aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

見ることのリアル

2018-03-29 01:11:44 | 美術
森美術館で「レアンドル・エルリッヒ展 見ることのリアル」を見てきました。

名前だけ聞くと一瞬、誰?と思ってしまうのですが、金沢21世紀美術館のプールの人と言われれば、なるほど〜という・・・この展覧会、一人で行くのはハードル高い、というもっぱらの評判(?)でしたが、一人で行っても大丈夫、楽しめました。

最初の作品は「反射する海」。暗い水面でゆらゆら揺れているように見える船。でも実は・・・。「試着室」は迷路のよう。せっかくなので、何度かうろうろしてみました。何年か前に資生堂ギャラリーで見た「目」の展覧会を思い出します。「雲」も好きな作品。何やらイノセントな心持ちになります。日本の雲もありましたね。「教室」もこれまた幽玄な作品・・・子ども時代を思い出します。「美容院」では、思わず自分の姿を探してしまいました。そして、インスタ映えすることこの上ない「建物」。皆さん楽しげです。本当にシンプルな仕掛けだけど、やはり楽しい。本当はごろんと寝そべってみたかったけど、なかなかスペースが空かず、座って見上げておりました。

いい意味で大人のテーマパーク、みたいな展覧会でしたね・・・。体験型という楽しさもあるけれど、生きるということへの肯定的なメッセージを感じ取ることができるような気がします。最後にレアンドル・エルリッヒのインタビュー映像があったので、そちらも見ていきました。なかなかのイケメンさんではないですか。「現実と未来は、私たちの想像と責任にかかっている」という言葉が心に残りました・・・。
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上野の冬

2018-03-25 22:48:51 | 美術
ひさしぶりに、上野で展覧会のはしごをしてきました。

一つ目は東京国立博物館の「仁和寺と御室派のみほとけ展」です(この展覧会は既に終了しています)。不肖わたくし、当初、この展覧会はノーマークだったのですが、ブロガーさんたちの評価が高かったことから、興味を持ち・・・本当に行っておいてよかったです。「本当に手が千本ある千手観音」を拝めるのなんて、これが最初で最後かもしれないし。本当に気合いの入った展示でした。何と言っても観音堂の再現展示!国博があたかも仏教テーマパーク(?)と化したかのようでした。ほかにも、国宝、重文のオンパレード・・・書道史上も重要な作品と言われる空海の「三十帖冊子」。像高12センチの小さな、そして精緻な円勢・長円作の「薬師如来坐像」。「宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱」も綺麗。道明寺の「十一面観音菩薩立像」も美しくて、しばし見とれてしまいました。そして、葛井寺の「千手観音菩薩像」。手が全部で1041本あるそうな。作る方も数える方も大変でしたね。手がいっぱいあるわりには、ご本人のお顔はどこか茫洋としていて、そのギャップが印象的でした。本当に、思い出してもわくわくするくらい、盛り沢山な展覧会でした。おそるべし、仁和寺&御室派・・・名物は桜だけではなかったのですね。

二つ目は東京都美術館の「ブリューゲル展」です。こちらは開催を知った時から楽しみにしていた展覧会です。不肖わたくし、これまでブリューゲルの作品を見ても、どのブリューゲルさんだったっけ・・・な状態だったのですが、この展覧会のおかげでだいぶ頭が整理されました。それくらいの親切設計。家系図とキャラの説明に始まり、それぞれの作品がどのブリューゲルさんなのかを図示しています。おかげで、誰がどういう画風、というのがすっと頭に入ってきました。それにしてもこの展覧会に出てくるブリューゲルさんだけでも総勢9人!蛙の子は蛙とは言うけれど。展覧会のメインは元祖ブリューゲルと二人の息子なのですが、地味で堅実な長男、華やかで奔放な次男というステレオタイプを(文字通り)絵に描いたような対比も面白かったです。何たって「地獄」VS「花」ですもんね。とりわけ印象深かった作品は、ピーテル・ブリューゲル1世の精緻な版画シリーズ。ピーテル・ブリューゲル2世の「鳥罠」。冬の空気感が伝わってくるようです。展覧会のメインビジュアルともなっている「野外での婚礼の踊り」。楽の音が聴こえてきそう。ヤン・ブリューゲル1世では「ノアの方舟への乗船」と「アーチ状の橋のある海沿いの町」。どちらも空に溶け入るようなスカイブルーが美しく、しばし立ち尽くしてしまいました。後の世代ではヤン・ファン・ケッセルの昆虫図も面白く・・・代々、観察眼に恵まれた一族だったのですね。ブリューゲル一族以外の作品ではマールテン・ファン・ファルケンボルフ&ヘンドリク・ファン・クレーフェの「バベルの塔」。去年見た、ブリューゲルの「バベルの塔」を思い出します。スカイブルーの異様なまでの美しさ・・・。

そんなわけで、ひさびさに上野でアートを堪能してまいりました。それにしても、今年はいつもにも増して、上野の展覧会が大変なことになりそう・・・今から楽しみです。
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Ground no plan

2018-03-23 23:40:51 | 美術
青山クリスタルビルで「会田誠 ground no plan」展を観てきました(展示は既に終了しています)。展覧会を観てから既に一ヶ月。記憶も曖昧になりつつありますが・・・。

例によって鑑賞前に甘いものを、ということで立ち寄ったのが、表参道駅近くの「リンツ・ショコラ・カフェ」。オペラとホットチョコレートのケーキセットをいただきました。身も心も温まりました・・・。

さて、甘いもの欲も満たされたところで会場へ。この展覧会は、大林財団の「都市のビジョン」という企画なのですが、無料かつ盛り沢山な展示でした。太っ腹です。それにしても、あの会田氏が「都市の未来像を提案」するとどんなことになるかというと・・・。

何と言うか、露悪的なのにもかかわらず根っこのところに真面目さが見えてしまう、といういかにも会田氏らしい(?)展示でした。作品も、なるほど〜、と思わずうなずいてしまうものから、そんなんありかい、と思わず突っ込んでしまいたくなるものまで。冒頭のマニフェストも一見(読)、もっともらしいのですが・・・いや、でも都市に水って大事ですよね、たしかに。「新宿御苑改造大計画」も凄かった。もはや御苑の領域を超えてます。テキストも緻密すぎてとても読み切れませんでした。夜間は侵入者を法螺貝で追い払うとか、いったいいつの時代の話でしょう。「風の塔」改良案の「ちくわの女」もなかなかのインパクトでした。会場は2階にまたがっていたのですが、階下の方がさらに大変なことになっておりました。「ぼくちゃん、いいこと考えついちゃった」という省庁移転案とか、北海道僊都案とかはなるほどな〜、と思いながら読みました。たしかに東京一極集中がこの案で救われるかもしれません(?)。「快適なスラム」を提唱する「セカンド・フロアリズム」も興味深く・・・テキストの方は到底読みきれなかったのですが。ヨーゼフ・ボイスのファンが見たら泣いて怒りそうな(?)「アーティスティック・ダンディ」とか、どこぞの国の総理みたいな人がジャパニーズ・イングリッシュで演説するビデオとか、いかにもな映像作品もありました。

このところ、心の中で澱のように溜まっていたものが、あんまりな作品の数々のおかげで、吹っ飛んだような心地でした。真面目じゃないもの、というか、真面目なのかそうじゃないのか、ようわからんものを堂々と提示できるってアートの醍醐味だな、としみじみ思いました。会田さん、そして大林組さん、ありがとう・・・。
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