損保ジャパン日本興亜美術館で「吉田博展」を見てきました。
去年、千葉市美術館で開催されていた展覧会を見逃してしまい、残念に思っていたのですが、思いのほか早くリベンジの機会が訪れ、いそいそと行って参りました。混雑というほどではないですが、思っていたよりお客さんが多かったですね。お客さんは比較的、若い方が多いという印象でした。口コミとかで評判が広まっているのでしょうか・・・。
会場前のロビーで、吉田博の生涯を追った「痛快!吉田博伝」という映像を流していたのですが、これがけっこう面白くて・・・話が漫談調なんですよね。おかげで、会場に入る前からすっかり吉田博ワールドに引き込まれ・・・。
作品はほぼ年代順に並んでいるのですが、やはりこの方、子どもの頃から巧かったんですね。絵そのものが本当に巧い・・・さすがに黒田清輝に喧嘩を売った(?)だけのことはあります。巧くて、しかもわかりやすいというところが外国人(特にアメリカ人)に受け、今もなお、若い人を引きつけているのでしょうか。どの絵にもぽやんと見とれてしまうのですが、とりわけ惹かれてしまうのが、山、そして光を描いた作品。「雲海に入る日」の空の輝き。穂高山を描いた作品も素晴しい。そもそもアングルが違います。実際に登る人でなくては描けない作品ですよね・・・。
吉田博は、初期には水彩、その後、油彩を経て、木版画の世界へ足を踏み入れます。不同社時代の仲間には「絵の鬼」と呼ばれていたそうですが、ここでも鬼っぷりを発揮します。江戸時代の浮世絵は十数回、刷りを重ねていたそうですが、吉田博は数十回、ものによっては百回くらい刷りを重ねていたそうですから、恐れ入ります。
そんなわけですから、木版画の作品も肉筆、あるいはそれ以上に繊細です。「嶮山の朝」の山の頂のグラデーション。ダイアナ妃のお気に入りだったという「光る海」などの瀬戸内海シリーズの海の描写も素晴らしく、瀬戸内出身の身としては何だか嬉しくなってしまいます。
吉田博は生涯に何度か、外遊を重ねています。そもそも成功のきっかけがアメリカでした。「ヴェニスの運河」は夏目漱石の「三四郎」のネタにもなりましたし。その他にもアルプス山脈のマッターホルン、米国のグランドキャニオン、エジプトのスフィンクス、インドのタジマハルなどなど・・・タジマハルを旅した時は、アグラで満月を迎えられるように計算して行ったそうです。恐るべし、画家魂・・・。
ところで、今回の展覧会では、スケッチ帳もいくつか、展示されていました。スケッチですら、けっこう描き込んであって、思わず見入ってしまうものも少なくありません。このスケッチ帳が全て、このペースで埋まっていたとしたら・・・ほんとに鬼だったんだな、としみじみ思ってしまったのでした。
去年、千葉市美術館で開催されていた展覧会を見逃してしまい、残念に思っていたのですが、思いのほか早くリベンジの機会が訪れ、いそいそと行って参りました。混雑というほどではないですが、思っていたよりお客さんが多かったですね。お客さんは比較的、若い方が多いという印象でした。口コミとかで評判が広まっているのでしょうか・・・。
会場前のロビーで、吉田博の生涯を追った「痛快!吉田博伝」という映像を流していたのですが、これがけっこう面白くて・・・話が漫談調なんですよね。おかげで、会場に入る前からすっかり吉田博ワールドに引き込まれ・・・。
作品はほぼ年代順に並んでいるのですが、やはりこの方、子どもの頃から巧かったんですね。絵そのものが本当に巧い・・・さすがに黒田清輝に喧嘩を売った(?)だけのことはあります。巧くて、しかもわかりやすいというところが外国人(特にアメリカ人)に受け、今もなお、若い人を引きつけているのでしょうか。どの絵にもぽやんと見とれてしまうのですが、とりわけ惹かれてしまうのが、山、そして光を描いた作品。「雲海に入る日」の空の輝き。穂高山を描いた作品も素晴しい。そもそもアングルが違います。実際に登る人でなくては描けない作品ですよね・・・。
吉田博は、初期には水彩、その後、油彩を経て、木版画の世界へ足を踏み入れます。不同社時代の仲間には「絵の鬼」と呼ばれていたそうですが、ここでも鬼っぷりを発揮します。江戸時代の浮世絵は十数回、刷りを重ねていたそうですが、吉田博は数十回、ものによっては百回くらい刷りを重ねていたそうですから、恐れ入ります。
そんなわけですから、木版画の作品も肉筆、あるいはそれ以上に繊細です。「嶮山の朝」の山の頂のグラデーション。ダイアナ妃のお気に入りだったという「光る海」などの瀬戸内海シリーズの海の描写も素晴らしく、瀬戸内出身の身としては何だか嬉しくなってしまいます。
吉田博は生涯に何度か、外遊を重ねています。そもそも成功のきっかけがアメリカでした。「ヴェニスの運河」は夏目漱石の「三四郎」のネタにもなりましたし。その他にもアルプス山脈のマッターホルン、米国のグランドキャニオン、エジプトのスフィンクス、インドのタジマハルなどなど・・・タジマハルを旅した時は、アグラで満月を迎えられるように計算して行ったそうです。恐るべし、画家魂・・・。
ところで、今回の展覧会では、スケッチ帳もいくつか、展示されていました。スケッチですら、けっこう描き込んであって、思わず見入ってしまうものも少なくありません。このスケッチ帳が全て、このペースで埋まっていたとしたら・・・ほんとに鬼だったんだな、としみじみ思ってしまったのでした。