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アートネタなど日々のあれこれ

細野観光

2019-10-22 08:30:25 | 音楽
東京シティビューで開催されていた「細野観光1969-2019」を見てきました。

細野観光・・・って、どこかの旅行会社みたいですが、こちらは細野さんのデビュー50周年記念展です。デビュー50周年、御年72歳(!)でいまだ現役って凄すぎの凄すぎです。不肖わたくし、小生意気な女子高生時代はYMO関係者の作品にどっぶり浸かっておりましたので、当時を思い出しながら懐かしく見てきました。かなり充実した展示だったので思いのほか長居してしまいましたが、細野さんの頭の中の不思議な世界を観光するような、とても楽しい時間でした。

展覧会は細野さんの巨大なビジュアル年表をベースに、子供時代の写真やら漫画!から、所蔵楽器、蔵書やノートに至るまで幅広く展示しています。ところどころでライヴ映像も流れています。細野さんの音楽活動については5期に分けて紹介されていましたが、とても一人の人間の所業とは思えないほど多岐にわたっています。まさに音楽王というか、J-pop界のバッハ(?)みたいなお方です。細野さんの珠玉の金言の数々も紹介されていました。その中でもとりわけ私のツボにはまったのが、「練習すれば間違える、計画すれば失敗する、(中略)、生きていれば死んでいく」というお言葉でした(爆)。音声ガイドは有料ですが、これはお値段以上の価値がありました。細野さんご自身と、関係の深いゲストの話で構成されていますが、ゲストが細野さんへの思いの丈を語るのを聞いていると、じーんときてしまいます。とりわけ星野源さんの話なんて泣けてきそうでした。あらためて細野さんの偉大さを思い知りました。まだまだお元気で活動を続けていただきたいものです・・・。来月には細野さんのドキュメンタリー映画も公開されるみたいで、そちらも楽しみです。

さて、この後は麻布十番までぶらりとお散歩。小腹が空いていたので「しろいくろ」で黒豆塩大福を購入しました。小ぶりの大福ですが、柔らかい餅と餡に黒豆、塩味のコンビネーションが絶品で、美味しゅうございました。ロールケーキやアイス、ガトーショコラもおいしそうだったので、今度食べてみたいな・・・。
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バスキア made in Japan

2019-10-21 21:50:48 | 美術
森アーツセンターギャラリーで「バスキア展 made in Japan」を見てきました。

こちらも開催を知ったときから楽しみにしていた展覧会です。バスキアの本格的な展覧会って日本初だったんですね。しかも、某社の社長さんがとんでもない額で購入したという例の作品もでるというし・・・。

日曜の朝一で行ったのですが、そこそこ混みあっていました。外人さんも多く見受けられましたね。これから行かれる方は事前に入場券を買ってからの方がよいかも・・・。今回、無料で借りられるイヤホンガイドがありましたが、こちらはお勧めです。説明が長すぎず、コンパクトにまとまっています。そして、実にエネルギッシュかつスタイリッシュな作品の数々。一見、描きなぐっているかのように見えますが、実は緻密に計算されていたようです。一部、他の作品にくらべてややシンプル?な作品があったと思ったら、何と彼が幼児の時に描いたものでした。んげ。どの作品も魅力的なのですが、やはり某社長さん所有の“Untitled,1982”に尽きると思いました。これを手に入れるためだったら、ぼん、と大枚はたいてしまいたい衝動に駆られるというのもなんだか分かります。もちろん、持ってれば、ですけど・・・。某社長さんは元はバンドマンだったそうですが、バスキアの作品って、たしかに音楽好きに受けそうな作品だと思います(クラシックファンにはあんまり受けないかも)。この展覧会のサブタイトルは“made in Japan”ですが、日本がらみの作品もいくつかありました。バスキアが活躍していたのはちょうど日本がバブルの絶頂期へと向かう時期で、それを皮肉ったような作品も。日本の折り紙がとりわけお気に入りだったようです。一方、ウォーホルとの共作もありました。彼にとってウォーホルはずっと憧れの人でした。そのウォーホルが亡くなった後、ほどなくして後を追うかのように亡くなります。死因は例によってオーバードースでした。享年27歳。個人的には彼の作風といい、生きざまといい、現代アート界のジミヘンみたいだと思ってしまうのですが、奇しくも二人とも27年の人生でした・・・。
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時の結晶

2019-10-19 23:52:28 | 美術
国立新美術館で「カルティエ 時の結晶」を見てきました。

不肖わたくし、相変わらずハイジュエリーとはまったく無縁の人生を送っておりますが、やはり見るのは大好き(笑)。こちらの展覧会も混む前に、といそいそ行ってまいりました。

ところで、この展覧会は会場構成を新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)が担当していて、独特の展示空間が生まれています。アトラクションのようでもありますが・・・とにかく、展示空間が暗い!そのため、作品の神秘性が際立ちます。ただ、もう少々明るくてもよかったかも・・・段差はなくとも勾配はあるので、つまづいてる人もいました。とはいえ、作品以外の視覚情報が遮断されることで、時の流れを意識できる空間になっています。そういえば、カルティエといえば時計、ですものね・・・。

イントロダクションは、杉本博司氏の手による「逆行時計」。大きな時計が逆に時を刻みます。序章の「時の間」には、たくさんのミステリークロック、プリズムクロックが。ミステリークロックとはムーヴメントが台座や装飾彫刻に隠されているため、二本の針が宙に浮かんでいるように見える時計です。時計の台座は白いヴェールで囲まれて、神秘的な趣。展覧会は「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」の3章構成になっています。章の変わり目は、作品とどこかつながるような日本美術とセットで展示されていて、その組み合わせには意表を衝かれます。須田悦弘氏の作品とのコラボもありました。作品はどれもこれも華やかかつ煌びやか、数も多くて、とても個々の作品には触れられそうにありません。一生分のハイジュエリーを堪能したかも、と思えるくらいの充実した展示でした。闇の中で時を超えた輝きに包まれた時間は、今思い出してもまるで夢のようです。

さて、例によって鑑賞後にはランチということで、美術館の地下にある「カフェテリア・カレ」に行ってきました。時間がない時にはここは重宝します。ハッシュドビーフを頼みましたが、カフェテリアと侮るなかれ、という感じのお味。素材の味がルーにしみこんでいて美味しゅうございました。
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天才たちの頭の中

2019-10-15 23:09:19 | 映画
新宿武蔵野館で「天才たちの頭の中」を見てきました。

天才・・・今も昔もなんだか蠱惑的な響きがあります。その頭の中はいったいどういうことになってるのか気になりますよね。ということで公開早々、行ってまいりました(以下、ネタバレします)。

邦題は「天才たちの頭の中」となっていますが、原題は“Why are you creative?”この質問をひたすら投げかけていく、という極めてシンプルな映画なのですが、出てくるメンツが凄い。何でも取材でアタックしたのは1000人以上だそうですが、いや、よくこれだけの大物たちから回答を引き出したな・・・と眩暈がしそうです。ざっとあげるだけでも、

〇音楽関係 デヴィッド・ボウイ、ビョーク、ボノ(U2)
〇アート関係 マリーナ・アブラモヴィッチ、ジェフ・クーンズ、オノ・ヨーコ、荒木経惟、アイ・ウェイ・ウェイ
〇映画関係 タランティーノ、アンジェリーナ・ジョリー、ジム・ジャームッシュ、北野武
〇服飾関係 ヴィヴィアン・ウエストウッド、山本耀司
〇学術関係 スラヴォイ・ジジェク、ウンベルト・エーコ、ホーキング博士
〇政治関係 ゴルバチョフ、ジョージ・ブッシュ
〇宗教関係 ダライ・ラマ14世!

その他にもたくさんの人々が登場します。監督さんがわりと人を警戒させないキャラっぽくて、皆さん率直に語っている印象です。ピックアップされている方たちの活動の内容はさまざまですが、同じ人間が語っているのか?と一瞬、錯覚してしまうくらいに共通項が多くありました。結局、「生まれつきこうだった」「これ以外に生きられない」というところに集約されてしまうのですが、その根底には依存症に近い切実さ、存在に対する不安が時に見え隠れします。また、考え方が既成概念や固定概念に縛られないところが特徴のようです。

面白いエピソードもいろいろありました。アブラモヴィッチが実母に灰皿をぶん投げられた話とか。あのエキセントリックなパフォーマンスはこの母にして生まれたものなのかもしれません。ビョークのおじいちゃんの暖炉の話もなごみました。デヴィッド・ボウイはもう存在そのものがかっこいい!語る言葉がそのまま歌詞になりそうです。そのボウイがチベット仏教の若い僧からの影響について語ると、インタビューはダライ・ラマにふっ飛び、高僧にいや、生きてれば頭って動くし、みたいなことを言われて訳が分からなくなると、今度は最高の知性に聞いてみよう、ということで、突然ホーキング博士のところに飛んでいくというハチャメチャぶり。アラーキーのインタビューもヤバかったし、例の質問に対するアイ・ウェイ・ウェイのリアクションも絶妙でした。巨乳について熱く語る女優と映画監督の組み合わせも笑えたし。そんななかで、一人だけ自分はクリエイティブではない、と語った人がいましたが、その人の話は含蓄に富んだものでした。クリエイティブな人に例の質問をすることは致死傷になることもある、と指摘した人もいて、何だか胸を衝かれる思いでした。

そんなわけで、絵に描いたような盆栽、じゃなくて凡才のわたくしにとっては非常に刺激的な映画でした。こういう方々の話を聞いているだけで、曇天に風穴が空いて、不思議な光が射してくるような心地がしますよね。たぶん映画にはなっていない面白い話ももっとたくさんあったのだろうな。いつかインタビューをまとめて一冊の本にでもしてくれたらいいのに、とそんな埒もないことを考えたのでした。
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ブルーノート・レコード

2019-10-12 22:24:45 | 映画
ル・シネマで「ブルーノート・レコード ジャズを超えて」を見てきました。

言わずと知れたジャズレーベル、ブルーノート・レコードの創立80周年記念の映画です。ブルーノートの音楽はけっこう聴いてきましたが、今年で80年だったのですね。このレーベルの偉大さをあらためて知る機会となりました。(以下、ネタバレ気味です)。

ブルーノート・レコードは1939年、ナチス統治下のドイツからアメリカに移住してきた二人の青年―アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ―によって設立されました。ライオンとウルフってなんだか冗談のような組み合わせですが・・・。今さらですが、ブルーノートを設立したのってドイツ人だったのですね。黒人ジャズを代表するブルーノート、白人ジャズを代表するECMがともにドイツ人によって設立されたというのにも何か因果めいたものを感じます。それにしても、この二人が本当に素晴らしい。音楽にさほど詳しいというわけではないのですが、音楽を心から愛していて、いいものを聴きわける耳は持っている。そしてミュージシャンのやることには口を出さない。理想的です。アルフレッド・ライオンはミュージシャンと家族ぐるみの付き合いもしていたようです。フランシス・ウルフはミュージシャンの写真を撮ることにも長けていて、有名なジャケットにも彼の手によるものがありました。モダン・ジャズの歴史は半ば彼ら二人によってつくられたといっても過言ではないほどの大きな貢献をしています。

ブルーノート・レコードの特徴は「自由と革新」でしょうか。それは伝統を踏まえたものでもあります。そして、常にアーティスティックな高みを目指す戦いがありました。しかし、経営的には苦しい状況が長く続きます。そんななか、思わぬヒットが生まれます。リー・モーガンの「サイドワインダー」です。しかし皮肉なことに、それが結果的にはブルーノートを苦境に追いやることになります。後に大手レーベルの傘下に入りますが、最後は二人ともレーベルからは手を引くことになりました。

ここで、ブルーノートは終わった・・・かと思われましたが、その後、意外な形で復活することになりました。ヒップホップによる再生です。ジャズとヒップホップ、一見、接点なさそうですが、実はどちらもブルースと言えばブルース、黒人による戦いの音楽といえるのかもしれません。そしてブルーノートの歴史は今に至ります。

現社長のドン・ウォズは「ブルーノートが契約したアーティストたちが10年ごとに音楽の世界を転換させている」と言っていました。長年にわたり世界の音楽の潮流に影響を与えたレーベルの根底にあったスピリッツ・・・それを思い知った映画でした。
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見える自然/見えない自然

2019-10-11 21:14:30 | 美術
ワタリウム美術館で「ロイス・ワインバーガー展 見える自然/見えない自然」を見てきました。

この展覧会はロイス・ワインバーガーの作品を通して「見えない自然」を知り、考え、持ち帰ってもらうという展覧会です。「見えない自然」とは、元来の自然が持つ力そのものを指しているのだとか・・・。

ロイス・ワインバーガーはオーストリア出身のアーティスト。農家に生まれ、鉄骨工をしていましたが、30歳頃からアーティストに転身しました。ドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレにも作品を出品したこともあります。一貫して自然にかかわる活動を続けていたようですが、この展覧会ではドローイング、オブジェ、映像など幅広く展示されていました。

ロイス・ワインバーガーの活動ではドクメンタに出展されていた、線路に植物を植えて庭にする作品が有名かと思いますが、全体的にアニミズム、あるいはシャーマニズムのような趣を感じる展覧会でした。「ポータブル・ガーデン」はショッピングバッグに土を詰め、別の場所に運ぶという作品。容器はいつか風化し、植物は新しい土と一体化するのだとか。「モバイル・ランドスケープ」はキャスター付の箱庭?のような作品。持ち運び可能な自然ですね。メインビジュアルになっている「無題」は、ウサギのような形をしたサボテン。自然の造形の妙を感じさせられます。「ビーバーの彫刻」もかわいい。「ホームブードゥー」は家の庭でブードゥー人形に見立てた雪だるまに聖水をかけたりといったパフォーマンスの映像です。これを見ていたら、なぜかむかし読んだエリアーデの本のことを思い出していました。「グリーンマン」は顔にグリーンのペイントを施しています。これは植物/人間といった区別を必要としない生命のパワーを表すのだとか。ケルト神話のアニミズムにも関係があるようです。

展覧会を見て、ここ数年、東京で自然とは無縁に近い生活を送っていたな・・・ということをあらためて思い出しました。草の匂いも、土の匂いも忘れかけていました。人間って自然から生まれて最後は自然に還っていくものなのに・・・。「目に見える自然」から遠ざかることが、いつの間にか「目に見えない自然」からも離れることになっていたのかもしれません。展覧会ではロイスバーガーの言葉や作品をまとめた小冊子ももらえるのですが、その中にこんな言葉がありました。目に見えない自然とは、内在する活力、精神の自然。
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アルツハイマーと僕

2019-10-10 23:33:19 | 映画
シネマカリテで「アルツハイマーと僕」を見てきました。

不肖わたくし、カントリーは聴かないので、グレン・キャンベルのことはまったく知りませんでした。ですが認知症と音楽というテーマには興味があり、行ってきました。矢野顕子さんの素敵なコメントもあったことだし・・・地味なテーマかもしれないけれど、本当にいいものを見たな、と思える映画でした(以下、ネタバレします)。

さて、グレン・キャンベルですが・・・50年近いキャリアにグラミー賞6回という、錚々たる経歴の持ち主です。ビーチ・ボーイズのペット・サウンズにも参加していたのですね。この映画は彼がアルツハイマーを宣告されるところから始まります。日付も家族の顔も分からなくなってしまったのに、なんと「さよならツアー」を敢行することに。そのツアーの一部始終をたどります。

家族の顔は忘れても、ギターの腕は衰えていない・・・手続き記憶は比較的失われにくいというのは本当なのですね。しかし、歌詞はプロンプター頼りのようです。彼のことを家族は献身的に支えます。とりわけ奥さん(4番目!)が素晴らしい。川島なお美さんに似た感じの美人なのですが、時には涙しながらも明るく前向きに夫を支えます。娘さんはバンドの一員でもあるのですが、可愛らしくて歌も上手。ステージ上で健気に父をフォローしていました。

最初のうちは何とか順調に行きそうに思えたツアーでしたが、徐々にアルツハイマーが進行し、できないことが増えてきました。日常生活レベルでもホテルの中で迷子になったり、トイレではないところで排尿したり。ステージ上でも立ち往生することが増えてきました。それでもファンは温かく見守ります。しかし、もはやコンサートにはならないところまできて、家族がくだした決断は・・・。

この映画には多くのミュージシャンも登場します。U2のジ・エッジ、レッチリのチャド・スミス。グラミーの特別功労賞受賞の舞台裏でポール・マッカートニーが愛している、といってハグする場面も。ミュージシャンじゃないけどクリントン元大統領まで登場。グレン・キャンベルが国民的歌手であり、ミュージシャンズミュージシャンのような存在でもあったということがよくわかります。なかには認知症の身内のことを話す人もいました。もはや誰にとってもひとごとではない問題なのかもしれません。

この映画を見て思うところはいろいろあったのですが、とりわけグレン・キャンベルが、自分がステージ上で何をしているのか分からない状態になっても、最後までいい歌を歌い、ギターを弾けていたという事実になんだか泣けてきそうでした。記憶がほとんど失われても音楽は最後まで友達。そう思うと自分も細々とでも音楽はずっと続けていこうと思いました。グレン・キャンベルは天国でも楽しく音楽しているかな・・・。
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ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ

2019-10-04 21:40:31 | 映画
シネマカリテで「ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ~ナウ・モア・ザン・エヴァー」を見てきました。

シカゴは好きなバンドです。むかしよく聴いてましたよ・・・とりわけ「サタデイ・イン・ザ・パーク」が大好きでした。というわけで、公開早々に行ってきました。シカゴというと何となく健全かつ結束の固いバンド、というイメージがあったのですが、いやはや、いろいろあったのですね・・・(以下、ネタバレします)。

映画は現在も活動しているオリジナルメンバーへのインタビューを中心に、シカゴ50年の歴史を辿ります。特定のフロントマンがいない、民主的なバンド運営をしていたということが、バンド最大の特徴ですが、事実上、テリー・キャスが表の看板、ロバート・ラムが裏のリーダーだったようです。とりわけテリー・キャスの存在が大きかったということがよくわかりました。何でも、ジミヘンをして、「俺よりうまい」と言わしめたとか。リードギターもリズムギターも歌もこなす。彼が不慮の死を遂げた時にシカゴは一度、終わったのかとすら思えるくらいです。ロバート・ラムは今でもバンドの支柱のよう。「長い夜」が生まれた時の逸話とかも面白かったです。あと、後期の復活に関わったプロデューサーのデヴィッド・フォスターも出てました。いかにもザ・プロデューサーという感じです。なんかちょっとフィル・スペクターにも似た雰囲気でしたが、あそこまでではないかな。途中脱退したピーター・セテラは取材拒否でした。私の中でシカゴといえば彼の声のイメージだったので、ちょっと残念・・・。

活動歴の長いバンドだけあって、いわゆるバンドあるあるを一通り、それも深刻な形で経験したようです。スタートは順調でしたが、人気低迷に苦しんだ時期もありました。健全なイメージがありましたが、実際はドラッグまみれの時期もあったのですね。メンバーの交代劇の裏面も。そして、メンバーの死、マネージャーの裏切り・・・。学生時代の仲良しバンドが長続きするのがそもそも難しいだろうに、これだけのことが起こっても一線級のバンドとして継続してきたというのはやはり驚異的です。そして、あるメンバーが自分たちが生き残った理由を「カメであったこと」と語っていました。カ、カメか・・・。ジミヘンのようにあっという間に駆け抜けたミュージシャンもいれば、こうして息長い活動を続けているバンドもある。とかく高速ウサギに注目が集まる世界ではあるけれど、カメであることも大事だったのだなぁ・・・と、思わぬ教えを得た映画でした。
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記憶にございません!

2019-10-02 21:14:32 | 映画
TOHOシネマズ渋谷で「記憶にございません!」を見てきました。

私は三谷さんのファンなので、この映画も公開を知った時から楽しみにしてきました。前作「ギャラクシー街道」からはや4年・・・あれはかなり賛否両論な作品でしたが、今作はいったいどんなことになるのでしょう・・・。

まだ公開されて間もないので、なるべくネタバレにはならないようにしようとは思いますが・・・。記憶にございません!って、どこかで聞いたようなフレーズですが、この映画は史上最低(2.3%!)の支持率をたたき出した総理大臣(中井貴一)が、国民に投げられた石が頭に当たって文字通り記憶喪失になり・・・というお話です。安心安定の三谷ブランド、という感じで、クスクス笑える小ネタが満載でした。ギャラクシー街道は何だかシュールな笑いでしたが、こちらは普通に笑えます。三谷さんの作品らしく、たくさんの登場人物がうまく絡んで、それぞれにちゃんと見せ場も与えられています。中井さんの総理大臣はあて書きだったようですが、ばっちりハマってます。ディーン・フジオカ演じる敏腕秘書も怪しげだったし、小池栄子さんの熱血秘書もいい味出してました。草刈さんの邪悪な官房長官も佐藤浩市さんの謎のフリーライターもいかにもだし。石田ゆり子さんは可愛かったし、吉田羊さんも妖艶(?)。木村佳乃さんの役も、そんなんありかいっ!って、思わず突っ込んでしまいます。斉藤由貴さんのあの役はテロップ出るまで斎藤さんだと分からなくて、てっきりしょこたんと思ってました。有働由美子さんのあの役はてっきり清水ミチ子さんだと思い込んでたし(爆)。皆さん、さすがです・・・。

お話自体は本当にこんなことがあったらいいな・・・、という感じなのですが、出てくるダメダメ政治家たちが皆、どこか既視感があるのが笑えます。それにしても、政治家の方々って、皆さん何を思って政治家になるのでしょうね。そんななかで、一番刺さったのは草刈さん演じる悪徳官房長官のある一言でした。

そんなわけで2時間たっぷり楽しんでまいりました。早くも次の映画が待ちどおしいです。でも、いったい何年後になるのかなぁ・・・。
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