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アートネタなど日々のあれこれ

孤高の神絵師

2017-03-31 00:06:48 | 美術
加島美術で渡辺省亭展を見てきました。

不肖わたくし、渡辺省亭のことはよく知りませんでした・・・が、どうもこのところ、アートブロガーさんたちの間で話題になっているようなので、興味を引かれて行ってまいりました。

ギャラリーでの展示なので小規模ではあるのですが、初めての回顧展なのだそうです。そして今回は何と露出展示!会場に入るとまずは、もふもふのうさぎさんたちがお出迎え。その後も、繊細な美しさをもつ作品が続きます。ぱっと見、通りすぎてしまいそうな、つつましやかな作品たちなのですが、じっと見ていると、しみじみと胸にしみ入ってくるものがあります。「雪月花図」は真ん中の菖蒲に月の図がとりわけ綺麗。2階にあった朝日が昇る図も、溶け入るような空の描写が美しい。そして「牡丹に蝶図」は何と瑞々しくも艶やかな・・・。

かなり慌ただしい中での鑑賞でしたが、ひさびさに心をあらわれるような思いがいたしました。この展示に合わせて都内のいくつかの美術館でも省亭の作品が展示されているようです。誰か仕掛けている方がいらっしゃるのでしょうか。そういえば、あさって4月2日は省亭の百回忌なのですね・・・。

フィジカトピア

2017-03-30 22:58:25 | 美術
ワタリウム美術館で「コンタクトゴンゾ展 フィジカトピア」を見てきました。(この展覧会は既に終了しています。)

例によって鑑賞前に腹ごしらえ・・・ということで、近くの「礼華 青鸞居」でランチにしました。綺麗でやさしいお味のお洒落中華。店内はほぼ女性のみでした。豆乳担々麺をいただきましたが、クリーミーでおいしかったな・・・。

ところで不肖わたくし、コンタクトゴンゾのことは知りませんでした。が、ワタリウムで開催されている展覧会については、知らないアーティストでも行くことにしているので・・・ちなみにフィジカトピアとは「物理的な事実のみが理性や言語、社会正義に対して優位を誇る瞬間的な空間」なのだそうです。

会場に入るとまずはパフォーマンスの映像から。プロレスのようなダンスのような不思議な動きをしています。そしてフロアのすみっこには「土食べ軍団大冒険」が。こちらもなんだかシュールな映像。フロアの真ん中あたりには謎のミニキャタピラ。「無機物の生命(キャタピラはカニを轢く)」だそうです。そして吹き抜け空間には「メゾンゴンゾ外苑前」こちらは自衛隊の宿舎(?)風・・・。メンバーがここに住み込んで、創作していたのだそうです。

そして3階には「黒い家の庭」が。ピッチングマシーンみたいなインスタレーションです。小屋が発光するのを確認してから、煙突から玉を供給してくださいという説明があったのですが、タイミングを間違えてしまい、目の前をヒューと玉が通り過ぎ・・・相変わらずお間抜けさんです。もう一回やり直して今度は玉に当たってみました。けっこう痛い。厚手のコートを着ている状態でこれですから、これ薄着だったらかなり痛かったかも・・・。

4階は、「Physicatopia」の映像。向かい合わせの男たちがゴムで果物を打つという、よくわからない映像。ああ、なんだかドリフみたいだなぁ・・・と思いながらぼんやりと眺めておりました。

なんだか脱力系の展示だったなぁ・・・と思いつつ、最後にもう一度、2階に戻ってあらためてパフォーマンスの映像を見てみると、驚きの光景が。さっき見た時は、ドラマーの演奏をバックにプロレスみたいな動きをしていたのですが、今度はドラマーがボコられていました。引きずられながらも演奏を続けるドラマー。不肖◯◯、死んでもスティックを放しません、みたいな・・・ミュージシャンの鏡(?)です。思わぬところで、ミュージシャンシップというものを見てしまったよ・・・と、なぜか胸を熱くしながら会場を後にしたのでした(爆)。

超・日本刀入門

2017-03-29 23:41:12 | 美術
静嘉堂文庫美術館で「超・日本刀入門〜名刀でわかる・名刀で知る〜」を見てきました。(この展覧会は既に終了しています。)

不肖わたくし、静嘉堂文庫美術館に行くのは、か〜な〜り、久しぶりでした。かといって、わたくし刀剣マニアというわけではありません。というか、刀剣は書と並んで苦手なジャンル。どこをどう見ていいのかよくわからないんですよね。書の方はいろいろな展覧会が開かれていますが、刀剣単独の展覧会ってあまり記憶がない・・・おまけに超・入門とあれば苦手意識を克服するいい機会かも、と思って行ってみました。いいタイミングで思わぬところから招待券もゲットしたし、「ぶらぶら美術館」で予習もしたし。鑑賞のポイントは「姿」「地鉄」「刃文」らしい・・・。

この展覧会、タイトルにいつわりなし、の実に懇切丁寧な展覧会でした。簡単なパンフレットもついてくるのですが、これも私のような右も左もわからない・・・というか、太刀と刀の違いもわからないような初心者には実にありがたかったです。見どころは「刃文」「肌」「造り込み」「沸と匂」ということを何となく頭にインプットしてからいざ、会場へ・・・。

刀剣の展示は「長船長光太刀」から。国宝「手掻包永太刀」もガン見してきましたとも。素人目にも雄渾な風情のある太刀です。この展覧会には静嘉堂所蔵の国宝・重文の刀剣9件がすべて出ています。いずれも名品揃いということで、素人ながら、その美しさと迫力は感じとることができます。そう、姿として美しいのですよね。とはいえ、このうちには実際に生き血を吸ったものもあるのかもしれない、と思うと少々複雑な気分にもなりますが・・・。あと、戦国武将の所有の刀も展示されていました。刀装小道具もいくつか。今回「平治物語絵巻 信西巻」も出ていました。展示替えがあるのですが、私が行った日は信西の生首が、これでもか、というくらい出てくるところでした。メインの展示品との兼ね合いを考えるとちょっと怖くもなり・・・(爆)。

そんなわけで、ちょっとだけ刀剣のことを「わかったような」気にさせてくれる展覧会でした。それにしても、刀剣のことにはとんと興味がなかった私が、御招待券をもらったとはいえ、何年も訪れていなかった美術館に足を運ぶことになるというのは、ひとえに企画者の熱意の賜物なのだと思います。その熱意は解説にもあらわれていました・・・呪文のような説明も押型とセットでわかりやすく解説されていたし、キャプションにも気合入ってたし。人の「わかったような気になりたい」欲求に訴えかけることも大事、そして、わかりやすくするならばとことんわかりやすく、そんな企画の極意も見てしまったような気もする展覧会なのでした。

サクロモンテの丘

2017-03-28 23:36:03 | 映画
アップリンクで「サクロモンテの丘」を見てきました。

スペインのアンダルシア地方、グラナダ県サクロモンテ地区。ここは、かつて迫害を受けていたロマたちによる洞窟フラメンコが栄えていたフラメンコの聖地です。この映画はそのフラメンコ・コミュニティを描いたドキュメンタリーです(以下、ネタバレ気味です)。

とはいえ、映画を見てからかなり日が経ってしまっているので、記憶はかなり薄らいでしまっているのですが・・・映画は主にダンサー達へのインタビューや踊りの映像などで構成されています。出てくるのは往年のダンサーたちなので、すっかりおじちゃんおばちゃん、額が薄くなっていたり、お腹が出てしまっていたりするのですが、皆さんとにかくみごとに踊る踊る・・・たまに若手や子どもも出てきますが、彼らもまたみごとに踊る踊る・・・この映画を見ながら、ずっと脳裏にちらついていた言葉は「血は水よりも濃し」。

サクロモンテのロマ達はとことん貧しかったようです。でも、皆どこか陽気。そして下ネタ好きでもあった模様。彼らにとって、踊りはまさに生きるための手段でもありました。そんな彼らの歌と踊りにかつて世界中が熱狂していました。が、思わぬ悲劇が・・・。1963年にカルメン・アマジャが亡くなり、さらに水害にも見舞われ、彼らは住む場所を追われることになるのです。

それにしても、この洞窟フラメンコってブルースみたいだな・・・と、映画をみながら思っていました。ロマへの迫害の歴史は黒人へのそれとかぶりますし、あの憂愁を帯びた濃いぃ歌と踊り。あれは才能とか努力とか訓練とかとは別次元の、まさに血から生まれるものとしか思えません。そういえば、映画のチラシにピーター・バラカンさんの「大好きなブルーズの世界とオーヴァーラップする要素の多いことにびっくりしました」という言葉がありました・・・。

この映画の監督さんのインタビュー記事によると、このサクロモンテ地区は数年前まではグラナダの街の地図にさえ載っておらず、現在も見捨てられたままであるとか。でも、新しい世代が文化を継承しつつあるようです。願わくばこのDNAが受け継がれんことを・・・。

この世界の片隅に

2017-03-15 00:09:41 | 映画
今さらですが、ユーロライブで「この世界の片隅に」を見てきました。

この手の映画は少々苦手なので、行くのを躊躇していたのですが・・・つまり、100人中99人が絶賛し、残りの1人がちょっとでも批判的なことを言おうもんなら叩かれちゃう、みたいな映画のことです・・・仕事の関係者に強烈におすすめされ、さらにはスガシカオさんまでおすすめしていらっしゃったし、ということで思い切って行ってきました。

まだまだ絶賛公開中なので、詳しいことは書きません・・・予想はしていたものの、後半はもうぐずぐずと泣きっぱなしでした。この映画の感想を言葉にするのは難しいのですが・・・「戦争」から見えてくるものは、その人の体験によって、違ってくるのだろう、とは思いました。そして、いつか子どもたちにもこの映画を見せてやりたいなぁ、と。ちょっと大人なシーンもあるので7歳と2歳の子どもにはまだちょっと早そうですが・・・。

そして、この映画を見ながら、なぜか戦争を描いたある映画のことを思い出していました。そう、「火垂るの墓」。私史上、最大に泣いた映画であり、たぶんその記録が破られることはないだろう、と思われる映画。この2本の映画はいつか子どもたちに見せてやって、どう思ったのかを聞いてみたいのです。いったい何年先になるかなぁ・・・。

君の名は。

2017-03-14 23:48:58 | 音楽
今さらですが、RADWIMPS「君の名は。」を聴きました。

映画はまだ見ていないのですが・・・息子の強硬なリクエストによりサントラ盤を購入。例によって、ヘッドフォンにかじりつくようにして聴いている息子。さっそく「君の名は。かっこよかった?」と聞いてみると・・・。

「かっこよかったよ。かっこよくないわけないでしょ?これきいてかっこいいとおもわないひとはのうみそくさってるよ?」

のうみそくさってる・・・7歳の子どものセリフとしては、なかなかに衝撃的でしたが、どれどれ、と私も聞いてみることに。たしかにかっこいいです。よかった。私ののうみそはまだくさっていないらしい。基本的に映画のサントラなのですが、インスト曲も好みでした。情景が見えてきそうな感じ。弦のアレンジとかも自分たちでやってるみたいですね。もちろん「前前前世」かっこよかったし。何度も繰り返し聞いてしまいました。2コーラス終わった後の間奏のとこもけっこうツボでした。そして、この間聴いた星野源さんに引き続き、モテるヤツの音楽だなぁ・・・と思いましたよ。なんつーか、こんな曲聴かされた日には、10人中9人の女子はころっといってしまうに違いないっていう・・・(何のこっちゃ)。

・・・にしても、映画も見せていないのに、息子はいったいどこでこの曲のことを知ったのか?てっきり学童のお兄さんたちからでも教わったのかと思ってましたが、本人いわく、映画のCMでちょっと流れているのを聞いてかっこいいと思った、とか。うむむ・・・。

ある日の夜。息子に「恋と君の名は。どっちが好き?」と聞かれたので、どっちも好きだよ、と答えると「ぼくもね〜、どっちも好きだけど、君の名は。の方が好き」と言っていました。なるほど、言われてみれば私も同意見かもしれません・・・。

そして、その後も日々、トイレで用を足しながら「前前前世」を熱唱するわが息子。何だか将来が心配になってきました・・・(爆)