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伝説のオペラ座ライブ

2017-01-20 01:24:56 | 映画
東京都写真美術館ホールで「マリア・カラス 伝説のオベラ座ライブ」を見てきました。(このホールでの上映は既に終了しています。)

先日、「ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿」を見たところ、マリア・カラスが少々出ていたのですが、これが何とも魅力的・・・彼女の映像をもっと見てみたいものだなあ、と思っていたら、思いがけず写真美術館でこの映画が上映されることを知り、いそいそと行ってきました。特別興行ということで、少々お高めの値段設定ではありましたが、本当に行っておいてよかったです。カラスは音だけ聴いても素晴らしいけれど、やはり絵でみてなんぼだ、と心底思いました。

1958年12月19日、マリア・カラスのオペラ座デビューの映像です。伝説となったガラ・コンサート、お客さんの顔ぶれも豪華です。当時の大統領に加え、シュヴァルツコップ、ジュリエット・グレコ、イヴ・モンタン、チャップリン、コクトー・・・。そしてマリア・カラスはといえば絶頂期、スターの、いやもはや女王様の貫禄です。(以下、ネタバレします)

第1部は名曲選。ヴェルディの序曲に続き、「ノルマ」から数曲。プロでもうっかり歌うと喉を壊す、と言われる難曲を完璧に歌いこなすカラス。のみならず、ノルマの心の葛藤とか、ストーリーが見えてくるような歌いっぷりです。お次は「イル・トロヴァトーレ」から数曲。神秘的な巫女ノルマから打って変わって、今度はチャーミングな女官を、これまた完璧に演じています。1部の最後は「セビリアの理髪師」序曲に続き、「今の歌声は」。これまた完璧なコロラトゥーラ。見事な高音を聴かせ、お客さんはもう大喝采・・・。

第2部は「トスカ第二幕」。カラスが残したほぼ唯一のオペラ上演映像と言われています。これがもう、凄かった。今までカラスのCDは聴いたことはあっても、映像では見たことがなかったので、わからなかったのですが・・・この人、女優としても凄かったんだ、ということを初めて認識しました。人を愛し、人を憎み、神に祈り、人を殺める。そんなトスカを全身全霊で演じています。スカルピアを演じるバリトンのティト・ゴッビもとにかく憎々しい、完璧な悪役でした。いやはや、凄い舞台だ・・・。

マリア・カラスの声は美声というのとはちょっと違う、でも独特の艶があって、何か麻薬のように効いてくる声です。テクニックも凄いけれど、最大の武器は深い表現力とか、解釈力、そして独特のオーラみたいなところになるのでしょうか・・・。一方で、カラスはものすごくクレバーな人だったのかな、とも思いました。第1部で、異なるタイプの曲を、それぞれにふさわしく、完璧に歌ってみせる。第2部では、女優としての才も見せつける。自分の魅力を最大限に魅せるには、どうすればいいのか、ということをよく知っていた人のようにも思えます。セルフプロデュース能力に長けているのかと思いきや、晩年は歌えなくなり、最後は謎の死を遂げ・・・不可解ではありますが、それでこそ、歌姫様、と思ってしまったりもします。やっぱり、彼女は伝説の歌姫、歌姫中の歌姫様です。永遠に・・・。
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