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アートネタなど日々のあれこれ

本のしごと

2018-07-06 21:03:06 | 美術
東京都庭園美術館で、「フランス絵本の世界展」を見てきました(この展覧会は既に終了しています)。庭園美術館でフランス絵本・・・って、なんだかハマり過ぎの企画ですよね。当初、3歳の娘を連れて行こうかと思ったのですが、あのアンティーク空間を彼女が、きゃっほー、とか言いながら駈けずり回る図を想像して断念・・・ひとりでさくっと行ってまいりました。

特に最初のお部屋の絵本が素晴らしかったです。もう、息をのむような美しさ。「子どもの友」や、「ガリヴァー旅行記」「ラ・フォンテーヌの寓話」「ペロー童話集」などなど。「八十日間世界一周」や「海底二万里」もゴージャス。「レ・ミゼラブル」のおなじみの挿絵も。モンヴェルの「ジャンヌ・ダルグ」のシリーズも見ごたえがありました。かと思うと「象のババール」とか、なつかしいものも。意外にツボだったのが、本館の方にひっそりと飾られていた「青い鳥」。青が綺麗・・・。子どもの絵本と言えども手を抜かないというか、アートにしてしまうというかなフランス人、おそるべし・・・。

ところで、この展覧会は鹿島茂のコレクションによるものですが、不詳わたくし、鹿島氏のことは何も知りませんでした。貴重なコレクション→きっとお金持ちに違いない→鹿島といえば鹿島○○→もしかして、鹿島○○の御曹司?とか思ってしまったのですが、フランス文学者さんだったんですね。驚きました・・・。

さて、鑑賞後は例によって甘いもの・・・ということで、「カフェ・テイエン」に寄ってまいりました。たまにはささやかな贅沢・・・ということで、展覧会にちなんだ期間限定のケーキ「リブレ」とセカンドフラッシュのダージリンを頼みました。このリブレのビジュアルがすごい・・・アンティーク本のような形になっています。層をなしたクリームと表紙のチョコ、アクセントのオレンジピールが効いていて、大変おいしゅうございました。紅茶も爽やか、かつ味わい深かったです。

その後、庭園美術館近くの目黒区美術館で「藤田嗣治 本の仕事」を見てきました(この展覧会は既に終了しています)。藤田嗣治というと、乳白色の裸婦だったり、戦争画だったりのイメージが強いのですが、本のしごともこんなにしていたのですね。絵手紙も数多く展示されていました。藤田の生の声を聞くようで面白かったです。奥さんと離れて暮らしていた頃の、奥さんの到来を待ち焦がれる手紙とか。けっこうまめに家事もしていたみたい・・・。藤田が絵を描いたテーブルなんかもありました。机に置かれるものが既に描かれてあるという・・・。展覧会はフランス向けの作品、日本向けの作品、猫の作品で構成されていました。今回、この展示であらためて思い知ったのは、藤田の線の凄さ。さらさらっと描いたようにしか見えない線にえらい説得力があるというか・・・。例えば初めての絵本だったという「詩数篇」の女の顔。それにしても、ほんとに何でも描けちゃう人だったんですね。「海龍」もみごとでした・・・。終始、質量ともに藤田のパワーに圧倒された展示でしたが、1階の猫の部屋はなごみの空間。これ欲しい・・・と、心底思ってしまった猫の絵も。

そんなこんなで、本にちなんだ二つの展覧会を楽しんでまいりました。本の内側だけでなく、外側にもこんなに豊かな世界が広がっていたのですね。これから本を見る目が変わりそうです・・・。




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