東京都写真美術館で「(un) real utopia 本城直季」を見てきました(この展覧会は既に終了しています)。
こちらも開催を知った時から楽しみにしていた展覧会です。ずっと気になっていた写真家さんだったのですが、まとめて作品を見る機会がなかなかなく…今回が初の大規模個展ということで、未公開作を含む約200点が展示されていました。Introductionに続き、木村伊兵衛写真賞を受賞したsmall planetのシリーズが。東京の風景が精巧なミニチュアのように見えます…本当に写真?という感じで、これはどうやって撮っているのだろうと不思議に思いますが、大判カメラでアオリという手法を使って撮っているそうです。Kenyaのシリーズは一番好きだったかも…サバンナを撮った作品ですが、草原の鮮やかな緑にキリンやフラミンゴといった動物たちが愛らしい。LIGHT HOUSEのシリーズは長時間露光で路地裏を撮っていますが、異色、かつ不思議なリアリティがありました。tohoku311は東日本大震災の3か月後の東北を撮ったシリーズですが、やはり見るのが辛い…。Industryは工場地帯を撮ったシリーズですが、どこか異界の光景のよう。plastic natureのシリーズは森林や山などの自然を撮っていますが、もはや絵画にすら見えてきます。play roomはビーチやスキー場を撮ったシリーズですが、風光明媚な地で遊ぶ人々を見ているとこちらも幸せな気分に…。
本城さんは東京で生まれ育ちましたが、東京という都市に不思議な違和感を持ち続けていたそうです。そして、自分の住んでいる場所を知りたい、俯瞰したいという想いが写真を撮り続ける動機であり、原動力であると。高層から下界を見下ろした時の言いようのない心の動きは誰しも感じたことはあると思います…そして、本城さんの眼は、神の眼とも鳥の眼とも違う独特の眼なのでしょう…その眼を通して世界を見ると、本当にこの星に生まれてよかったな、と不思議と思えてきます。(un) real utopiaに…。
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