aquamarine lab

アートネタなど日々のあれこれ

2020年ベスト

2020-12-31 00:39:58 | ベスト
そんなわけで、今年も残すところあと少し。例によって私が今年見た/聴いたものの中からベストを選んでみたいと思います。基準はあくまで私にあたえたインパクトの強さ、ということで・・・。にしても、今年はベストなんて選べないかも、と思っていましたが・・・(順番は私が見た順です)。

〇美術
 ・未来と芸術展(森美術館)
  近未来の美術展はこうなるのだろうか…という想像を掻き立てられた展覧会。森美でなくてはできない展覧会の典型だったのでは。
 ・ピーター・ドイグ展(東京国立近代美術館)
  開催三日で中断してしまい、地団駄を踏んでいましたが、その後、無事再開され胸を撫でおろしました。さすが「画家の中の画家」。不穏と幻想とがないまぜになった魅惑的な世界に惹きつけられました。
 ・きもの KIMONO(東京国立博物館)
  着物の展覧会の決定版ともいえそうな質量ともに充実した展覧会。コロナさえなければ多くの外国の方々にも見てもらえたのに…。
 
今年はコロナ禍のために無念の中止となった展覧会も多く、また、とりわけ私立の美術館の苦境には一アートファンとして心が痛みました。その一方で、ニコ美など、オンラインの活用により普段なかなか聞けない方のお話を聞く機会も増えました。他にもいろいろ思うところはあるのですがちょっと書ききれません…。

〇映画
 ・ランブル
  インディアン・ミュージックが世界の音楽に与えた影響を初めて知りました。アフリカン・アメリカンとの混交の歴史はかなり衝撃的でした。
 ・ようこそ映画音響の世界へ
  映画音響がピックアップされた映画は初めて見たような気がします。映画は映像と音でできている、という当たり前の事実にあらためて目を見開かされました。
 ・メイキング・オブ・モータウン
  もともとモータウン好きというのもありますが、この映画はベリー・ゴーディーJrのキャラ勝ちです。あんなにおもろいおっちゃんとは知らんかった…

 今年はコロナ禍にもかかわらずドキュメンタリー、特に音楽ドキュメンタリーに関しては、近年稀な当たり年だったように思います。また、「鬼滅の刃」が大大大ヒットしましたが、日本のアニメのクオリティが衝撃的に向上していたことにも驚かされました。

〇音楽
 選ぼうにも3本しか行けていない…シュトックハウゼンもボンクリもスガさんも、みんなまとめて素晴らしかった!

〇舞台
 生で見たのは三谷文楽のみですが、オンラインで「12人の優しい日本人」や「山海塾」の舞台を楽しみました。オンラインだと生の舞台ではよく見えない細部の表現までよく見えるということを発見…

 今年は降ってわいたようなコロナ禍により、アートの世界も大きな衝撃が…オンラインのありがたみを知る一方で、生で見る/聴くことのかけがえのなさを思い知らされた一年でもありました。ただ、都市部に偏在しているアートを皆が楽しめる方法を考えた方がいい時代に来ているのかも、とは思いました。
 それにしてもコロナですよ…西洋占星術クラスタの間では今年、200年に一度という星の動きがあるということは知られていたかと思いますが、まさかこんなことになろうとは…。でも、これまでもアートは人類の歴史とともに生き延びてきたのだし、これからもそうだと思いたい…というわけで、また来年もアートが皆を幸せにしてくれますように!



ハニーランド

2020-12-30 00:01:51 | 映画
アップリンクで「ハニーランド 永遠の谷」を見てきました(この映画館での上映は既に終了しています)。

北マケドニアで暮らすヨーロッパ最後の自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリーです。この映画はなんと3年間、400時間以上の時間をかけて撮影されたのだとか。長い時間をかけただけのことがあって、フィクションとドキュメンタリーのあわいに漂うような不思議な作品になっています(以下、ネタバレ気味です)。

自然養蜂家のハティツェは北マケドニアの首都スコピエから20キロ離れた谷間で、盲目の母と二人で暮らしています。ここにはいまだ電気も水道もなく、夜は蝋燭の灯りで生活する日々。彼女は蜂蜜を市場で売って生計を立てていますが、「半分はかれらに、半分はわたしに」と言って、巣の半分を蜂たちに残し、半分を自分のものにしています。こうしないと、蜂たちがよその巣に行って、そこの蜂と殺し合いをしてしまったりするようです。慎ましい彼女の日々は、隣に7人の子を連れたトルコ人の一家が引っ越して来たことから一変します。彼女は大家族の子どもたちとも仲良くなり、酪農をしていた一家に養蜂のやり方を教えることになりますが、一家の主人が「巣の半分は残すように」という彼女の教えを守らず、全て自分のものにしてしまったことから、事態は思わぬ方向へ・・・。

厳しくも美しい大自然、存在感のある登場人物、寓話のような趣すらあるストーリー。驚くことにハティツェが蜂の巣を採取する時には素手で行い、蜂たちも彼女のことは襲ってきません。この姿を見ると、人間と自然との共生は可能なのか?と思えてきますが、それは予想外の要素によって覆されてしまうものでもありました。安楽な環境に身を置きながら自然の美しさを讃え、共生に憧れることはたやすいですが、この映画は自然の厳しさ、人生の厳しさも見せてくれます。いつしか隣人は去り、母も亡くなり、一人残された彼女はその後も蜂たちとともに生きていくのでしょう・・・。

ところでアップリンクといえば、例の件のその後が気になっていましたが、どうもよくわからない結末を迎えたようですね・・・もやもやした気持ちが続いている映画好きの方もまだまだいそうですし、皆がすっきりした気持ちで見られるような空間になるといいですよね・・・。

STRAY SHEEP

2020-12-20 14:27:24 | 音楽
今さらですが、米津玄師「STRAY SHEEP」を聴きました。

発売早々に購入したのですが、息子が独占ヘビロテ状態に陥っておりました。毎日毎日ヘッドホンでガンガン聴きながら歌いながら宿題をする小学生…。小学生もドはまりするような中毒性のあるアルバムということでしょうか。何にせよ、今年を代表する作品であることは間違いないであろうと思われます。

にしても、本当に捨て曲なしの名盤ですよね…最初の4曲で爆走し、パプリカで一呼吸、大バラードが続いた後はDecolleteでアクセントをつけ、Teennage Riotで再度疾走、最後はカナリヤでクールダウンという流れもみごとです。何より、耳に残るメロディーを創るということにかけては天才的ですよね…。名曲揃いですが、個人的にとりわけツボだったのが、ホーンアレンジがかっこいい「感電」、長く歌い継がれるであろう「パプリカ」、遠い未来を垣間見るような「迷える羊」。息子の推しは「PLACEBO」でした。米津さんの世界観には魚座的なものをひしひしと感じてしまうのですが、やはり魚座でしたね…。幻視の力、魂ごとの没入、犠牲と救済…。いろいろ書きましたが、本当にこのアルバムの感想を言葉にするのは難しいです…というか何というか、もはや言葉が出てこない…。

私はDVDとアートブック付きのバージョンを買ったのですが、DVDには2019年のツアー「脊椎がオパールになる頃」の模様が収録されています。やはりこの方には圧倒的な何かがありますよね…途中、MCで想いの丈を語るシーンも印象的でした。サポートのミュージシャンの方たちとの一体感も素晴らしく…演出とかもけっこう凝ってたんですね。ダンサーさんや黒衣の鼓部隊(?)も登場。アートブックには米津さんの幻想的なイラストも。天はいったいこの人に何物与えたんだ…。

米津さんというと「パプリカ」を初めて聴いた時のことを思い出します。娘の保育園の子どもたちが歌っていたその曲は、楽しげながらも、どこかもの悲しい異国情緒も漂わせ、麻薬的な力がありました。私はその頃、米津さんのことは何も知らなかったのですが、この曲創った人、もしかして天才⁉と、ざわざわするような感覚を覚えた記憶が。今後、どんな活動をしてくださるのか…とても楽しみです。

無限列車

2020-12-13 00:04:36 | 映画
そんなわけで、無限列車に乗ってきました。しかも2回…。

不肖わたくし、鬼滅の刃のことは2月にあった子どもの1/2成人式の時に初めて知りました。子どもたちがそれぞれ、将来の夢や今ハマっているものなどを発表するのですが、クラスの男子の約半数が「僕が今ハマっているものは鬼滅の刃です」と言っていて…その時は、きめつって、何⁉という感じだったのですが、秋になってアニメを見てみたら、そのクオリティの高さに驚愕…そんなこんなで、子連れで無限列車に乗ることになりました。

子供たちにとっては人生初の映画です。けっこうグロいシーンもあるらしいということを聞いていたので、大丈夫かいな…と思っていたのですが、11歳男子も6歳女子も大丈夫でした。むしろ「約束のネバーランド」の予告編の方がよほど怖かったらしいです。映画もクオリティが高く、日本のアニメって凄いことになってたんだな~、としみじみしてしまいました。映像も美しかったです…特に風景の美しさが際立っていました。炭治郎の精神世界のスカイブルーとか、本当に綺麗。そして、声優さんたちも素晴らしかったです。とりわけツボだったのが魘夢の演技。サイコパス的な怖さ、断末魔の叫び、惨めな死に際…主役ではないものの、魘夢の演技が駄目だと映画全体が嘘くさくなってしまいそうな役どころですが、さすがの演技でした。

これでもかというくらい劇的なシーンが続き、泣けるポイントも多々ある映画ですが、個人的に一番うるうるきたのは鴉の涙でした。煉獄さんの鎹鴉が訃報をお館様に伝えるために飛びながら、涙を流してるんですよね…どんなに悲しくても使命を果たすために鴉は飛ばねばならないのです。鴉経由で訃報を聞いた柱たちのリアクションも哀しい。子どもたちはやはり煉獄さんが倒されたところで泣いていたようです。

それにしてもこの映画、一筋縄ではいかないというか、いろいろな見方が可能な映画でもあるなと思いました。現世を生きること=夢を見ていることとするならば、スピリチュアル的な解釈もできそうです。そして、人間の脆さと強さ、理不尽な悪の存在というものをここまで描いたアニメってなかなかないのかもしれませんね…。

その後、諸事情によりIMAXで2回目を観ることになりました。IMAXで映画を観るのは初めてだったのですが、驚きました…一度IMAXで観てしまうと、もう元には戻れない気すらしてしまいます。とりわけ戦闘シーンが凄いことになってました。そのせいか、圧倒的に不利な闘いに身を投じていった煉獄さんがより切なく映ります。でも、その身は滅びても想いは伝わっていくのですよね…。

セトリ再現ライブ

2020-12-06 19:14:56 | 音楽
そんなわけで“Hitori Sugar Tour 2020-セトリ再現ライブ-”に行ってきました。

不肖わたくし、生でスガさんを拝むのは13年ぶりです。そして、平日夜のライブに行くのは子供が生まれてから初めて。ここまで長い道のりだったなぁ…(←遠い目)。スガさんのファンももう若い方が増えているのだろうな、おばちゃんは後ろの方からひっそり見守っていよう…と思っていたら、みごと2階最後列の席が当たりましたとさ…(爆)。

ということで、遠目でスガさんを拝むことに相成ったわけですが、姿は小さくしか見えなくても、その存在感は大きく伝わってきました。コロナ対策のため、この大きなホールで観客は通常の半分、声援もなしという状況で、一人で2時間引っ張っていかなきゃならない…、って想像しただけで倒れそうですが、そんなハンデを全く感じさせないステージでした。諸々の機材も駆使して、バンド演奏に匹敵するようなグルーヴを生み出していました。今さらながら、スガさんのリズム感というかグルーヴ感って驚異的だったんだな…と、しみじみしてしまいます。ギターもすごくいい音で鳴ってました。たまに歌詞が飛んじゃったり、ギターのコードが若干怪しかったりという場面もなくはないのですが、それすらちゃんと味になってしまうのはさすがです(笑)。MCも相変わらず面白かったですが、私はとりわけヤグルトさんの帝王切開ネタに反応してしまいました。そのうち息子が反抗期を迎えたら、その手を使ってみようかしらん…。

曲は昔の曲から最近の曲まで、代表的な曲をカバーするという感じでしたが、“Acoustic soul2”の曲は全曲やっていました。ライブで聴くのは初めて、という曲も多かったのですが、ライブで盛り上がる系の曲が比較的多くセレクトされていたこともあり、ブランクを忘れて楽しみました。昔の曲も今聴くと、当時とは違う部分が響いてくるのだな…という発見もありました。この日個人的に一番インパクトが強かった曲は「黄金の月」でした。20年以上の歳月を経てさらに凄みを増している名曲。この曲をホールで聴くと、黄金の月が浮かぶ広大な夜空が目の前に広がるようです…。

ところで私、20年くらい前に不思議な夢を見たことがあります。スガさんのライブの夢なのですが、客席はまばらな状態で私は2階の後ろの席からそれを見ています。照明がやたら派手というか華やかなのが印象的でした。あれはもしかして、この日のことだったのでしょうか…。