが出たとき、客席のあちこちから「ぷぷぷ」という忍び笑いが聴こえてきました。息子さん、やるなぁ・・・。