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アートネタなど日々のあれこれ

トノバン

2024-09-21 23:54:00 | 映画
恵比寿ガーデンシネマで「トノバン」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

作曲家、プロデューサー、アレンジャーとして時代を先駆けた活動をしてきた音楽家・加藤和彦氏の初のドキュメンタリーです。この映画の制作のきっかけは、監督の相良裕美さんが「音響ハウス」の試写会の時に、高橋幸宏さんに「トノバンって、もう少し評価されても良いのじゃないかな?」と声をかけられたことだったそうです。加藤さんのことなら、と協力を申し出る方も多く、取材は1年で約50人にも及んだとか…多くの方の証言を得てとても見応えのある映画になっていました(以下、ネタバレ気味です)。

映画は加藤氏の生い立ちにさかのぼります…氏は京都で生まれ、高校時代を日本橋で過ごしますが、その頃に早くも輸入盤のレコードを取り寄せ、ギターを始めています。その後、京都の大学に進学し、フォーク・クルセーダーズを結成…メンズクラブにメンバー募集の広告を載せればお洒落なメンツが集まると考えたのだとか。そして、「帰って来たヨッパライ」がラジオで流れたのをきっかけに注目を浴びます。解散後はソロ活動を開始し、「あの素晴らしい愛をもう一度」をリリース。その後、ロックに転じ、妻のミカとサディスティック・ミカ・バンドを結成します。ロキシー・ミュージックなどを手掛けていたクリス・トーマスがプロデューサーとして名乗り出て、イギリスツアーも実現しますが、ミカがクリス・トーマスの元に奔り、離婚してバンドも解散。その後、ふたたびソロ活動でヨーロッパ三部作を発表、さらに映画音楽なども手がけています。1989年にはサディスティック・ミカ・バンドが再結成…「天晴」は私も当時リアルタイムで聴きました。その他にも日本初のPA会社の設立、ファッションブランド設立といった活動もしていましたが、2009年、自らの意志でこの世を去ります。

映画には今やレジェンドの錚々たる人々が登場し、加藤氏について語っていますが、尊敬を通り越し、畏怖の念すら感じます。盟友の北山修氏は、彼みたいな人にあったことはない、彼はミュータントだった、と。高中正義さんは加藤氏を失った悲しみをギターで表現していましたが、本当に胸を衝かれるような音でした。加藤氏が見出したミュージシャン達がJ-POPの礎を築いたと言っても過言ではなく、これだけの仕事を一人の人間が成し遂げたということに空恐ろしさすら感じます。まさにセンスの塊。そして、この映画で一番強く印象に残ったのは50年後、100年後も残る音楽を作る、という言葉でした。映画のラストではきたやまおさむさん、坂崎幸之助さん、高野寛さん、高田漣さん、坂本美雨さんらが「あの素晴らしい愛をもう一度」をレコーディングしています。今聴いても完璧な曲ですよね…この曲がリリースされてから50年を過ぎ…あの言葉が現実になりました…。
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ハーダー・ゼイ・カム

2024-09-20 23:10:42 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「ハーダー・ゼイ・カム」を見てきました(上映は終了しています)。

レゲエのアーティスト、ジミー・クリフが主演・音楽を務めた映画です。この映画はジャマイカ初の商業映画で、レゲエの存在を世界に知らしめることになりました。ジミー・クリフのほか、ザ・メイタルズ、ザ・スティッカーズ、ザ・メロディアンズといったレゲエ・ミュージシャンが参加したサントラは米国議会図書館の国家保存重要録音物登録簿に登録され、米ローリングストーン誌の歴代最高のアルバム500にも選出されています(以下、ネタバレ気味です)。

映画はジャマイカの農村からレゲエ歌手を夢見て大都会のキングストンに出てきた青年アイヴァンが、自作曲「ハーダー・ゼイ・カム」をレコーディングする機会を得たものの、曲は安値で買い取られ、いつしか犯罪に手を染めることとなってしまい…というお話です。映画の後半の方は実在の犯罪者がモデルになっているのだとか。カルトっぽい独特の熱気がある映画でしたね…ジミー・クリフの存在感、そして何といっても音楽が素晴らしかったです。「ハーダー・ゼイ・カム」のレコーディングのシーンも。あるシーンで“Many Rivers to Cross”がかかるのですが、これがまた切なかった…。教会のゴスペルのシーンも迫力がありましたね。音楽劇映画のようですが、ジャマイカの暗部も生々しく描かれていて、この国にしてこの音楽が生まれたのね…というのがひしひしと伝わってきました。

私が行った日は上映後に上田正樹さんのトークイベントがありました。上田さんはもう70歳を過ぎていらっしゃいますが、すらりとした長身で若々しかったですね…。ジミー・クリフと下北の飲み屋で二晩飲み明かしたという思い出話をされていました。とにかく音楽に対する熱量が凄かった、そしてやはり声が素晴らしかったそうです。また、亡くなる少し前のボブ・マーリーに会った時のお話も。暑い時期にもかかわらず毛布にくるまって寒そうにしていたけれど、眼がものすごく綺麗だったとか。レゲエという音楽は、ゆったりした音楽に聴こえるけれど、実は高速で演奏しているというお話もされていました。上田さんは音楽について語り出すともう止まらないという感じで、会場の人々に向かって、何でも聞いて!と何度も呼びかけておられたのが印象的でした。上田さんは1978年にハーダー・ゼイ・カムをカバーされていますが、こちらもかっこいいんですよね…しかもバックはStuff…。
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アンゼルム

2024-09-09 01:18:00 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

こちらも公開を知った時から楽しみにしていた映画です。ヴィム・ヴェンダースが撮ったアンゼルム・キーファーの映画、なんて考えただけでわくわくしてしまいますよね。しかもなんと3D映画らしい…ということで、いそいそと行ってまいりました(以下、ネタバレ気味です)。

この映画はアンゼルム・キーファーの生涯と現在を追っていますが、ドキュメンタリーのような映像詩のような不思議な作品になっています。途中、再現ドラマもありますが、キーファーの青年期をキーファーの息子が、幼少期をヴェンダースの孫甥が演じています。映画は主にフランスのバルジャックにあるキーファーのアトリエで撮影されています。このアトリエが驚くほど広大…3Dで撮影されたのはこのためなのでしょうか。アトリエは作品の所蔵庫や図書館を兼ねており、キーファーはこの中を口笛を吹きながら自転車でスイスイと移動しています。キーファーの壮大な世界観を持つ膨大な作品群はこの壮大なアトリエから生まれたのですね。人間の傷と原罪、救済を圧倒的なスケールで描き出す、まさに不世出のアーティスト…。映画はキーファー自身とその作品の人間離れした様相を過去と現在、現実と幻想を織り交ぜながら、淡々と、そして美しくとらえています。

ところで、キーファーとヴェンダース監督は同じ1945年生まれ、旧知の仲だったそうです。実は映画監督になりたかったキーファーと、実は画家になりたかったヴェンダース。二人が一緒に映画を作ろう、と話したのは90年代のことでした。このお二人も運命の出会いですよね…そして、約30年前の構想が今、実現したということにも何らかの意味があるのかもしれません。

その後、表参道のファーガスマカフリー東京で開催されていたキーファーの個展「opus magnum」も見てきました(展示は既に終了しています)。ガラスケースの作品と水彩画、あわせて20点が展示されていましたが、廃墟をイメージさせるオブジェとは対照的な水彩画の瑞々しさが印象的でした。画家のパレットとともに展示されていた水彩画を見て青木繁の「朝日」を思い出しました…。キーファーの個展は実に26年ぶりだそうですが、そうか、あれから26年も経ってしまったのか…。

さて、例によってアートといえば美味しいもの…ということで、この日はギャラリー近くの「青山シャンウェイ」でランチにしました。日替わり定食をいただきましたが、とりわけ薬膳スープが美味しかったです…体も心も癒されるような、滋味あふれる一品でした。
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ビューティフル・ストレンジ

2024-08-18 23:58:00 | 映画
シネマカリテで「プリンス ビューティフル・ストレンジ」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

とは言っても、見に行ってからだいぶ日が経ってしまいましたが…こちらも公開を知った時から楽しみにしていた映画です。私にとってプリンスは長らく謎の人、神秘の人でした。いったいどんなドキュメンタリーになるのだろう…と。しかも、なんとスガシカオさん×吉岡正晴さんのトークショーも開催されるということで、頑張ってチケットをゲットして行ってまいりました。

会場では拍手につつまれながら、スガさん&吉岡さんが登場…不肖わたくし、スガさんのファン歴四半世紀になりますが、こんなに近い距離でスガさんを拝んだのは初めてです。すごい、石投げれば届きそうな所にスガさんがいる…!(投げないけど)。やはり、オーラが出ていてかっこよかったですね。このトークで映画に関する衝撃の事実が明らかにされます。映画を撮るにあたり、監督はプリンス財団から、映画の冒頭にこの映画は財団とは一切関係がないというクレジットを入れること、プリンスの楽曲は一切使わないこと、という2つの条件を提示されたそうです。この状況でどうやって撮れっちゅうねん…というか、これはほぼほぼ撮ってくれるな、ということなのか?とすら思えてしまいます。スガさんは俺のドキュメンタリーが作られることになったら、絶対に監修する!と発言して会場の皆さんを笑わせていました。スガさん曰く、プリンスはアウトプットしていないと生きていけない人、とのこと。また、トークではこの映画にレニー・クラヴィッツが出ていない理由なども語られていましたね…。

映画が始まると早速例のクレジットが…(以下、ネタバレ気味です)。映画では主にプリンスの原点に焦点が当てられ、プリンスがいかにしてプリンスになっていったか、の過程を丹念に追っていきます。プリンスの少年時代のミネアポリスの状況も明らかにされていました。当時のミネアポリスは90%以上が白人で、深刻な人種差別問題がありました。ミネアポリスの黒人抗議運動の活動家であるスパイク・モスが設立したコミュニティ・センターが「ザ・ウェイ」で、ここでは音楽などのレクリエーションが無料で提供されました。プリンスは12歳の時からザ・ウェイに通い始め、さまざまな楽器の演奏を学んだことが、後にマルチ・ミュージシャンとなる礎となりました。少年の頃から練習の鬼だったプリンスですが、バンド時代は朝の10時から夜の10時までリハーサル、しかも帰宅後も練習、という証言もありました。あんな天才でもそんなに練習するのか…。そして、天才を花開かせる土壌の重要さにも気づかされます。

映画にはプリンスを慕うミュージシャン達も登場します。とりわけチャカ・カーンとの絆が深かったようです。プリンスがスライになりすましてチャカ・カーンを呼び出したという初対面エピソードはほんまかいっ、と思わず心の中で突っ込んでしまいましたが。それにしても、チャカ・カーンの姐さまぶりが本当に素敵…。彼女とプリンスの絆は深かったようですが、やはり越えられない壁があったようです。彼は私たちに愛させてくれなかった、という言葉が哀しく響きます。圧倒的な才能と壮絶な孤独…それが後の悲劇へとつながっていったのでしょうか。

映画を見終わっても結局、プリンスは謎の人のままでした…が、突然変異的な種子を育てた土があったこと、孤独ではあっても孤立はしていなかったことを知ることができたのはよかったのかもしれません。それでもやはり謎は深まるばかり…美しき謎です…。


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opus

2024-05-14 00:05:46 | 映画
Ryuichi Sakamoto | Opusを見てきました。

教授の最初で最後の長編コンサート映画です。1回目はodessaで、2回目はdolby atmosで見ました。Odessaでは重低音の響きが力強く、dolby atmosでは丸く柔らかい音に包みこまれるかのよう…。2回目は教授自身が音響を監修した109プレミアム新宿で見ましたが、極上の音響でした(ちなみに椅子も最高…)。

ピアノを弾く教授の姿をモノクロームの映像でひたすら映し出す、正真正銘のコンサート映画です。この環境で見ることで、教授のピアニストとしての凄さをあらためて実感しました。まるでオケを鳴らすようにピアノを弾く。そして、音が無に帰す瞬間の美しさ…。教授のピアノの音を聴いていると降り注ぐ慈雨に身を浸しているよう…“aqua”では透きとおるような青空が覗き、戦メリでは雪がちらちらと舞いはじめ…。個人の意志や感情の表現というよりは、世界の美しさをピアノで描き出そうとするかのよう…。

1曲だけ、NGテイクを映画にしている曲がありました。ボイシングを試しているうちに収拾つかなくなったという感じでしたが、その試し方が凄い…教授の作曲の過程を垣間見るようでもあり、鳥肌立ちました…。

映像は非常に繊細なモノクローム…そういえば、ピアノってモノクロ―ムの楽器でしたね。時折、教授の微細な表情の変化も映し出します。Tong Pooでは楽しげに、Happy Endでは童心に帰ったように。戦メリの最初は若かりし頃のような表情でしたが、最後の方では何かに別れを告げるかのような顔に…ラストのopusは淡々と…。

見終わった後、しばし放心状態になりました…今さらですが、教授は本当にこの世からいなくなってしまったんだなぁ…と。そして、教授から受けたものの大きさにあらためて思いを馳せました。ありがとう、教授…。
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COUNT ME IN 魂のリズム

2024-05-12 00:11:20 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「COUNT ME IN  魂のリズム」を見てきました(この映画館での上映は終了しています)。

ドラムそしてドラマーにフォーカスを当てたドキュメンタリーです。ありそうでなかった待望のドラム映画、錚々たるドラマー達が登場しています…アイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ポリスのスチュワート・コープラント、レッチリのチャド・スミス、クイーンのロジャー・テイラー…彼らが自身のルーツやドラム愛について熱く語ります。ドラマーではない自分ですら見ているうちに高揚してくるような映画でした…(以下、ネタバレ気味です)。

ドラマーさんが自らを語るのを聞く機会って意外と少ないので、なかなかに新鮮でした。やはり、子どものころからお鍋類を叩いていた人が多かったことが判明。この映画で何より印象深かったのが、ドラマー達が初めてドラムを手に入れた時の狂喜乱舞ぶりです。登場するのはほぼロック・ドラマーですが、ジャズの影響を受けている人がけっこういましたね。ニコ・マクブレインがドラムにハマったきっかけが、ジョー・モレロだったいうのは意外でした…テイク・ファイブに惹かれたらしいです。また、リンゴ・スター、チャーリー・ワッツ、ジョン・ボーナム、キース・ムーン、ジンジャー・ベイカーなどはプロのドラマーにとっても凄いドラマーだということも分かりました。そして、ドラマーが自分の楽器に誇りをもっていることも…ギターソロが止まっても客は大丈夫だけれど、ドラムが止まったら客は足がもつれる、と言ってる人もいました。言われてみれば確かにそうかも…。かと思えば、ライヴ後に倒れたら成功、というパンク・ドラマーも。この映画には、シンディ・ブラックマン・サンタナをはじめ、女性ドラマー達も登場します。差別的な扱いを受けることがあっても、「演奏で黙らせる」彼女たちは凛々しくもかっこよかった…。

「ドラムなしには生きられない」「叩きながら死ぬのが夢だね」…ドラマーさん達のドラム愛の話を聞いていると、こちらまで胸熱になってしまいます。ドラマーって他の楽器の人よりも楽器の愛し方がストレートというか…叩いて音を出す、というドラムの喜びが、人間の本能に近いところにあるせいかもしれません。

そんなわけで、縁の下の力持ちの役割を果たすことが多いドラマーに関する貴重な映画でした。企画してくださった方、GJです。次はぜひ、ベース編とか作ってくれないかなぁ…。
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ライヴ・イン・サンディエゴ

2024-05-11 11:43:12 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「エリック・クラプトン : ライヴ・イン・サンディエゴ」
を見てきました(上映は既に終了しています)。

エリック・クラプトンが2007年にサンディエゴで開催したライヴのドキュメンタリーです(以下、ネタバレします)。このライヴでは、クラプトン、ドイル・ブラムホールⅡ、デレク・トラックスがトリプルギター、さらにクラプトンが「最も影響を受けたアーティスト」と公言するJ.J.ケイルがゲストとして出演しています。デレク・トラックスはこの頃まだ20代ですが、さすがな演奏。ドイル・ブラムホールⅡはしっかり脇を固めます。J.Jケイルはギター仙人のような佇まい…幽玄なギターにのせて渋い歌声を聴かせてくれました。ケイルが作った“After midnight”“Cocaine”をクラプトンと一緒に演奏するシーンは感動ものでしたね…お互いへのリスペクトが伝わってきます。全体的にギターメインのライヴでしたが、最後の方で“Wonderful Tonight”“Layla”“Crossroads”を続けて演奏してくれました。Crossroadsにはロバート・クレイも登場。このバンドはギターもさることながら、リズム隊も素晴らしく…ベースのウィリー・ウィークスの安定感、スティーヴ・ジョーダンのドラムはめっちゃパワフル。豪華メンバーによるこのライヴ、クラプトンファンの間では21世紀最高のクラプトン・ライヴと言われているそうです。

御大から若手まで、4人のギタリスト達が並んで演奏する姿は壮観で、音楽の継承ということも感じました。それにつけてもなぜか思い出すのはJ.Jケイルの不思議な存在感…この6年後にJ.J.ケイルは亡くなり、このライヴは二人の最後の共演になりました…。
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ボンゴマン

2024-05-07 00:21:40 | 映画
シネマカリテで「ボンゴマン」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

ジミー・クリフが1980年に行ったライブ・ツアーを記録したドキュメンタリーです。この映画ではツアーの模様だけでなく、当時のジャマイカの状況など、ジミー・クリフの音楽の背景を知ることができます(以下、ネタバレ気味です)。

映画は「レゲエは心だ」というジミー・クリフの言葉から始まります。ジャマイカの美しい自然。その一方で二大政党が争い、街が炎上する光景。「欲をかくものはすべてを失う」というジミー・クリフのアジテート…。そのような状況の中で始まったライブ・ツアーはジミー・クリフの故郷、サマートンでのフリーライブからスタートしました。このライブはまさに手作り…丘を重機でならし、ステージを一から作るところから始まります。作業をしている人々もどこか楽しげ。ところが、当日になって、スコールのような豪雨が…それでも神の思し召し、と慌てません。結局、ライブは開催され、会場は熱狂の坩堝と化します。ジミー・クリフがボンゴマンと呼ばれ、地元の人から愛されている様子が伝わってきます。そして、ツアーは南アフリカ、ドイツへと続いていきます。ライブでは“Harder they come“や“Many Rivers To Cross“を熱唱する場面、ボブ・マーリーに“No Woman,No Cry“を捧げる場面も。この曲をジミー・クリフが歌うとどこか内省的に響きますね…。ドイツで「ベトナム」を歌う場面では、戦争を止めてくれ…南アフリカで、アフガニスタンで、イランでと叫んでいます。ジミー・クリフは「団結すれば、メッセージは伝わる。レゲエにはその力があるんだ」と力強く語ります。ジミー・クリフは「いたる所戦争だ、俺は平和がほしい」と言っていましたが、音楽家が政治に口を出すなというのは平和な国だからこそ、というのを痛感しました…。

彼らはやはり音楽の次元が違うと思いました…何というか、音楽も信仰も政治も人生も、全てが一体になっている感じです。ラスタの教えというのは本当に強力なのですね…裏を返せば、それだけ抑圧が強力だったということなのでしょう。映画ではマルーンの歴史にも触れられていましたが、まったく状況が違う国で暮らしていると、こういった音楽を根幹から理解するのは正直、難しいのかもしれません…。魂の自由のために歌い続けたジミー・クリフ。レゲエが君のところに届いてほしい、という彼の願いはきっと受け継がれていくのでしょう…。
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モンタレー・ポップ

2024-05-05 12:15:29 | 映画
シネクイントで「モンタレー・ポップ」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

1967年に開催されたモンタレー国際ポップフェスティバルのドキュメンタリーです。傑作でありながら、日本ではこれまで正式に劇場公開されたことがなかったそうです。出演しているのは、音楽史上に残る錚々たるミュージシャン達…ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディング、サイモン&ガーファンクル、ジェファーソン・エアプレイン、ジ・アニマルズ、ザ・フー、ママス&パパス、ラヴィ・シャンカール…(以下、ネタバレします)。

ジャニス・ジョップリンは全身全霊の凄まじいパフォーマンスで観客を騒然とさせます。まさに魂の叫び…これにはママ・キャスも茫然…。オーティス・レディングは25歳とは思えない貫禄のパフォーマンスで観客を圧倒。ザ・フーのピート・タウンゼントはギターをぶんぶん振り回し破壊、キース・ムーンはドラムを蹴り倒し破壊…。ジミヘンに至っては、あろうことかギターにオイルをかけて火を放ち…伝説のシーンとなりました。もちろんパフォーマンスの方も凄まじいです…例の背面弾きも。この激しいメンツの中にあって、サイモン&ガーファンクルやママス&パパスの音楽に心底、癒されます。大トリはラヴィ・シャンカール。超絶技巧による長尺のパフォーマンスは極上のトリップ感をもたらします…。

綺羅星のようなミュージシャン達のなかでも、とりわけ圧巻のパフォーマンスを見せてくれたジャニス・ジョプリン、ジミヘン(ともに当時24歳)、オーティス・レディング(当時25歳)。しかし、このフェスの半年後にオーティスが、3年後にジャニスとジミヘンが亡くなります…。まさに一期一会、奇跡の集い…こんな夢のような時代があったのですね…。
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WAR AND PEACE

2024-05-02 23:18:06 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「坂本龍一 WAR AND PEACE  教授が遺した言葉たち」を見てきました(上映は既に終了しています)。

この映画はTBSドキュメンタリー映画祭2024で上映されました。映画では教授が社会発信を強めていく過程をTBSに残る秘蔵映像で追っています(以下、ネタバレします)。

教授は新宿高校時代に学生運動の経験があったようですが、90年代くらいまでは表立って社会的な活動をすることはなかったと思います。教授は2000年にTBSの企画でモザンビークの地雷除去の現場に行き、その体験から「ZERO LANDMINE」をリリース、収益を地雷除去の費用にあてることになりました。このCD、当時買いましたね…。映画では教授が現地の人に「人はなぜ、戦争をするのだと思いますか?」と問いかけるシーンも。2001年の同時多発テロなどを受けて「WAR & PEACE」を作曲。このプロジェクトでは日本各地から「戦争をどう思うか」というアンケートを募集していますが、その答えに真剣に反応している教授の姿が印象的でした。そして、教授には戦争している人々が美しい音楽を聴いて、戦争を思いとどまってくれれば…という思いがあったようです。2011年には東日本大震災で被害を受けた現地を訪問、後に東北ユースオーケストラを設立しています。

音楽家は政治に口出しすべきではないという意見もありますが、この映画からは、教授がやむにやまれずに活動した、ということが伝わってきます。今ここで声をあげなければ…そして、届く言葉を探さなければ、と。教授は元々音楽の政治利用を好まない人でした。音楽家が政治に口出ししないですむような世の中になれば…それが教授の本当の願いだったのだろうと思います。

音楽家はなぜ、社会発信を強めていったのか…以前は音楽の世界で功成り名遂げた人が、今度は社会に向けて活動を始めたと思っていましたが、この映画を見て、2000年頃から世界自体が変容を始めたということなのでは、と思いはじめました。音楽家は炭鉱のカナリアのようなもの…という言葉をどこかで読んだ記憶があるのですが、そういうことなのかもしれません。音楽を楽しむにはやはり平和が必要…そう思えば、教授の行動は腑に落ちます。教授が東北ユースオーケストラのメンバーに言い遺した「毎日毎日音楽を楽しむことを忘れないでください」という言葉が、すべてを物語っているのかも…。

全体的にシリアスな映画でしたが、ほっこりする場面もありました。教授がアフリカで研究をしている環境学者(美人!)に会いに行くシーンです。教授がアフリカの象に戦メリを聴かせると、なんと象が足を止めて聴き入っているのです。それこそ映画のようなファンタジックな光景でした。象さんも戦メリ好きなんですね…。
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瞳をとじて/遺言 奇妙な戦争

2024-04-30 00:18:01 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「瞳をとじて」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

ビクトル・エリセ監督のなんと31年ぶりの新作です。エリセ監督の作品はすべて見ていましたが(もっともそれまで3作しか発表していませんでしたが)、まさか今になって新作が発表されるとは…と、驚きつつもいそいそと行ってまいりました(以下、ネタバレ気味です)。

と言っても、この作品はネタバレ厳禁と思われるので、あまり詳しいことは書けませんが…映画監督のミゲルが、かつて映画の撮影中に突然失踪した主演俳優であり親友でもあったフリオを探す旅に出る…というお話ですが、ミステリー的な要素もあって、169分という長さを感じさせなかったです。「ミツバチのささやき」で5歳にして主役を務めたアナ・トレントも50年ぶり(!)に登場。あの可愛らしかったお嬢ちゃんが素敵な大人の女性に…というのもなんだか嬉しかったです。

長尺の作品ですが、映画時間、とでも言いたくなるような不思議な時間が流れていて、たゆたうように身をゆだねていると、ひさびさに映画らしい映画を見たなぁ…という気すらしてきます。まなざし、という言葉が何度となく出てきますが、映画とはまなざしの芸術とも言えるのかもしれません。そして、人は誰もが誰かのまなざしの中で生きています…。また、生きること、老いることについての映画でもありました。老いることについて「希望も恐れも、抱かないことだ」というセリフもありましたね…。

おそらく観る人によって賛否が分かれる作品かと思います。根底にあるのは、映画の力を信じるかということ…そういう意味ではニュー・シネマ・パラダイスに近いものがあるかもしれません。一方で、カール・ドライヤーの映画以降、映画に奇跡はなくなったというセリフも。いずれにしても、答えは観る者にゆだねられているのかもしれません…。

この日は同じ映画館でゴダールの「遺言 奇妙な戦争」を続けて見ました。文字通り、ゴダールの遺作です。映画というか、コラージュ作品のようですが、刺激的な絵、写真、映像、音、言葉のシャワー。かと思うと、突然、ぶつ切りで終わります。人生の終わりのように…。

ビクトル・エリセとジャン・リュック・ゴダール。かたや169分、かたや20分。手法から何から対照的な作品ですが、いずれも映画とは何なのか?を突きつけられる作品でした。なかなかに得難い映像体験でした…。
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オスカー・ピーターソン black+white

2024-04-18 00:43:20 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷で「オスカー・ピーターソンblack+white」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

ジャズピアノの巨匠、オスカー・ピーターソンのドキュメンタリーです。ジャズピアノの大御所中の大御所の姿をついに映画で見られる日が来たのか…と、いそいそと行ってまいりました。ちなみにオスカー・ピーターソン、来年で生誕100周年なのだそうです(以下、ネタバレします)。

この映画ではオスカー・ピーターソンの生い立ちから亡くなるまでを本人や家族の言葉で追って行きます。彼の音楽の影響を受けたミュージシャンも多数登場…ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、ラムゼイ・ルイス、ハービー・ハンコック…ビリー・ジョエルは「この人は聴かないとダメだ」とまで語っています。

カナダ・モントリオール出身のオスカー・ピーターソンがピアノを始めたのは父親が彼に「ピアノを弾かせると決めていた」からでした。若い頃からテクニシャンだった彼ですが、アート・テイタムを初めて聴いた時は、ショックのあまり2か月ピアノを弾けなくなり、毎晩泣いていたのだとか…テイタムが盲目と知ってとどめを刺されたと言っていましたね。しかし、気を取り直してピアノを再開し、カナダで活躍していた彼に、ジャズの名門レーベル、ヴァーヴの創設者のノーマン・グランツが目をつけます。彼の招きにより、カーネギーホールで華々しくアメリカ・デビュー、その後も順調にキャリアを築きます。とりわけ、ベースのレイ・ブラウン、ギターのハーブ・エリスと組んだトリオが素晴らしいものでした。

世界じゅうで活躍することになるオスカー・ピーターソンですが、彼にも黒人差別は無縁ではありませんでした。彼が差別を受けた時に身を呈してかばったのは白人のノーマン・グランツでした。銃口を突きつけられても一歩もひるまない彼に警官は「黒人よりタチが悪い」と言い残してその場を立ち去ったとか。ノーマン・グランツ、男前です。そして、オスカー・ピーターソンは公民権運動に触発された「自由への賛歌」を作曲しています。一方、ツアー続きの日々に寂しさを感じていたようで、最高の演奏をしてホテルに帰って来ても四方を白い壁に囲まれているだけ…というようなことを、あの巨体をかがめて切なそうに語っていましたね。私生活では3度の離婚、4度目の結婚で幸せになったかと思いきや、68歳の時に脳梗塞で倒れます。後遺症で左手が以前のようには動かなくなっても、奇跡のカムバックを果たしますが、82歳で死去…。

ジャズピアノを学ぶ人ならばおそらく一度は通ると思われるオスカー・ピーターソン。超絶技巧もさることながら、徹底的に陽を貫いたピアノ…聴く者をハッピーにする音楽の底にある強靭なものを見たような思いがしました。あの世でも「起きたらピアノ、寝てもピアノ」な日々を送っているのでしょうか…。
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君たちはどう生きるか

2024-01-09 00:05:03 | 映画
TOHOシネマズ渋谷で「君たちはどう生きるか」を見てきました。

宮﨑駿監督の10年ぶりの監督作品です。不肖わたくし、ジブリ作品を映画館で見るのはかなり久しぶりなのですが、ふと、思い立って行ってきました。子どもたちを連れて行こうかとも思ったのですが、なんとなく一人で…。一切情報を明かさない、宣伝も行わないという異例な状況で公開されたこの作品、見た方の間ではかなり賛否両論あるようなのですが、いったいどんな作品なのか…。

太平洋戦争で母を失った少年が、父の再婚後、姿を消した継母を探すうちに異界にさ迷いこみ…というストーリーです。が、設定が入れ子構造になっているので、難解というイメージを与えるのかもしれません。自分はひたすら映像と音楽の美しさを堪能しました。どちらも非常に美しく、瑞々しい。宮崎監督も久石譲氏もそれなりのご年齢のはずですが、まったくそういうことを感じさせません。むしろ、お二人が本当にやりたかったのはこういうことなのでは、という気すらしてきます。映像の、とりわけ空と海の美しさ。そぎ落とされた音も美しく響きます。一方、世界で最も怖いのは「悪意」ということも知らしめます。死を起点に生と世界を極上の映像と音で伝えるこの作品は監督が次世代へ向けたメッセージかもしれず…。

ところで、この作品、タイトルは吉野源三郎作「君たちはどう生きるか」からとられていますが、原作とはなっていないようです。せっかくだから、小説の方も読んでみようか…と買ってみたら、裏表紙にこんな言葉が書いてありました。

「君自身が心から感じたことや、しみじみと心を動かされたことと、くれぐれも大切にしなくてはならない」
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春の画

2024-01-07 00:37:11 | 映画
シネスイッチ銀座で「春の画」を見てきました。

春の画…つまりは春画の魅力に迫ったドキュメンタリーです。江戸時代には葛飾北斎、喜多川歌麿、鳥居清長、鈴木春信といった名だたる浮世絵師たちが春画を手がけ、極上の作品を生み出しました。しかし、明治になると、春画はわいせつ物として取り締まりの対象となり、姿を消すことに…。そして、長い時を経て、2015年に永青文庫で日本初の春画展が開催され…私も見に行きました…が、その後、春画を眼にする機会はほとんどなく…。この映画では長く秘されてきた春画の美と神秘の謎に迫ります(以下、ネタバレ気味です)。

この映画では春画の一級品が数多く登場…歌麿の「歌まくら」、鳥居清長の「袖の巻」、鈴木春信の「風流艶色真似ゑもん」、北斎の「喜能会之故真通(蛸と海女)」、歌川国貞の「正写相生源氏」などなど…一生分の春画を見たような気すらしました。しかも無修正&大画面で。春画の復刻プロジェクトも紹介されていて、キワモノかと思われた春画が、実は絵師のみならず彫師・刷師の技術の粋が集約されたものだったことがわかります。とりわけ、陰影表現ならぬ陰毛表現の技術が凄い。作品の一部はアニメーション化されていて、声優さんの迫真の演技も相まってけっこう生々しかったですね。春画と一口にいっても、耽美なもの、笑えるもの、グロいもの、怖い絵、などなど実にバリエーションが豊富。このアイデアはいったいどこから湧いてくるのだろう…と思ってしまいますが、やはり人間存在の根本に関わるテーマなので、創り手の飽くなき探求心をそそるのやもしれません。そんなわけで、エロスとアートの狭間にある春画の魅力をお腹いっぱい堪能…。

ちなみに、この映画は監督もプロデューサーも女性の方です。そして、朝吹真理子さん、春画―ルさん、橋本麻里さん、ヴィヴィアン佐藤さん、横尾忠則氏、会田誠氏、木村了子さんなどが登場し、春画の魅力を語っています。音楽は原摩利彦さん。洗練された雅な感覚がこの映画の世界観にマッチしていました。

映画を見た後、隣のギャラリーアートハウスで開催されていた「銀座の小さな春画展」にも行ってきました(展覧会は既に終了しています)。北斎の海女と蛸の絵も出ていましたよ…たしかに映画を見てから実物を見ると、違って見えてくるような気がしますよね。それにしても、江戸時代から数百年を経た銀座のど真ん中で、人々がひっそりと春画に見入っている図というのもなかなかに乙でした。
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ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク

2023-12-16 00:48:22 | 映画
ヒューマントラストシネマ渋谷「キャロル・キング ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク」を見てきました(上映は既に終了しています)。

1973年にセントラルパークで開催された、キャロル・キングの無料コンサートのドキュメンタリーです。「つづれおり」がヒットし、世界的に人気だった彼女の凱旋コンサートとあって、観客は推定10万人以上だったとか…。コンサートの前は暴風雨だったのですが、それも止み…この時点でなんだか奇跡が起きそうな予感がします。(以下ネタバレします)

コンサート会場にはラフな格好のキャロル・キング、そして見渡す限りの人、人、人…まさに人の海です。コンサートは2部構成になっていました。1部は弾き語り、2部はバンドでの演奏です。弾き語りは「つづれおり」の曲が中心でした。これだけの人を前にしながら、キャロル・キングは終始リラックスした様子で、ガシガシとピアノを弾きながら、ニコニコと歌っています。今さらですが、けっこう強いタッチで弾いてたんですね…しかも、ピアノはほとんど見ていません。基本的にポジティブな歌詞の曲が多いなかで、“Smackwater Jack”のブラックぶり、 “It’s too late”のやるせなさにドキリとさせられます。2部はバンドでの演奏でしたが、メンツがめっちゃ豪華でした。ギターがデヴィッド・T・ウォーカー、ドラムがハーヴィー・メイソン、サックスがトム・スコット…。当時、発売を間近に控えていた「ファンタジー」の曲が中心でした。凄腕のメンツをバックにアグレッシブなパフォーマンスを披露するキャロル・キング。キャロル・キングというと内省的なイメージがあるのですが、こういうグルーヴィーなプレイもする人だったんですね。曲も力強く、意欲作だったことが伺えます。とりわけ“Corazón”がかっこよかった…。そして、コンサートは名曲中の名曲“You’ve Got A Friend”で幕を閉じます。

幕開けからして本当に奇跡のようなライブ…キャロル・キングがキラッキラしていました。それにしても、声ってギフトですよね…彼女の声を聴いているといろんなことがもう大丈夫、と思えてくるから不思議です。そして、思い思いの恰好をしながら(中にはPA用の櫓によじ登っちゃう人も!)聴き入る人々…50年前のNYの幸せな光景です。

帰りはミヤシタパークの中にある「青山シャンウェイ」でランチにしました。「孤独のグルメ」で紹介されていたお店だそうですが、かなり現地っぽい店構え。名物の一つの「蒸し鶏の葱醤油」をいただいたのですが、これが絶品でした。鳥料理はあまり得意ではないのですが、もうお箸がとまらなくなってしまい…さすがでございました。
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